[ 特集カテゴリー ] ,

【社会が変われば、全てを変える 全4回】-(1)「答えがない時代に働くことを理解する」(小池浩二)

小池浩二の【プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(62)
【社会が変われば、全てを変える 全4回】
第1回目「答えがない時代に働くことを理解する」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■モデルのない国

明治維新はイギリス・ドイツを、戦後はアメリカをモデルにできました。しかし現在の日本は課題先進国家といわれ、モデルのない国・前例のない社会づくりに挑戦しています。

日本は少子高齢化、エネルギー、環境、教育等の様々な課題を先進的に体験しています。日本が抱えている先進的課題を解決していく考え方・技術は、今後世界でも求められていくものです。課題を先進的に体験しているということは、ニーズを先取りしているということにつながります。

「課題先進国」という言葉を積極的・消極的に捉えるかは人によって違うことでしょう。国、会社、チームに求められているのは、課題を解決できる人です。 課題とは、ものづくりからサービスまで全てに当てはまります。 課題解決のためには、必要な知識・技術、そしてそれをやり遂げようとする意志・想い、そして努力が必要です。

中小企業の社員は新聞を読まない人が多い。そうなると、現在の社会変化・経済環境変化・国際情勢・国内情勢には、疎くなります。疎くなるとは危機感を抱きにくくなることです。 危機感と行動変化は比例する関係にあります。

■残存者利益の奪い合い

マーケットが縮小するとは、現在のマーケットサイズが総需要量100で業者数が10とします。このマーケットの総需要量が70に減少することです。

このときのポイントはマーケットサイズが70%に減少したから、業者数も70%の7になると考えがちですが、そうはなりません。このケースでは業者数は7ではなく、3~5になります。つまり、マーケットから退場させられる業者が増加するわけです。

縮小マーケットにて生き残る条件は大手企業と中小企業では異なり、大手企業は資本力をベースにした圧倒的なオペレーション力が必要で業界TOP2が必然。ですから大手企業の吸収合併やM&Aが活発化しています。

中小企業の生き残る方法は、以下の視点が必要となってきます。

○独創的な事業基盤をつくる(オリジナル・クオリティ)
○他社ができないことをやる
○高付加価値化へのチャレンジ
○トップポジションを目指す《マーケットシェア世界一を目指す》

現在は、生き残り=残存者としての利益に辿り着けるかの奪い合い状態が佳境に入りつつあります。

■今のままで何も手を打たないと会社はどうなるか?

ある会社は「現存のままなら、ビジネスとして成立しない」と結論づけました。この会社は売上昨年対比110%と伸びている企業。ある特殊な製品を販売しており、その売上全体の70%が東北エリアでの売上です。

東北エリアは2013年対2025年比でみると、人口が10%減少し、 高齢化比率が高まる。しかも、この統計には労働人口問題の一つである首都圏への労働者移動はカウントされていません。

当然、この会社はこれを見越したうえで、新たなビジネスの展開はスタートしています。おそらく、大半の企業がこの会社のように「現存のママなら、ビジネスとして成立しない」と考えるでしょう。ポイントは、この問題意識を誰が考え・持つかであり、この会社は「現存のままなら、ビジネスとして成立しない」と結論付けたのが中堅社員とリーダーです。

この中堅社員の皆さんは、慣れない外部環境変化・業界変化・主要顧客の業界変化の資料を自分たちで集め、分析し、結論付けました。文字通り、21世紀に生きる社員が結論付けたことに意味があります。

■21世紀に生きるパスポート

21世紀に生きる社員とは、現在30歳の社員さんは、70歳まで働くとして今後40年間は働くことになります。この40年間の変化を考えながら働く社員と目の前のことしか考えない社員では、当然のように差が広がり、仕事そのものをAIに奪われることになります。

経営者・役員が考えるのは当たり前。中堅社員が考えることで、この会社の当たり前のレベルが変わり、そして上がります。

「現存のままなら、ビジネスとして成立しない」から生まれるのは危機感。危機感は人間を成長させてくれるエンジンになります。この意識を持つことが21世紀に生きるパスポートを手にしたことになります。

危機感と行動変化は比例する関係にあります。人間を変える一つの要素に危機感があり、この要素が乏しいと変化への 対応が鈍くなります。危機感とは現在・将来に対する不安でもあります。それは自分の将来の不安、子供への不安、家族の将来の不安で構いません。結果、それが仕事というものを見つめ直す機会になります。 

経営者がなぜ、経営者でいられるか? それは危機感を持つ人だからです。大きな方向性は課題解決型の企業=人を作ること。しかし、その具体策には答えはありません。だから新しいことへのチャレンジしかありません。そのチャレンジを促している一つが危機感でもあります。

 

継栄の軸足

 
 ////////////////////////////////////

■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/ 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~