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【組織を動かすポイント 全4回】-④「組織強化の5つの原則」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (62)
【組織を動かすポイント 全4回】
第4回目「組織強化の5つの原則」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■目的・目標の共有化

会社内での「共通語づくり」である。

目的・目標の共有化とは、会社の方針・年度の目標を全員が理解し、意識しているかである。すなわちゴール地点がバラバラだと戦い方は当然、人それぞれになる。つまり組織としての戦い方ができないことになる。

例えば、「今月の目標はこれだ」と壁に貼られている会社がある。貼っているから全員が見ているわけでもない。時には見るのではなく、眺めているケースもある。共有化していくためには、「言い続け、理解しているか」を確認しなければならない。

業績の良い会社には、その会社でしか使わない固有の共通語が多い。「今期の目標は幾らと問われたら、幾らです」と答える、これは共通語である。共通語をいかに多く作るか、これが最初の鍵になる。これにチャレンジをしていただきたい。

■具体的計画の立案と周知徹底、役割分担

訓練せずにぶっつけ本番で勝負しないことである。

具体的計画の立案と周知徹底、並びに役割分担は、目標が決まると、それをどういう方法で実践するかを具体的に考え、計画を作ることである。

部門単位で考えると部門長が具体的な計画を作る。そしてその内容・方法をメンバーに周知徹底させなければいけない。目標に向けての具体的な道順・手順・段取り・方法を皆に理解させ、できるように訓練させる。この周知徹底させる段階で、「やり方がよくわからない」とか、「やったことがない」等色々な問題が出る。やり方をキチンと教えていくことも含めた周知徹底である。これが非常に重要である。

中小企業の業務の問題点は標準化である。平たく言うと「できる人とできない人を作らないこと」である。業績の上がらない会社・部門は計画だけ作り、訓練せずにぶっつけ本番で勝負するから負ける確率が高くなる。それを踏まえ、誰が何をいつまでにどういう方法でやるのかを5W2H形式にて役割分担を図る。

■実践

全員が決め事を決まったようにやることである。

具体的な計画を作成する段階で決め事は出る。その決め事に基づく実践である。部門長の仕事は、決め事をキチンとやらせていくことが最大の仕事になる。当然だが、組織を強化する部門長が決め事をやらせていくことと同時に、メンバーが協力して、決め事を守る風土を作ることが大事になる。

■出来映えの確認(全体と個)

問題の早期発見である。

出来映えの確認とはチェックをすることである。つまり、決め事が「キチンと消化されているかいないか」「消化されていないものはどういうものなのか」「誰がやっていないのか」を確認することである。また、数値的な面で見ると、「今現状の進捗状況はどのぐらいで、月末までの見込みはどのぐらいになるか」を考えていくことである。

出来映えの確認の機能がないと、いくら具体的な計画を作って、役割分担しても、「1カ月間ノーチェックで経過」するから、「月末に締めて出てきた結果が業績である」という発想になる。

「業績が出た」と「業績を叩き出した」では根本的に違う。途中のプロセスをキチンと確認していくことは業績を作り上げていくのと同時に成功事例、失敗事例の要因も押えることにもなる。これが会社固有のノウハウになる。そのチェックは当月対策は毎日、翌月以降対策は毎週単位で実施する。

■軌道修正

問題点の早期治療である。

月初に決めた内容は月中・月末の間で状況変化が起こる。それに対し、素早く問題点を見つけ、軌道修正処理を行うのが「スピードのある会社」である。スピードのない会社は稼動日数ゴールに着いて、初めて問題があったことに気づくし、決め事も消化せずにいるから決め事の在庫の山を築く。これでは戦えない。

決め事は月をまたがないのが原則である。やらなければならないことを当月中にピシッと終わらせることが肝要であり、決め事の在庫はいらない。軌道修正は現場の事を日々見つめるから、すぐに行うことができる。また、判断能力の高い現場長がいるとスピードよく対応できる。

何から何まで経営者に頼る組織の場合は、この軌道修正のスピードが余りにも遅い。ましてや中小企業の場合は、報告・連絡・相談という重要基本動作が非常に苦手である。「社長から連絡しないと部門長からは連絡が来ないという風土」は社長のところでもおありではないですか?

そういう風土なら、軌道修正が必要なときでも、社長と会わなかったら軌道修正をかけられなくなる。このような部門長は決め事の在庫の山を築き、業績はさっぱりの状態になる。

 

継栄の軸足

継栄の軸足

 
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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/ 
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