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【新連載・新型コロナ時代を生き抜く人事評価】「テレワーク(在宅勤務)の人事評価をどうするか」(蒔田照幸)

【新型コロナ時代を生き抜く人事評価】
第1回「テレワーク(在宅勤務)の人事評価をどうするか」

蒔田照幸氏((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役) 

新型コロナ感染拡大の防止という観点から、在宅勤務は検討期間も殆どなく見切り発車的な点もあったが、多数の企業に導入された。いや正しく言えば、導入せざるを得なかったということか。緊急避難的な在宅勤務ではなく、今後は会社勤務と在宅勤務のミックス型の就業形態になることも十分に考えられる。

終わったことではなく、在宅勤務におけるこれからの課題として浮上したのが対象社員の人事評価である。この人事評価について私見を述べておこう。

人事評価は、昇給、賞与などの給与面の他、昇格昇進、配置転換など人事面さらにはフィードバックを通じて社員の能力開発にも役立っており、人材育成、組織の発展に欠かせないものだと言ってよい。ところが、在宅勤務ではこの人事評価が実施できない、あるいは実施しても成果のみの評価になる、あるいはならざるを得ないのだという意見が数多くみられる。

仕事は「プロセスと成果」の両面から評価されるべきだが、在宅勤務では部下と接することがなくプロセス評価は不可能だというわけである。プロセス評価の重要性を認識している企業では、成果重視型評価と言い換えていることもあるようだが、成果の他にプロセスの評価もあってはじめて成果重視型評価が成立するわけであり、プロセス評価無しで成果重視はあり得ない。いったいプロセス評価はできないという根拠はどこにあるのだろう。

探っていくと理由は簡単で、プロセスとは何かという根本的な議論が抜け落ちているからだ。在宅勤務に限らず、プロセスを“一生懸命がんばったか”といった程度と認識するから、経営者からは、「仕事は頑張って当たり前だ」と言われて議論は打ち切りになってしまう。そうではない。精神論や根性論ではなく、評価すべき重要なプロセスはあるのだ。

在宅勤務でも評価せねばならないプロセスの項目を列挙しよう。

① 目標達成に向けての進捗管理は適切だったか
② 必要に応じ上司や同僚あるいは他部署とも連携したか
③ 生産性を上げるために改善工夫した点は何か
④ 仲間の仕事に関係する点を発見したときに問題点を投げかけたか、 など

②は、テクノロジーが急速に発展しているからオンライン会議など適時実施することも可能になってきている。在宅勤務だとコミュニケーションがとれないとよく聞くが、問題点は解決できるのではないだろうか。また③や④はチームとして共有化すれば企業の大きな財産になるのではないか。

いま、在宅勤務は一歩を踏み出したに過ぎない。まずは企業で実践して課題を洗い出すことが重要だ。企業の生産性を上げるために具体的に何をどうすべきか、今こそ英知を結集するときである。

 

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蒔田照幸((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
ミルボン、ユニクロ、九州共立大学、(医)金森和心会病院など約700社、人事コンサル歴35年、懇切丁寧な指導で定評がある。人事評価分野では、2018年に大学と提携しAI投影法を開発。京都府立大学卒。1949年三重県出身。

◎賃金人事コンサルティングオフィス
 http://bit.ly/2RGZxpl