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「日本の税について」(真田幸光)

真田幸光氏の経済、東アジア情報
「日本の税について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

 私は、小学校6年生の時に、
「国民の三大義務」
の話を先生から学びました。

即ち、日本の国民の三大義務とは、日本国憲法に定められた、
(1) 教育の義務(26条2項)
(2) 勤労の義務(27条1項)
(3) 納税の義務(30条)
のことを指すのは、皆様もご高尚の通りです。
 
私は、自らの仕事の中でも、若人に教育を与えるという義務を果たし、また、大学を出てから、約38年、病気で休むことなく、勤労の義務も果たし、更に、節税なることも基本的にはせず、明朗に納税義務を果たしてきたつもりです。
 
そしてまた、私は、
「私たち国民は、こうした三大義務を果たして初めて、基本的人権という権利を主張できる」
との解釈をしています。
 
しかし、最近の状況を見ていると、私なりに不満があります。

(1) 何故、現在の日本政府は、私たち国民に対して、やれ働き方改革だ、やれ人生100年時代だ、やれ一億総活躍時代だ、などと言いながら、死ぬまで、勤労の義務を果たせと言っているかのように、目に見えぬ圧力をかけてくるのであろうか? 年金制度が事実上破綻している中、少しでも年金支払いの政府負担を減らすように誘導しているのであろうかと疑ってしまう。

(2) 何故、日本政府は、今般の消費税の引き上げに際して、制度設計を複雑化しているのであろうか? 国民が、簡単に税制が理解できないようにして、税制の矛盾を国民から指摘しにくくしているのであろうか? 納税者の様々なメリットを聞き入れ過ぎて、その結果、税制を複雑化しているのであろうか?

(3) 何故、日本政府は、消費税引き上げという増税をしながら、国の債務を減らすような議論をせず、むしろ、しなくてもよいような政策を展開しようとしているのであろうか? こうした増税分の使い道なら、むしろ、増税をしない方が良いのではないか?

と言った様々な疑問、不満が頭の中に、湧き上がってきます。

繰り返しになりますが、
「国民はしっかりと勤労をし、そして、社会の為に納税をしなくてはならない」
と私は強く、強く考えますが、しかし、その反面、
「私たち国民は、働き、納税をする、奴隷ではない」
とも考えます。
 
どうも、最近の日本の税については、納得できないことが多々あり、もやもやとしたものを感じます。
 
皆様は納得されていらっしゃいますか?
 
納得していらっしゃる方がいらっしゃれば、その納得の仕方を是非、教えてください。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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