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【明日の種づくり 全4回】 第4回目「新成長企業に共通するサンプルのない会社づくり」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (29)
【明日の種づくり 全4回】
第4回目「新成長企業に共通するサンプルのない会社づくり」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■ビジネススタイルの変更

ビジネスのスタイルは、20世紀は労働集約型、21世紀は知識集約型といわれる。労働集約型とは小さな利益を大量生産で稼ぐことで、「早く・安く・正確に」をベースしたオペレーション技術が重要となり、扱う数量は多く、かかる時間は長くなる。

逆に知識集約型とは、大きい利益を少量で稼ぐスタイル。独自性をベースにした創造性が重要で、大きさ・時間に比例しないクオリテイが成否を決める。

つまり、知識集約型における付加価値の源泉は、商品の「生産手数料」ではなく、知識・技術・情報・ノウハウなど人の「能力」に起因する。

労働集約型の場合、競合他社が多くなると最終的には価格の叩き合いになり、付加価値が確保しにくくなる。だが、知識集約型は、やり方によって付加価値をつけることが可能になる。

ビジネススタイルが労働集約型から知識集約型に変われば、原価の構成比が変わる。製品原価には労務費、原材料費、機械設備費などがあるが、知識集約型になると、原価構成のうち知的財産原価(知識・技術・情報・ノウハウ)の占める割合が増える。

この知的財産原価は、前述のように創造性が源泉となり、他社ができないことをやっていくのが基本となる。他社でも同じようなことができて価格競争になるまでには、先行者としての時間が猶予されるから、付加価値がとれる。

要は「いかにコストを下げるだけ」ではなく、「いかに付加価値を上げるか」だ。コストダウンをまったく無視するのではないが、あくまでもコストダウンはベースに置き、そのうえで付加価値向上を考える。「新成長企業」にはこの傾向が強い。新成長企業とは創業10~20年ぐらいの急成長企業で、俗に言う「同業種の競合企業がない」「追随しようにもサンプルがない」企業のことだ。

この新成長企業に共通するキーワードは「他がやらないことをやる」ことを商品開発、マーケテイングの基本コンセプトにしている点にある。競合がないことは強い。競合企業があると、そのやり方を模倣され、結局コストダウンをして利益を出す構図になってしまうので、大きい利益が取れなくなる。

■労働集約型から脱皮したサンプルのない会社づくり事例

産廃業を営んでいるA社は、創業50年以上の歴史を持つ社員数20名弱の会社。創業当時は炉施設・設備解体を中心に事業展開を図っていた。技術の固有性が高く、炉設備・施設に付帯する業務に固定客がいた。そして現社長は、前社長からバトンを受けたとき、炉解体から出るレンガの産廃業に進出した。

このレンガは産業廃棄物で、有害物質が基準値を超えて含まれているため政令で「特別管理産業廃物」として指定されている。この収集・運搬許可を取得するのは大変難しいが、この会社はその許可を全国66カ所の都道府県・政令指定都市で取得している。つまり、固定客の要望に対応できるように、全国規模で収集・運搬許可を取得している。

収集運搬は小商圏で効率化を上げることが原則だが、その逆をとり、専門性を求められるニッチ分野で広範囲な営業エリアで勝負している。そして中国に国内の炉工場が移転すると察知し、都市ごみ焼却炉のビジネスへと進出し、大きな柱へと成長している。現在、A社は、産業廃棄物の処理ノウハウを提案する環境コンサルティング業にも事業を拡大している。

この会社の歴史を見ると、現社長になり、3~5年で常に新しいことにチャレンジしており、立ち上げたビジネスが軌道に乗り始めたら、すぐに次の展開への準備に入る。だから、競争相手がいない土俵で勝負ができている。

このようなサンプルのない会社に共通しているのは、顧客が求める知識・技術・情報・ノウハウを先読みし、構築し、組み合わせている点だ。今後予測される産業構造の変化は、私たちが経験していないことが多く発生する。だから過去の経験のみでは、間違いなく対応できなくなる。

先を読んで明日の種をつくらなければ、レッドカードが渡され、「退場」を言い渡されてしまう。

■他がやらないことを徹底して成長する企業
ーーー型破りの創業10年感謝祭

「他がやらないことを徹底してやる」—-これを口癖にしている創業10年・年商30億の企業が創業10周年感謝祭を行った。
その場所は後楽園ホール。ご存じの方もいると思うが「格闘技の聖地」と言われる場所だ。

この創業者は創業10周年感謝祭で、本物のプロレスラー(元横綱の曙さんたち)とプロレスの試合を行った(もちろんこれ以外の催物もあった)。

この創業経営者は学生のときからプロレスをできるように鍛えているから、このようなことができたわけだ。これも他の企業ができないことをあえて選んで、実行しているそうだ。

この会社の仕事は、自動車関連業種で新車販売をしている。
メーカー系列デイーラーではないので、差別化のために多くのメーカーの新車をユーザーに安く提供する方法を考えており、例えば、新社会人には【出世払いプラン】と名付けて、購入1年後から支払いをスタートさせる商品を作ったりしている。

また、レンタカーを1時間当たり100円で使用できるシステムも開発して、全国に800店の代理店・FC店を有している年商30億・社員50名の成長企業だ。

この会社の「他がやらないサービス」の原点は、顧客の声から創りあげている。
顧客から「こんな事はできないの?」と言われれば、できる・できないは別にして、とりあえず検討するそうだ。

他がやらないことをやる重要性は、誰でもわかる。
しかし、それを現実に実行するのが素晴らしい。

■目的と目標の違い

目的とは、目標に対する「なぜ?」のことといわれる。

目標……他がやらないことをやる。
目的……「他がやらないことをやる」のはなぜ?

それは、後発企業として生き残るためだ。

杉浦健氏の著書『スポーツ心理学者が教える「働く意味」の見つけ方』で以下のことが書かれている。

設定した目標が高ければ高いほど、途中で何度も躓いたり、壁にぶつかったりする場面が訪れ、そのたびに「なぜ自分はこんな大変な思いまでして100点を取ろうとしているのだろうか?」と自分に問いかけることになる。
そのときに納得できる答えが出てこなければ、それ以上頑張る気は起こらない。

これが目的の明確化となるそうだ。

実際、杉浦健氏が分析・研究したトップ・アスリートや一線のビジネスパーソンは皆、自分たちの仕事や目標に対しての「なぜ」が明確だったそうだ。

言い換えれば、目的や意味が自分の価値観や本質に深く根差したものであればあるほど、大きなエネルギーが発揮でき、より高い成果につながるといえる。

この創業10年の成長企業はこの目的が明確になっており、このぶれない軸を徹底して行っているので、成長しているわけだ。

ご参考にしていただきたい。

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筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています

      http://www.m-a-n.biz/3-3.html 

         是非、ご覧ください
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