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「チームとしての考え方を共有化」全4回-④「メンバーが理解すべきチーム運営の10の視点-2」

小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(29)

【チームとしての考え方を共有化しよう 全4回】
第4回目「メンバーが理解すべきチーム運営の10の視点-2」
 
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
 
(1) チームで共通の問題に気付いていく
 
チームは問題だらけです。
しかし、最初からチームに共通の問題があるわけでありません。
 
問題とは、誰かの目を通して初めて問題となります。問題が転がっているのではなく、誰かが問題にすることで初めて問題となり、浮き上がってきます。でもこの段階では、ある特定の人だけの問題であって、他の人にとっては何でもないことかもしれません。
 
つまり、最初からチームに共通の問題があるわけではないのです。
 
ある特定の人が見える問題が、チームにとって必要な共通の問題ならば、チーム共通の問題にしていくこととなるわけです。経験の浅いメンバーが多いチームは「見える問題が見えない」状態ですので、時間は掛かりますが、基本的にこの課程をたどるしかありません。
 
経験の浅いメンバーが問題を見えるようにするためには、問題とする価値判断基準を教えないと問題は見えません。
 
たとえばチームにとっての達成すべき目標、守るべき基準等が共有化されないと、何を問題とするかがバラバラになってしまいます。価値判断基準が共有化されてこそ、現状に対してチーム共通の問題が見え、共有化されるのです。
 
メンバーに問題を見えやすくことは価値判断基準を理解させることです。温暖化の影響もあり、夏には猛暑が続きます。猛暑とは普段と比べ、猛烈に暑いときのことですが、この暑い感覚は人によって、違います。日本は1日の最高気温が35℃以上の日を猛暑日といいます。この35℃以上が価値判断基準となるわけです。
 
問題の見え方は特定の人だけより、メンバー全員が共通して見える方が手のうち方は色々できます。また、どんな些細な気になる点でも、チームメンバーが問題を見えやすくすることで「どんな感じ?」「もしかしたら」「以前にもこんな事が」「それならばこうしたら」等の日常会話ができるようになります。
 
問題を解決する場が会議だけと思い込んだら、動いている現実に対して、何も手が打てません。問題が見えるメンバーをつくることによって、ある特定の人にしか見えなかった問題点をチーム共通の問題として、捉えることができるようになるのです。
 
そうなると、リーダーであるあなたは、問題に気付くチームを運営することができます。
  
(2) メンバー間の理解がチーム相互補完機能を高める
 
チームの目指すものは何かという目的意識があるから、自分は何をすべきかの役割認識がでてきます。
 
チームにおける自分の役割認識が見えてくると、他メンバーの仕事の内容もわかるようになります。そうなると、自分の計画遂行だけでなく全体との連携・調整に目配りができてきます。また、それぞれのメンバーの役割について、何ができて、どこまでを期待値とするかという相手への立場・責務等の共感性を持った他者理解ができ始めます。
 
そうなると、足りないもの、できていないものを、チーム内でどう協力していくのかがやりやすくなります。
相互補完機能とはお互いの不足を協力して解決していくことです。そのためにはお互いが共通して目指す目標、それぞれのメンバーのやるべきこと、そしてやるべきことで何ができて、何ができていないのかを知らないと協力はできません。
 
お互いが協力していく前提として、チーム全体の目標を知ること。それに対する自分の役割、そして他メンバーの役割を先ずは知ることです。そして目標にチームの進捗状況、目標達成の目処をオープンにし、これから先への対策を見せていくことが相互補完機能では必要となります。
 
(3) チームに秩序や規律をもたらせるメンバー主導の牽制機能
 
神様は良く見ています。
決め事・ルールを守らない会社には、業績が訪れないようにしています。
 
「決め事やルールとは青信号なら渡る、赤信号なら止まること」です。それを守るから子供から老人までの交通社会は成り立っています。チームには組織のルールがあり、それを遵守するから組織としての形態を保つことができるわけです。
 
中小企業は会社を運営するルール・基準が決まっていなかったり、仮にあったとしても一部の人しか知らなかったり、知っていても守らなかったりするからバラバラになるわけです。
  
業績の上がらないチームの特徴は決め事・ルールを守れません。逆に決め事・ルールを守る会社は守らないと周りのメンバーから注意されるので、決め事を守る風土ができ上がり、業績も上がります。
決め事・ルールを守る意識が高いチームは、人間集団の基礎的能力が高い集団です。高いから「守らせる事」に労力を注がなくて済み、結果、他のことに力を入れられるから、業績も上げやすくなるわけです。
 
遅刻をする、提出物を出さない、報告をしない等に力を削がれないことです。
 
チームにおける牽制機能はリーダーのみではなく、メンバー同士の当事者意識がポイントとなります。メンバーがチームのメンバーを指摘できるかどうかです。これができるチームは正直者がバカをみない職場風土を形成でき、チームの維持発展が図られます。
 
(4) チームの生産性なくしてメンバーへの分配なし
 
会社の総経費に占めるもっともウエイトの高い費用は人件費です。
総人件費とは、毎月の給与(基本給・諸手当・通勤費)、賞与、そして会社が負担している法定福利・福利厚生・退職金の積み立て等です。
 
会社は経営を圧迫してしまうからこの会社全体の総人件費をできるだけ低く抑えたい。しかし、一方社員からすればできるだけ多くの給与が欲しいと思うのは当然であります。ここに、両者の間に矛盾が生じます。
 
しかし、ここで誤解して欲しくないのは、会社全体の総人件費をできるだけ低くするといっても、仕事をする上での最低人員を下回れば、会社の仕事は成立しません。ならば一人当たりの人件費を低くしすぎたら、社員は辞めます。
 
この両者間の相反する矛盾を解決するのは、ただひとつ「生産性を上げること」です。
 
今まで10人で1,000万の粗利益を稼いだ。これを8人で1,000万稼ぐか、10人で1,200万稼ぐかであります。
つまり、同じ人数で粗利益高アップを図るか、人数を減らし、粗利益高を維持するしかありません。
 
個人生活で考えると、手取り金額がUPしなければ発泡酒からビールにならないのと同じ理屈であり、手取り金額が粗利益高でビールになる事が個人の給与のUPであります。
 
賃金は一人一人が主人公。すごくデリケートであり、難しいテーマでもありますが、この会社・チームの生産性なくして、分配なしは経営の絶対的原則であります。
 
(5) チーム、メンバーのマンネリを取除くワクワク感にチャレンジ
 
熱湯にカエルを入れれば飛び出すけれども、水から徐々に温度を上げれば、ゆであがって死ぬまで気がつかない。いわゆるゆでガエル現象です。
 
この現象の意味することは、マンネリ状態です。
マンネリ状態とは、ぬるま湯のように心地よく、無理しなくても同じことをただ繰り返せる楽な状態です。
 
同じ仕事を同じ方法で3年やれば、誰でもマンネリ状態になります。楽な状態だからこそ多くの人が、マンネリから抜け出せないわけです。このマンネリ状態の怖さは自覚症状として気付いたときには、どっぷりとマンネリの渦に巻き込まれていることです。つまり、自覚症状がでにくいのがマンネリです。これがチームなら業績に直結していくでしょう。メンバーなら、個人の能力・スキルに現われるでしょう。
 
マンネリ状態を心理学では、刺激と反応の2点から説明しています。人間には生まれつき適応能力があるので、外部からの刺激にうまく適応できるのですが、同じような刺激ばかりでは物足りなくなります。そこで、刺激を強くするか、刺激の質を変えれば、新たな反応が起こり、マンネリはなくなるそうです。
 
日本には100年以上続いている老舗企業が約3万社あるといわれます。その多くの企業が「変革し続けたからこそ現在がある」といわれています。
 
あなたのチーム、あなた自身は今年、何か新しいことにチャレンジされていますか?
何でも構いませんので、これまでとは違ったことをして、ワクワク感がでればマンネリを脱出する第一歩となるでしょう。
 
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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/ 
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         筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
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     http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html