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「疑義が残る3つの話題」(真田幸光)

真田幸光氏の経済、東アジア情報
「疑義が残る3つの話題」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

私の最近の心配は、
「疑義、そして疑心暗鬼」
という心に巣くうウイルスが拡散し、社会不安が拡散していくことにあります。
 
例えば、きちんと、ウイルスのPCR検査をしているのか? 何人調べて何人が感染しているのか? などの疑義が出ていることも心配であります。
 
そして、世界にも様々な疑義が示されています。

【疑義その1 ボルトン氏の韓国・朝鮮日報に対するコメントについて】

ジョン・ボルトン元米ホワイトハウス国家安保補佐官は、7月2日(現地時間)韓国の保守系主要紙である朝鮮日報との電話インタビューに応じたと韓国の保守系主要紙である朝鮮日報は報じていますが、その電話インタビューの中で、ボルトン氏は、米国のドナルド・トランプ大統領について何度も、
「予測できない人である」
と述べたとされています。

つまり、トランプ大統領と1年5カ月にわたりホワイトハウスで共に仕事をしたボルトン氏をもってしても、トランプ大統領とはどういう人かわからない、そして、その政策と本心もよく理解できないというとコメントしたようであります。

そしてまた、ボルトン氏は、朝鮮日報の質問に対して、
「中国本土が韓国に対して過去のTHAAD(高度ミサイル防衛システム)報復のような経済報復に乗り出したとしても、トランプ大統領は韓国を支援しないかもしれない」
とのコメントをしたそうであります。
この点については、筆者も同様の見方をしています。

念の為、ボルトン氏は2018年4月から2019年9月までホワイトハウスでトランプ大統領の補佐官を務めており、北朝鮮に対しては超強硬派のボルトン氏は6月23日、ホワイトハウスの混乱を赤裸々に描いた回顧録「それが起こった部屋」を出版したたことは有名であり、その回顧録は出版第一週に既に78万部が売れるベストセラーになっていることもご高尚の通りでありますが、
「何が本当のことで、何が嘘であるのか? 疑義が残るボルトン回顧録」
であることは間違いないようです。

【疑義その2 ソウル市長自殺事件について】

「韓国のソウル市の市長であり、次期大統領候補ほ一人とも見られていた朴元淳氏の自殺事件」というショッキングな報道が世界に流れました。

これに関して、韓国の保守系主要紙である朝鮮日報では、以下のような記事が掲載されました。
少し、引用します。

「ソウル市庁で公開されている閲覧可能な資料を探してみたら…すぐに見つかりそうですね!!! 同じ女性として、私がその人間に真の教育をしてやりましょう」
インターネット・コミュニティーサイト「タンジ日報」にこのような投稿があった。
ここに書かれている「その人間」とは、朴元淳ソウル市長からわいせつ行為やセクハラなどを受けたとして警察に告訴した朴市長の元秘書のことである。

文面は「セクハラ被害者を探し出して報復する」という趣旨の反社会的内容だったが、掲示板に書き込まれてから数時間後には400件近い「支持」を受け、コメントも100件以上付けられた。

ほとんどが「そいつに人の世は恐ろしいことを教えてやらねば」「そんなに堂々としているなら、名前を出してMeToo(性的暴行被害の告発を)するなりしろ××」「悪は懲らしめなければなりません」など、最初の投稿者の主張に同調する内容だった。

タンジ日報は親与党系ジャーナリストのキム・オジュン氏が作ったサイトである。

これがメディアで報じられて物議を醸すと、この投稿は同日午後に削除された。
しかし、同日のインターネット上には同様の方法で「2次加害」を目的とした被害者女性の個人特定や、被害者女性の味方をする人々に対するコメント・テロが相次いだ。
その主体は、主に過激な与党支持者であると見られる。」

と言うものであります。

私には、もちろん、この事件に関するセクハラの有無や「その人間」と言われている人が「美人局」のような人間であったのかなど、ことの真偽は分かりません。

しかし、だからこそ、
「法の下に調査し、法の下に判決を下す」
ことが必要であり、
「三権分立に基づく放置社会の確立、実践」
が大切であると思うのです。

どうも今の世界は韓国に限らず、
「疑義の拡散」
と言う心のウイルスまでもが拡散しており、深刻な状況になりつつあると私は感じています。

【疑義その3 新型コロナウイルスについて】

台湾からの現地語情報の中に、以下のようなものが流れてきました。
中国本土の新型コロナウイルス発生直後に関連するニュースであります。
以下、ご参考まで、ご覧ください。
 
これについても、この情報が正しいのか否か、真偽を図る術もありませんが、上述したように、台湾の現地語情報の中には入っているのであります。

「ヤンリメン女史は香港大学公衆衛生学部でウイルス学と免疫学の博士号を取得しており、本年4月に香港脱出計画を作成し、入口と出口の警備員とカメラを避け、香港大学のキャンパス内から脱出しました。

パスポートと現金を持って、女史は飛行機でアメリカに発ち、アメリカに着くと、
「私がアメリカに来た理由は、私がCOVID-19についての真実を伝えたいからである」
との声明を発表しました。

そして、ヤンリメン女史は、
「中国本土で、もしこの事件について語ろうとすると、私は行方不明の上、殺害される」
と思い、香港を脱出してきたとコメントしています。

更に、女史は、
「中国本土政府に対する、こうした背信行為を行うと決めた場合、私自身が命を落とすだけでなく、家族さえも危険にさらされるだろう」
と考えたものの、今回の香港脱出計画を夫に伝えた。

これに対して、女史の夫は、
「中国本土政府は私たち全員を殺すだろう」
と言うことを覚悟の上、また、こうしたことを世界に伝えれば、中国本土は、
「やはり、私たちを殺害した」
と非難されることを嫌い、ひょっとすると私たちを殺害しにくくなる可能性もあると私たちは考えて、女史は夫を離れて一人で米国に行くことにしたとも見られています。

ヤンリメン女史はアメリカのロサンゼルス国際空港に到着し、税関職員によって入国を一旦、止められました。

そして、女史は直ちに米国当局に対して、
「私を中国に戻さないでください。COVID-19について真実を伝えるために私はアメリカに来たのです」
と述べ、これに対して、米国連邦捜査局(FBI)の連邦捜査官が女史の携帯電話情報が証拠になると信じてくれたことから、米国に入国したことを認めたと女史は語っていますが、FBIはこの点については真偽をはっきりと示していません。

尚、中国本土に残る女史の親などは中国本土当局の質問などを受けているようです。

さて、肝心の女史のコメントによると、香港大学のディレクターでありWHO傘下の研究所の研究者でもあるパンリーウェン博士は、2019年12月末に中国本土で発生した事件に関して、
「奇妙なSARS」
と称して、この病気の研究をするように女史に求めたとされています。

しかし、中国本土政府は当時、香港を含む海外の専門家が武漢に調査・研究に行くことを許可しませんでした。
そこで、女史は地元の友人にコンタクト、情報提供などを求めました。

女史には、中国疾病予防管理センターの科学者である友人がいます。
こうして集めた情報を基にして、暫定的な結論を下した後、女史はその分析結果を上司に報告しました。
これに対して、上司は頷いたうえで、女史に、
「調査・研究を続けるように」
と言ったと女史はコメントしています。

その数日後の本年1月9日、WHOはご存知のような声明を発表しました。即ち、
「中国本土政府はウイルスが一部の患者には、深刻な病気を齎すが、それが人から人に簡単に広がることはないであろう。」
と言う声明でありました。

女史は、WHOの声明の後、ウイルスについて公に話し合ったすべての医師または研究者が中国本土政府に特定されたと述べています。

そして、武漢の医療スタッフは、
「これ以上、詳細は尋ねないでください」
と女史に対して警告を発したと女史は言っています。

その上で武漢のスタッフは、女史に対して、
「私たちは新型コロナウイルスについて詳細を話すことはできませんが、私たちは今、マスクを着用することは義務付けられています」
と述べたと言い、そしてその後、武漢での人から人への肺炎の症例は日ごとに増加し始めましたのでありました。

こうした経緯の中、女史は、1月16日に再びウイルス調査の結果を上司に報告しましたが、上司からは、
「黙って慎重に。これ以上核心には触れないでください」
と依頼されたと述べています。

WHO傘下の研究所の共同ディレクターであるマリク・ペイリス博士もこうした詳細を知っていたにも拘らず、何の対策も講じなかったと女史は指摘しています。

こうした実体験を持つヤンリメン女史は、世界保健機関とその関連国際関が中国本土政府および中国共産党と同様に腐敗している為、新型コロナウイルスの流行が早期に沈静化できないかもしれない、それを改善するためにも、間違った情報が世界で広まることを望んでいないと、その心情を吐露しています。

疑義が残るお話ばかりで、私たち庶民は何を信じてよいのでありましょうか?
 
政治的リーダーの方々には、私たち庶民に対して、是非、
「誠意のある情報の開示」
をお願いしたいものであります。

さもないと、疑心暗鬼による、
「社会不安」
が世界を覆いつくしてしまうのではないかと私は心配しています。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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