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【技術編 メンバーの動かし方シリーズ】 第4回目「3つの階段があるメンバーの動かし方」

小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ (21)

【プレイングマネージャーの技術編 メンバーの動かし方シリーズ 全4回】
第4回目「3つの階段があるメンバーの動かし方」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■リーダーのリーデイングスタイル

リーダーのリーデイングスタイルとは、相手や状況、チームの成熟度に従い、リーダーのメンバーに対する接し方を変えることです。

多くのリーダーが、誰に対しても同じように接することがよいを考えているが、これは大きな間違いです。メンバーを公平に扱うことと同じように接することは違う。指示待ちのメンバーには、具体的に指示を出すことが必要だし、一匹狼のメンバーには力で押えようとすると反発するだけです。手のかかる人・かからない人、経験のある人・ない人では接し方は変わります。

また、同じ人でも状況によっては、対応の仕方が変わります。緊急時には独裁型の指示命令が必要にもなります。チームの成熟度によって、リーダーのチーム対する接し方は変わります。自分のチームが同様な成熟度なのかを見極め、リーダーとしてのスタイルを考えることは必要です。

■第1段階……力でメンバーを動かすポイント

緊急度が高い問題が発生した場合は直ぐに対応することがポイント。クレームや事故の場合や重要な場面の軌道修正時は、強引に即座に動かすことが求められます。この方法は、指示待ちメンバーや経験の浅いメンバーが多いチームに有効。

≪ポイント1 -- 権力で動かすパターン≫
自分が思った通りにメンバーを動かそうとするパターンで、強い指示命令を前面に押し出し、動かしていくやり方。

このやり方の特徴は、
●即効性がある  
●理屈ぬきにその場の成果は出せる

しかし、反面
●メンバーの本当の力を伸ばすことはできない
●優秀なメンバーはやる気を失う
●このパターンを長期間やるとメンバーは指示待ちになり、チームの成長は無くなる

≪ポイント2 - 実力で動かすパターン≫
プレイングマネージャーの典型的スタイルで、マネージャーでありながら、同時にトッププレイヤーでもあり、先頭に立ち、メンバーをついてこさせるパターン。

このやり方の特徴
●リーダーが自らやることで問題解決に素早く対応できる
●仕事の成果が出しやすくなる

しかし、反面
●メンバーの能力向上や動機付けを妨げる可能性がある
●リーダーが自らやるために仕事の進め方や価値判断基準を教えられないことが多い
●メンバーの達成感が薄くなり、やる気が損なわれる
●優秀なメンバーほど、ストレスが溜まる方法

気を付けなければならないのが、リーダーが優秀なプレイヤーであるだけに、メンバーに対して厳しく接し、こんなこともできないのかと思うことであり、重要な視点は、優秀なプレイヤーの仕事のやり方を理解させ、できるようにすること。

■第2段階……仕組みでメンバーを動かすポイント

会社の規模が30名前後になると、動かすやり方に新たなパターンが必要となる。特定の人の特定のやり方で動かすことに限界がくるので、誰もができる方法が求められる。考え方やルールで人・チームを動かす方法にチャレンジしていく。

≪ポイント1 -- ルールで動かすパターン≫
考え方やチーム運営に対し、ルールをつくり、理解させ、現場にルールを落とし込み、仕組みをつくり、習慣化させることでメンバーを動かすパターン。

このやり方の特徴
●メンバー間の個人差を少なくできる
●考え方や仕組みがチーム全体に浸透するので、メンバーの底上げが早くなる
●メンバーもチームを動かすポイントを知るので、動きやすくなる

しかし、反面
●リーダーの考えが根付くまで、時間が必要となる
●根付かせるまでに根気が必要となる
●複雑にしすぎると面倒くさいとなり、メンバーにとって、動きにくさがでる

■第3段階……主体性でメンバーを動かすポイント

メンバーが育つと動かし方にも変化が出てきて、主体性で動かすパターンになる。メンバーのレベルが上がるとは、当事者意識が強くなり、自分が今何をすべきかを考えていけるレベルになる。当事者意識が出てくると、目標や方針を意識し、自分で対策を考えるようになってくる。

そうなると、メンバーはこうすべきと自分の意見を考え、持ち始め、リーダーはメンバーの意見を吸い上げ、活用していけるチームレベルになる。

≪ポイント1 -- 意見を尊重して動かすパターン≫
メンバーの意見を吸い上げて、活用していくパターン。

このやり方の特徴
●メンバーの当事者意識が高まる
●メンバーの意見がリーダーの意思決定に反映されやすいので、リーダーの後任が育ちやすくなる
●メンバーの意見を吸い上げ、検討していくので、意思決定の内容がメンバーに受け入れやすくなり、実践度が高まる

反面、注意すべき点は
●メンバーの意見がピントズレのケースがあるので、判断基準をしっかり教えていくことが求められる

≪ポイント2 -- 権限委譲をしながら動かすパターン≫
メンバーを信頼し、権限委譲しながら、仕事を任せ動かしていくパターン。

このやり方の特徴
●メンバーの向上心が高まり、レベルアップが図れる
●リーダー本人が新しい仕ことにチャレンジができる

しかし、反面注意すべき点は
●仕事を任せることでリーダーのストレスは溜まりやすい
●指示・命令や報告・連絡ができないチームには向かないやり方
●メンバーの力量を分析してやらないとリーダーの仕事の放棄につながる


(この項、了)

 

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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/
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         筆者 小池浩二氏が
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