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「ワクチン接種をしてきました」(日比恆明)

【特別リポート】
「ワクチン接種をしてきました」

日比恆明氏(弁理士)

昨年1月より新型コロナウイルスが蔓延し、世界中で大変な騒ぎが続いています。毎日のニュースで、最初に報道されるのがコロナウイルス関連の出来事です。政治や経済の事件よりも前に報道されてます。人命に直接関係するため、視聴者の関心が高いからでしょう。

しかし、慣れというのは恐ろしいもので、最近はコロナウイルスが常態化してしまい、患者の人数が多少増えた程度では驚かなくなりました。そもそも、このような状況が異常なのであり、早くマスクの要らない生活に戻りたいものです。

さて、海外の製薬メーカーではコロナワクチンが完成し、量産化したことから日本でも輸入して接種できるようになりました。米国、欧州各国に比べると少々遅いようですが、ワクチン開発をしてこなかったツケが回ったためです。これからは日本でもウイルスワクチンの自主開発と常時保管が義務付けられると想定でき、コロナ禍における成果かもしれません。

我々下々にもワクチン接種の割り当てが始まり、区役所から接種券が到着しました。待ちかねていたのですが、接種券だけではワクチンを接種できません。先ずは予約をする必要があります。しかし、パソコンで予約しようとするのですが、区役所のホームページには接続できません。電話で予約しようとしても、これもつながりません。3時間ほどパソコンと電話を交互に操作したのですが全く役に立ちません。
 
そこで、5月24日から受付を開始した「自衛隊東京大規模接種センター」で予約することにしました。パソコンでホームページのアドレスを入力すると、こちらは簡単に接続できました。ホームページの入力枠に、地区番号、券番号を入力すると予約日の空き状況を示すページとなり、接種を希望する日時を指定して予約は完了しました。この間の操作は約5分という速さでした。

ただ、区役所で接種するワクチンはファイザー製であるのに対し、大規模接種センターではモデルナ製という制約があり、ここは少し不満があります。いずれの薬でもコロナウイルスの感染を防ぐことができるので、文句は言いませんが。
 
さて、会場には写真1のようにセンターの看板が掲げられていました。看板の一番上段には目立つように「自衛隊」の文字が掲げられていました。従来の自衛隊による支援は主に台風、地震などの災害派遣が殆どで、
被災地は首都圏から離れた地方が多いものでした。このため、首都圏在住の国民には、自衛隊が突発的な混乱時にどのような支援をしてくれるものか理解できにくいものでした。コロナ禍では自衛隊の医療関係者が出動し、国民の生命を守ってくれる、という認識ができて広報活動には最適でしょう。しかし、この看板の下で「自衛官募集」のチラシを配るのはやりすぎかもしれません。


                     写真1

                
              写真2

接種センターは千代田区にある大手町合同庁舎3号館で、以前は国土交通省が入居していたのですが、地域一帯の再開発のため空いていたようです。これが、臨時の接種センターに利用された理由のようです。地図で見ると地下鉄の大手町駅からは近いのですが、東京駅、神田駅などからは離れていて、陸の孤島という場所です。このため、東京駅丸の内北口には無料のシャトルバスの乗り場が設置されていました(写真2)。

                  
              写真3

                
               写真4

このシャトルバスは何と東京観光のはとバスで、日頃は地方からのお上りさんが都内を観光するためのバスが供用されていました。コロナ禍で観光客が激減しているので、はとバスでは稼働率が低下し経営困難な状態にありました。今回はシャトルバスとして利用され、少しは営業成績の助けになったでしょう。ホームページの案内では、東京駅から合同庁舎まで約5分と書かれていましたが、実際には遠回りをするため約15分の所要時間となりました。
 
丸の内北口からバスの乗車場所までの道路脇には、若い女性の案内係が待機していました。彼女達は、このような格好をしていますが、日頃はきれいな制服を着て「発車オーライ」と声を出している本物のバスガイドです。この日はダサイ服で接種者を案内していて、誠に残念なことでした。


              写真5

                  
              写真6

バスを降りてから3百メートル歩くと、接種センターの入口に到着します。合同庁舎1号館と3号館の間にある道路上に仮設テントとプレハブが建てられており、ここから入場することになります。

                  
              写真7

プレハブ内には接種者が並列して進行する6、7列のレーンが配置され、各レーンには書類をチェックする係員が待機していました。インターネットでの予約時刻は15分刻みでしたが、この入場時刻はあまり厳密ではなく緩いものでした。私は予約した時刻よりも15分前に到着しましたが、そのまま入場でき、係員からは何も制限されませんでした。どうも、人の流れが順調であればそのまま入場させるようです。入場時刻を厳密に予約時刻に合わせていたら、人の流れが止まってしまうからでしょう。もしかしたら、1時間や2時間遅れて入場しても、そのまま通過できるのではないかと思われました。

最初は手荷物検査と体温検査があり、次の部屋で書類と身分証明書をチェックされ、数名づつがまとめられて3号館の庁舎内に案内されました。3号館ではA、B、Cのグループに分けられ、Aは6階、Bは7階、Cは8階に振り分けられて、各階で区画された部屋をグルグル回ることになりました。

最初は医者による予診があり、体調、アレルギーなどを問診されます。次いで、本番のワクチン接種がありました。接種するブースはパネルで10室くらいに仕切られていて、ここでワクチンが接種されました。私を担当した医者は60歳くらいの女医で、淡々と処置されてました。注射はものの2、3秒で、痛くもなく終わってしまい、「こんなに簡単なものか」というのが実感でした。
 
次いで、隣の部屋に移動し、ワクチンを接種した証明書をもらい、次の接種日の予約をして1回目の接種は終了しました。接種後は15分程度休息にし、アナフラキシーの症状が出るかどうかを確認する必要があるのですが、証明書の発行と次回の予約で20分程度の時間がかかり、休息もせずにそのまま退出ということになりました。


               写真8

入口を入ってから退出するまでの所要時間は約40分でした。案内のサインボードには、「所要時間は50~55分」と表示されていたのですが、呆気なく終わってしまいました。出口付近の路上には多数の人が椅子に座って待機していましたが、中には1時間以上も座っている人も確認できました。この人達はその日に発生するキャンセルを待っているのです。これだけ多人数に接種するのですから、キャンセル枠が発生するのは当然でしょう。しかし、キャンセルは何時発生するかは判りません。もしかしたら、ここにいる人達は、数時間は待ち続けているかもしれません。
 
こうして、思ったよりも簡単にワクチン接種は終わり、注射された時は痛くも痒くもありませんでした。しかし、夜になって左腕を上に挙げると軽い痛みが出るようになりました。2日間は同じ症状が続き、少し不快でした。知人も同じような症状が出たそうで、これはワクチン独特の副作用ではないか、と思われました。

さて、東京では毎日のように何百人という感染者が発生していますが、それでも入院できる病院には余裕があります。沖縄では感染者の発生数は少ないのですが、治療できる病院に余裕がなく、大変な状態にあるようです。沖縄本島であればまだ治療できる余裕があるようですが、離島ではコロナ感染が大問題となっています。離島では医者、病院の数が少なく、コロナ感染者が発生するとそれだけで医療崩壊となります。さらに、離島によっては医者が不在のところもあり、そんな島では感染者に全く無力なのです。
 
私の知人が沖縄のある離島に住んでいるため、コロナ対策を聞いたところ、「島外からの旅行客を拒否すること」だそうです。その離島にある全てのホテルは協定して、宿泊予約を全て拒否することにしたそうです。宿泊の予約ができなければ旅行はできず、旅行客は諦めるでしょう。これは非常に上手いコロナ対策であると感じました。