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年商10億・30億・50億の壁を突破する方法 全4回-(1)「会社の成長軌道」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (30)

【会社の成長軌道 年商10億・30億・50億の壁を突破する方法 全4回】
第1回目「会社の成長軌道」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■中小企業の成長軌道

人間は誕生し、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、成人と成長過程がある。その節目に人との出会いもあるし、入試もあるし、卒業もある。また、人生の節目として成人式、就職もある。

それと同じように、会社にも基本的な成長軌道がある。

≪会社の成長軌道≫


■誕生期

まずは誕生期。会社が生まれて間もない時期で、どの会社にもある。

会社の生存確率は人間の存命率より厳しい。誕生した会社が10年間生き延びる生存確率は20~30分0%と言われる。30年、40年生き延びている会社はその難しいハードルを3回も4回も乗り越えているわけであり、非常に評価されることである。

■基礎固め期

誕生期が過ぎると基礎固め期になる。この時期は商品、顧客の基盤が少しずつでき上がる時期である。

■急成長期

次は急成長期に入る。これは商品の選択、業種の選択、エリアの選択、お客様の選択等がよいからお客様・仕事の数が増え、急成長できる。

従業員の数が増えるから急成長するわけではない。必ずお客様・仕事の数が増えるから、従業員の数も必然的に増える。そうやって会社は急激に成長する。

■安定期

会社の急成長が終わると、安定期に入る。安定期を売上高でみるとメーカー業で5億ぐらい、卸売業で10億前後、小売業で7億ぐらいである。

安定期になると会社内部に2つの大きな変化をもたらす。
1つ目は前年対比の検討ができ始めることである。少なからず、色々なデータ、資料が揃い、前年対比の検討ができる規模になる。
2つ目の特徴は、経営者が、現場から離れることである。

誕生期、基礎固め期、急成長期と社長を中心とした一体感で成長された。その一体感も社長が現場に出て、みんなを引っ張るスタイルでであった。

これが安定期に入ると、まがりなりにも工場なら工場を任せる工場長、販売なら販売部長の存在がある。社長が現場にいなくても、それとなく業務は回る段階になる。

そして経営者が、現場業務からだんだん足を遠ざける段階が安定期である。しかし、決して経営者が楽をできるわけではない。

この安定期なると、それ迄の「物づくりのトップ」「売りのトップ」の発想で仕事をやろうとすると、「経営者は暇」になる。この時期に社長が本来の経営者の仕事にどれだけ力を注げるかが、安定期を如何に脱皮していくかのテーマでもある。

従業員の数も10人から20人、20人から30人の規模になる。30人の規模をまとめるためには、社長がいつまでも現場のトップだとまとめることは難しい。社長自身が経営者の仕事にギアチェンジしないといけない。つまり会社に合った経営の技術を構築しなければ更なる成長は期待できない。

■安定期からの成長軌道

安定期を迎えると、企業は3つのパターンに分かれる。

私の経験からすると、安定期の次は全般的な規模で10億が一つの境目になる。10億を突破する会社、10億を突破できない会社の違いは、明確にある。それは次の3つのパターンである。

≪1つ目は5-①の停滞・衰退期≫
安定期を迎え、社長が次なる成長策を打ち出せずにいると、会社はすぐにマンネリになる。マンネリとは、3年間やることが変わらないことである。そうするとすぐに業績が落ち込む。

安定期は、業績がずっと安定するわけではなく、少し基盤ができ上がったことである。

中小企業の損益分岐点操業度は、大体95から98%ぐらいが多い。粗利益額が3%、4%、落ちると、一気に赤字に転落する。よって、更なる成長策を打ち出せずにいる会社はすぐに停滞、衰退期に入ることをご理解していただきたい。

≪2つ目は5-②の微成長期≫
微成長期とは、商品選択、お客様選択、業種選択に恵まれて微成長していることである。
優れた商材を取り扱っている、優良なお客様と取引をしているが、何も手を打たないでいると、現状の延長線上で少し伸びることはあるが、10億の壁を突破できない。

≪3つ目は5-③の膨張成長期≫
膨張成長期とは10億の壁を突破し、30億を目指す会社、30億を目指せる会社のことである。経営者のパワーを中心に、多面的な展開を積極的に進める。この多面的な展開は営業所、店舗、エリアの拡大である。だから必然的に、グロスの売上は増える。

しかし10億から30億に伸ばすときは、会社の中身が伴わないことが多い。どうしても、成長期の前に「膨張」傾向が付く。

30億を目指すケースでも、将棋の金、銀、飛車、角が、備わっていないので「王将と歩の経営のスタイル」である。王将がこければ皆こける不安定さもあるが、反面、会社としての勢いも非常にある状態である。

安定期を迎えた会社は、3つのパターンに分かる。
今、、お読みになっている社長が、「自分の会社は今8億で、何とか10億を突破したい」と思われるなら、やはり経営者として、経営者の仕事にチャレンジをしなければいけない。

■膨張成長期からの成長軌道

膨張成長期を迎え、50億を目指す段階は2つに分かれる。

≪1つ目は6-①の 衰退、倒産期≫
これは中身が伴わずに成長性が失速すると非常に危険な状態になり、最悪の事態を迎えることが多い。この規模の企業態は、図体はそれなりだが、中身があまり伴っていない。王将と歩の経営のスタイルから脱皮を図ろうと必死にもがいている。

その脱皮猶予期間を与えてくれているのが成長性である。売上が30億を超えると「入るお金と出るお金」の額が根本的に1桁変わる。中小企業にとって、桁が1桁変わることは金融機関対策だけみても社長の資産だけでは、対応できにくい状況になる。

だから成長性というご飯を食べながら、バランス力の血肉を付けないと体を維持できなくなる。中身が伴わずに、成長性が失速すると最悪の事態を迎える。

≪2つ目は6-②の拡大成長期≫
これは多面的展開に多機能導入(複数事業部制、本部制導入)により拡大成長し、グロスとして50億企業になる。

しかし外面は中規模企業であるが多面的、多機能の一つ一つの中身は中小企業のままでギャップの塊現象になる。売上グロスから中規模企業の見られ方を世間からされ、チヤホヤされ始める。多面的な展開で営業所展開をする。

しかしその営業所の中身をみると完全な中小企業である。一事業所で商売展開する中小企業は社長が常駐するので、問題に対応するスピードは速いし、会社の方針等を伝えるにも容易くできる。しかし営業所は、営業所長がトップになる。だから営業所一つ一つの中身は、実は中小企業よりも体質が弱い。

つまり「グロスは中規模企業、しかし一つ一つの中身は中小企業よりも体質が弱い」事が多い。そこに種々様々なギャップが多発する。この拡大成長期で、50億を突破するためには多機能即ち、本部制、事業部制を導入しないと、うまく回らない。

それとこの規模の特徴は色々なことの「旧」と「新」のぶつかり合いがある。このぶつかり合いを通して「融合化」し、その会社にとって必要なことを築けないと人的側面で運営が難しくなる。

■拡大成長期からの成長軌道

拡大成長期を迎え、100億企業を目指す段階になると拡充成長期になる。

拡充成長期とは多面的展開、多機能導入の拡充により100億企業を目指せる体制になるのである。50億を突破して100億を目指すためには、多面的な展開、多機能の中身をいかに拡充するかである。

拡充とは「広げ、かつ中身も充実させる」ことである。この中身を充実させないと、100億企業になってはいけない。会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に早い。しかしそのスピード差をいかに無くすかがポイントになる。この時期では「王将と歩の経営のスタイル」から脱皮し、「担当役員経営者」が誕生しなければならない。

中小企業の成長軌道は誕生期から拡充成長期である。

■身の丈に合った経営

自分の会社は、「10億を突破したい」「30億を突破したい」「50億を突破したい」と夢、ビジョンがあることだろう。しかし反面、「うちの会社は7億で十分である」、これも一つの考えである。

会社は規模が大きいから良い会社、規模が小さいから悪い会社ではない。継続して栄えている会社が良い会社である。

私の27年の経営コンサルテイング経験で、一番の営業利益を出す会社で、「年商7億で営業利益3億」の会社がある。この会社とは15年のお付合いがあるが、意図的に会社を大きくせずに、商社業で粗利益率52%を死守する基本政策を貫いている。規模を大きくすればするほど、自分たちの勝てる土俵の戦いから遠ざかり、経営のリスクが高くなることを懸念しているからである。

ご理解していただきたいのは、経営者御自身のキャラクターに合う「身の丈に合った経営態」を創るのが1番大切なことである。自分の、会社の身の丈に合ったやり方を考え、実践し、そして結果として、30億を超える、50億を超えることを考えねばならない。

 

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筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています

      http://www.m-a-n.biz/3-3.html 

         是非、ご覧ください
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