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【シェアの奪い合いが生存条件になる時代が到来 全4回】-③「インストアシェアアップの弱い者いじめ戦略」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (36)
【シェアの奪い合いが生存条件になる時代が到来 全4回】
第3回目「インストアシェアアップの弱いものいじめ戦略」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■弱者は強者の真似をしないこと

これが弱者の戦略の基本となり、その基本形は以下の通り。

●一点集中 :攻撃目標をひとつに絞り、強者の弱点を重点的に攻める
●局地戦:スキマ・ニッチ市場に競争の場を特化させ、トップ企業と戦う
●土俵を変える:強者が気がついていない穴場、手が出せないカテゴリーで戦う
●陽動作戦:従来パターン以外の方法で、強者を出し抜く
●接近戦:強者に先んじて、顧客ニーズの把握や顧客への接点強化を図る
●グッピー戦:より弱い者を叩く戦略

戦いの戦略の基本は「勝てる場を見つけること」、そしてその方法を考えることにある。
トップの真似をして戦線を拡げるのではなく、自社の得意分野に特化し、勝てる場所で勝っていくことである。

しかし、それよりも確実な方法が、「グッピー戦略」と呼ばれる方法。
これは「弱い者いじめ」であるが、業者数の多い多数乱戦業界では、自社よりも上位ランクの企業と戦うより、特定の下位企業を叩くよりも、弱小規模業者を叩くほうが早いことを意味する。

グッピーというのは、小さな熱帯魚で、数多い弱小規模業者を雑魚にたとえている
日本には、比較広告という手法が根付いていなかったように、明確にライバル対策を実践している中小企業は少なかった。

しかし、多くの産業が衰退産業に向かっている。
衰退産業とは「ごく一部の企業が圧倒的に勝ち、大半の企業がなくなってしまう業界」である。

戦略とは、勝つことを前提で戦わないと、資源の乏しい中小企業では命とりになる危険性がある。
戦略という戦いの視点に「上をどう倒すのか?」—この視点が日本には根強い。
歴史・習慣等の影響だと思うが……。

しかし、戦略は時代背景・環境とともに変化していく。
インストアシェアアップ戦略の中に弱いものいじめ戦略も入ることをご理解していただければと考える。

■担当者同士の戦いがシェア率の奪い合いの本質

この戦いに負けるからインストアシェアの減少が始まる……。 

縮小型社会の特徴は、ビジネス対象マーケットにおける対象見込み客数が減ることによる量の確保が戦いのテーマとなるが、その解決策は難しい。
そうなると、マーケットに顧客増加が期待できないので、既存顧客でのシェアの奪い合いがテーマとして注目される。

既存顧客における自社の取引シェアを表すのが、インストアシェア。
顧客の発注金額合計が100でライバルAに50、Bに30、自社に20とすると、自社のインストアシェアは20%となる。
このシェア率の奪い合いが本格化している。

インストアシェアは売上高実績で表すが、これはあくまでも結果であり、大事な点は、顧客に対する攻撃量の厚み・数量によってインストアシェアが決定づけられることにある。

特に、インストアシェアアップ対策として即効性があるのが、顧客に対する攻撃量の厚み・数量の弱いライバルへの対策であり、この仕掛対策によって、売上を落としている企業も出始めている。

特に、貴社の重点顧客・Aランク顧客で売上高を落としている顧客があれば、ライバルのインストアシェアアップ対策が原因で落ちているがどうかを確認すべきである。

本当のライバル対策は企業対企業よりも、担当者対担当者の戦いが本質である。
この戦いに負けるからインストアシェアの減少が始まる。

つまり、担当者レベルの攻撃量の厚み・数量が落ちると狙われることを理解して、対応すべきである。

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

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