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【コンセプトを立てたマーケテイング戦略 全4回】ー②「購買者と顧客は違う」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (44)
【コンセプトを立てたマーケテイング戦略 全4回】
第2回目「購買者と顧客は違う」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■望まぬ顧客

「マクドナルドが犯した最大の失敗」というコラム(佐藤昌司氏)より、マクドナルドの失敗は「顧客の質の低下」がもたらしたとしている。

マクドナルドを利用する顧客に変化がみられ、
●騒ぐ若者がたむろしている
●食べ散らかす客が増えた
●子供が騒いでも親が注意しない 
等のモラルの低い顧客が増加したそうだ。

本来ならば、上記のような顧客は望ましくない顧客だろう。
マクドナルドは知らず知らずのうちに、この望まぬ顧客を呼び込んでいたとしている。

低価格や効率重視の経営により、次のような循環が発生したようだ。

●売上を上げるために誰でもよいから集客
●顧客の質の低下
●質の高い顧客の離反
●業績が悪化
●売上を上がるために誰でもよいから更なる集客
●顧客の質の更なる低下

結果として、本来の優良顧客が離れた現実の影響は大きいとしている。

■買ってくれる人がお客様とは限らない

購買者とは買ってくれた人、顧客とは自社のファンであり、買ってくれる人である。
この違いは大きい。

よくお話しすることだが、買ってくれる人がお客様とは限らない。買ってくれた人がお客様という発想からでは、マーケテイングは生まれない。

マーケテイングは、顧客をメーキングする機能であり、メーキングには、意思が必要である。
ただ単に買ってくれる人は、自社を儲けさせてくれない。

●顧客を選ぶから
●その選んだ顧客から選ばれるように
●その顧客に合った方法に価値を高めていく

だから結果として、付加価値がついて、次の商売につなげられる。
「やりたいこと」と「やれること」は違うし、さらに「やり続けること」は根本的に違う。

継続して栄えることは「やり続けること」であり、そのバックボーンは「購買者」ではなく「顧客」が存在するからこそ、やり続けられるのだ。

■顧客のニーズ探しは「不」がポイント

顧客のニーズは顧客が一番よく知っている。
提案する前の情報収集を現場で押えることが大切だ。戦いの前に、偵察隊が的確な事前情報を指令部にもたらすから、戦に勝つことができる。

提案する前のニーズ情報は、顧客または顧客の先の顧客の現場に落ちている。
現場とはその商品の使われ方・買われ方の現場である。
現場を押えれば、ニーズ、ウォンツも見えてくる。

■不(不満・不便・不安・不要)の解消

お客様の不の解消である。お客様が「不」と感じる要素は、
●不満
●不便
●不安
●不要
等と色々ある。

商品には主役商品と脇役商品がある。商品自体にひとつの機能を持ったものが主役で、そこに組み込まれる部品のような商品は脇役になる。

A社はレストラン・飲食店等での廃油回収をしている会社である。あるとき、大手の焼肉チェーンのグリストラップの清掃業務をしてくれないかと相談が持ち込まれた。焼肉の網に付く肉片の油が固まってとりづらく、清掃に時間がかかり、アルバイト代がかさむとの内容であった。

その「不」を解消するために肉片の油が簡単にとれる溶剤を開発し、喜ばれた。考えてみれば、廃油を回収するときに厨房の床から顔を上げると、色々な箇所の汚れ、清掃のしにくい箇所の発見があった。

そこで、A社は厨房回りの清掃溶剤を色々開発し、アイテムを増やした。主役商品は粗利益が取りやすく、脇役商品は取りにくいという傾向がある。だからといって脇役商品の合計粗利益が一様に低いわけではない。関連性を持たせることによって粗利益率が低くとも、そのためのみに動くことではないから商品営業利益は確保ができる。

中小企業の商品開発・戦略づくりの基本はマーケットイン方式。つまり、現場の困りごとをベースに開発していく方法である。

 

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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