経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ]

企業は生産性の成果をどこに使えばよいか [ 第46回 ]

どの企業も生産性上昇には熱心だが、果たしてその恩恵は雇用者に十分に及んでいるだろうか。筆者の答えはNoである。

まず、データを確認してみよう。リーマン・ショックのダメージが生産性を最も打撃したのが2009年。この年は、生産性も雇用者報酬も大底だった。日本の就業者1人当たりの生産高(名目付加価値)は、09年には780万円だった。1人当たりの雇用者報酬は455万円。これが16年には、生産性831万円、雇用者報酬474万円へと上昇している。計算すると、上昇した生産性は+51万円なのに対して、報酬は+19万円。雇用者は約37%しか成果の上昇分を受け取っていないことになる。この現象は、「労働分配率の低下」と言い換えることができる。

 

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