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「平成30年のキーワードは会社の生存分岐点」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (25)
「平成30年のキーワードは会社の生存分岐点」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

平成30年の初春を謹んでお慶び申し上げます。
新年にあたり、経営全般の基本方針を示唆させていただいております。

■3つのMS戦略

街を歩けば、息ができないほどのあふれる変化に気づかされる。

〇あなたは、「The Four」と聞いて何を想像しますか?
The Fourとは、Amazon、 Apple、 Facebook、そして Googleであり、消費者情報革命を推進する現代の四人組といわれ、あのMicrosoftさえも入らない時代になっている。
〇「コンピューター」という言葉が過去のものになっている(Appleの概念)
〇平成が30年で終わることで完全に昭和スタイルが無くなる等……
複雑系社会が本格的にドラスティックにやってきている。

年末年始によくある大予測の
〇景気が良いとか悪いとか……
〇うちの業界は成長するとかしないとか……
〇自分のエリアの経済発展があるとかないとか……
そのようなことは大した意味を持たない時代になったのが、平成30年。

会社の生存分岐点の視点は表面上のことではなく、会社自身の
〇アイデンティティ(生存価値)
〇勝てる土俵の位置づけ
〇戦略の質とその展開現実度
〇社員のやりがい体感度に関する本質的レベルとその取組みへの真剣度、がポイントになる。
会社の生存分岐点を見つめるために3つのMSを考えることが重要だとご提案させていただきたい。

◆Man strategy……人戦略
◆Marketing strategy……マーケティング戦略
◆Management strategy……マネージメント戦略

■「Man strategy……人戦略」

〇生存分岐点のキーファクターとなるW・M・Pバランス
会社は人員が増えるから成長するのではなく、「仕事」が増えるから成長していくことが基本原則。しかし、増加した仕事を捌くためには、仕事ができる人の増加が求められるが、すぐには対応できないから様々な問題が発生する。

今の経済環境下では、仕事が増えている企業は多くある。しかし、仕事を捌く以前のテーマとして仕事の量に対して、人員数が足りない企業が非常に多い。

これからの生存分岐点には、W・M・Pバランスの視点が求められる。
W:仕事量  M:人員  P:利益の適正バランスである。

現在の状況は、①仕事、②人員、③利益のバランスが崩れかけている企業が多い。
このバランスを大手企業は資本力を投入したオペレーション力で補っている。仕事さえあれば、オペレーションシステムで働く人(オペレーションを創る人ではなく)を世界中から確保して利益を上げていく発想で対応している。また大手銀行はこのバランスを考えて、コストがかかりすぎる余計な口座開設に応じなくなっていることもこの視点である。

中小企業には、利益の取れる仕事を選んで、対応できるノウハウ・体制の構築が求められる。
唐突だが、皆様方の会社では継続・維持発展のために、一体幾らの粗利益と営業利益が必要だろうか?

その利益を確保するためには、どのぐらいの仕事量が必要だろうか?
その仕事量を捌くためには、どのぐらいの人員(量と質)が必要だろうか?

企業構造は環境の変化に合わせることでその姿を構築してきた。現代の企業構造は第二次世界大戦後による構造変革によってつくられたもので、どの代表格が自動車産業。

日本の自動車産業は、戦後GHQの政策によって国策として成長してきた。その主なポイントは2つ。

〇自動車産業は裾野が広い産業なので、大量に雇用を生み出すことができ、それは自動車産業だけではなく、建設産業にも波及効果を及ぼす戦後の雇用対策としてうってつけの産業であった。
〇アメリカ資本を中心とする石油採掘量の増加で、石油を消費させるマーケットとして日本に目が向けられ、その代表産業として自動車産業が選ばれた。この政策によって、自動車産業が発達し、国の隆盛に大きな役割を果たしたのは周知の事実。

この時のW・M・Pバランス政策は、人は沢山いたけれど、仕事量がなかったための政策である。今のW・M・Pバランス政策は、仕事量はそこそこあるが、人員が足りない前提での政策展開である。

■「Marketing strategy……マーケテイング戦略」

仕事は国・地域を選ばないが、会社を選ぶ時代に入っている。
マーケテイングは経営全般に関わる重要な経営機能で、わかりやすく考えると勝てる土俵を見つけ出し、戦う武器・戦い方を決めて、勝つための条件を整えて戦うことにポイントがある。

特に弱者である中小企業は、強者であるトップ企業の真似をしていたずらに戦線を拡げるのではなく、自社の得意分野に特化して戦う弱者の戦略が基本で、基本形は以下の通り。

●一点集中……攻撃目標をひとつに絞り、強者の弱点を重点的に攻める
●土俵を変える……強者が手を出せないカテゴリーで戦う
●接近戦……強者に先んじて、顧客ニーズの把握や顧客への接点強化を図る
●局地戦……スキマ・ニッチ市場に競争の場を特化させる
●陽動作戦……従来パターン以外の方法で、強者を出し抜く
●グッピー戦……より弱い者を叩く戦略

戦略は勝つことを前提に戦わないと経営資源の乏しい中小企業では、一敗が経営の命とりになる危険性がある。このやっかいな環境下でも、昨年から成長している企業も多く出ており、その特徴を幾つか記してみよう。

〇MADE BY JAPANの企業
①必要な物を
②適正な場所で作り・仕入れ
③最も求められるマーケット・顧客に日本品質で提供している企業

〇ターゲット絞り込み企業
ライバル・顧客を絞り込んで、徹底した戦い方ができる会社

〇中堅社員が活躍している会社
①現場業務では中心の役割
②チームを動かすマネージメント業務の一役を担う
③学ぶ意識の高い集団
④自分と会社の将来に未来を感じる中堅社員が多い会社

〇捨てることができる会社
①既存業務の20%を捨てられる会社・チーム・人
②必要のない物の見方・考え方を捨てられる会社・チーム・人

〇高付加価値企業
会社の価値を料金以外に求める会社。
「御社は高いけれど、〇〇〇があるから利用させてもらいます」と言わせる会社

〇異能力企業や異能者と共にアライアンスが組める会社
①自社完結型方式ではなく、足りない機能はアライアンススタイルで行うことに違和感のない会社
②外国人・高齢者・子育て復帰の主婦が働ける会社

■「Management strategy……マネージメント戦略」

〇シェアード・JOBリーダーの時代 
世の中はIOT ( Internet Of Things ) からIOA ( Internet Of Abilities )へと変化し、モノ・サービス同士がインターネットで物理的に繋がる時代から、人間の能力がAI(人工知能 )の介在によってネットワーク化され、人間と人間、人間とモノ・サービスがインターネットで概念的に繋がる時代に移行している。

AIを代表とする急激な進化は人間生活に新たな可能性・恩恵をもたらすだろうが、重要なのはこの変化をどう利用するかだけではなく、これまで常識に固執することなく、それに伴う新たな物の見方・考え方の定義づけを行うことである。

時代がshiftするから、当然のことでもある。成熟社会で仕事が複雑化する中では、組織で動く全社員に2種類の仕事が求められる。
①現場の業務、②チームを動かす仕事、であり、これを実現するスタイルがシェアード・JOBリーダーである。

では、シェアード・JOBリーダーとは何か。チームを動かすために多様なリーダーシップが求められる中で、1人のリーダーでは対応しきれないケースが増えている。一部人間が兼任で組織を動かすのではなく、必要な役割機能ごとにJOBリーダーを設け、全社員でチームを動かし、組織内の当たり前のレベルを変えて、全社員のレベルを上げることが目的。

そのために必要な役割機能ごとに権限を与え、それぞれの担当機能分野でリーダーとしての役割を担う機会を提供する。共有化という21世紀の組織運営を代表するキーワードがあるが、「シェアード・JOBリーダー」は共有型リーダーシップである。

組織は小さければ小さいほど、また、ビジネスは因数分解してシンプルにすればするほど、責任感・想像力の発揮により、チーム・自分の過去慣習を断つことができ、時代変化に臨機応変に対応できる。中小企業で組織を小さくするとは、会社を動かす機能役割を全員で担うことであり、そのスタイルがシェアード・JOBリーダー。

2017年から本格的に、このスタイルにチャレンジしている企業が数社あるが、私の経験則で見ると人的企業体力が120%以上向上しており、それに伴い業績も向上している。

〇生存分岐点となる戦略の展開マネージャーの仕事内容変化
既存商品×既存市場だけでは売上高・粗利益率は低下するので、中小企業では現在は新たに≪商品開発機能とマーケテイング機能≫が求められている。でも、誰がやるのか???
 
経営者、役員は同然だが、これだけではリソース不足。成熟社会に求められるマネージャーの仕事内容変化は、チームをまとめる以外に新たに、商品開発、技術開発そして販売エリア・チャネル開発等の戦略的な動きでチームに仕事、そして業績をもたらす仕事にチャレンジしていくことが求められる。このベースとなる土台がシェアード・JOBリーダースタイル。

複雑な社会・経済環境だが、ご提案させていただいた3つのMSをベースに2018年1月から2020年6月までの30カ月戦略ロードマップを考えることをお薦めしたい。

ご覧の各企業様においては、経営者・後継者・役員・部門長層を中心として各企業様が精励されることをお祈り致し、新年のご挨拶とさせていただきます。

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筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています

      http://www.m-a-n.biz/3-3.html

         是非、ご覧ください
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