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「プノンペン(カンボジア)」(2019.6月)増田辰弘

【アジアを覗けば日本が見える】(2)
「プノンペン(カンボジア)」(2019.6月)

増田辰弘氏(アジアビジネス探索者)

■銀行はドルへの両替はしてくれず
少し動きもあるようだが、カンボジアはいまだに現地通貨リエルは補助通貨としてしか通貨せず、ドルが同国の基軸通貨である。

うっかりとドルの持ち合わせないがないことに気がつき、銀行で円からドルに両替しようとするが、3つの銀行を回るもどこも円(外貨)からドルへの両替は行っておらず、送金と両替の専門会社WINGで両替をした。

■プノンペンの街に50メートル間隔でWINGの店舗
そのWINGだが、プノンペンの街にはオーバーでなく50メートル間隔である。携帯電話が双方にあれば全国どこにでも送金する。銀行と郵便局の支店網が遅れて要るだけに抜群の強さである。

その両替のレートだが日本よりもずっと良い。いろいろな国の外貨がドルに換える必要があり、カンボジア国内でよく流れていることを示している。

■旅行者はまだ外貨預金ができる
まだ、カンボジアへ旅行をしてその時に預金をして帰ることができる。この制度は廃止の動きがあるものの、まだできていた。

プノンペン商業銀行(PPCBANK)では定期預金でドルの場合だが12ヶ月で5%(リエルだと5.5%)、60ヶ月で6.5%)であった。上限の金額はなく、パスポートと保険証などがあれば誰でも預金できる。同銀行ではジャパンデスクがあり日本人3人を含む6人が対応しているが多くの日本人客の対応に追われていた。

■ツクツクは2極化が進む
プノンペンのイオンモール2号店で不思議な景色を目にした。アプリで呼べる新型車のツクツクは構内に入れ、旧型車の雲助グループは構内に入れなくなっている。そうするとアプリができない人も新型車と交渉することになり単価が随分安くなっている。なかなかメーター制のタクシーとはならないだけに、ツクツク、タクシーの料金が落ちて来たのは朗報である。ただ、旧型車のドライバーのなかには1日40ドル稼げない者も出て来ていると言う。

■ワーカーは給料の8割を実家に送金
何社かで工場のワーカーが給料をどの程度実家に送金するかを聞いたところ、その8割はまだ実家に送金している。プノンペンの街はもうバンコク、ホーチミンと変わらないほどの様相だが、社会構造はそうは進めない。

■プノンペン経済特区のゲートの管理が厳しくなる
プノンペン経済特区のゲートは管理だが、従来は人員も配置されておらずほとんどフリーパスであった。

しかし、今回見ると人員も常時2人配置されている。扉が設置されており車が出入りする度に検査をしている。おそらく、国内からの部品納入が増え、「外国からの部品は通関でやっているから良いだろう」では済まなくなったと思われる。

■旭川のラーメン屋「シャングリラ」
プノンペン市内王宮のあるドーンベン地区にある店長の山川翔太さんが表現する旭川のラーメン屋「シャングリラ」は、開店時間は午前11時から午前1時まで、1年365日営業している。

山川さんはここで6年前から営業しているまだ31歳、日本人のカンボジア投資を象徴する事例である。

 

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■増田 辰弘
1947年島根県生まれ。法政大学法学部卒。プラザ合意以降の第1次アジア投資ブーム時からアジアの日系企業を取材し、現在まで25年間で取材企業数は1500社を数える。今後15年で前人未踏の3000社を目指している。毎月1回東京で「アジアビジネス探索セミナー《を開催するほか、地方、アジアでも出前アジアビジネス講座を開設している。著書『アジアビジネス失敗から学ぶ成功する法』(産能大出版部、1995年)、『中国ビジネス勝利の方程式を解く』(グローバルヴィジョン、2004年)など多数。

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