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【経営基盤の視点 全4回】-②「学習能力を高め、成長する組織を創る」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (64)
【経営基盤の視点 全4回】
第2回目「学習能力を高め、成長する組織を創る」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■学習する組織とは?

我々凡人のやることはどの会社でも大差はない。あるとすれば、成功・失敗事例を学習し、次に活かすことができる組織の学習能力の差である。

つまり、学習能力とは全く初めての新しいことができる能力ではなく、過去に行った業務の再現性やそのレベル向上を意味する。

どの会社も1年間12ヶ月の期間の中でやるべきことは毎年、そんなに大差はない。例えば小売業だったら、6月下旬から7月末にかけてボーナス商戦に入るし、卸売業であれば8月がくれば稼働日数が少なく、業績に影響を及ぼすことは毎年のことである。

しかし、毎年のボーナス商戦を勝つ組織と負ける組織があり、稼働日数が少ない8月に勝てる組織と負ける組織がある。これが学習する組織のできない組織の差である。

8月に勝てない理由を営業マンに確認すると「稼働日数が少なかったからです」と堂々と語る人がいるが、昨年初めて8月のお盆休みができたわけではない。毎年あることであり、その背景には成功・失敗事例の学習が個人として組織としてできていないのである。

■学習能力・効果の発揮

つまり、勉強の仕方が下手なのである。会社内の勉強となると何でも「これから実行する新しいこと」が主流である。この発想が悪いといわないが、手順を間違えている。足元のできないことに蓋をして、新しいことにチャレンジするのはムダの垂れ流しである。

今、できないことをどうやったらできるようになるか、今回の失敗を次にどう活かすか、今回の成功を次回も成功させるためにはどうしたらよいかを考えることである。

学習能力・効果の発揮とは 今 、やっていることから、次の行動能力を高め、業績の改善を図ることである。

ISOでのマネージメントサイクルに「プラン-ドゥ-チェック-アクション」がある。これは間違いではないが、このサイクルで学習できる中小企業は少ない。なぜなら、考えないからである。

私が推奨しているのは「シンク-プラン-ドゥ-チェック-アクション-シンク」である。計画を立案する前にしっかり考える。そして事が終わった後もキチンとNEXTに活かすことを考える。だから、学習能力の高い組織ができ上がる条件ができる。

キチンと考えないから必然的な負けの戦い方をしていることに気づかなければ、成長できない。学習能力が高まると意欲が出て、業績の達成度合いは高くなる。勉強ができると子供は勉強が好きになり、どんどん成績が上がることと同じである。素材で勝てなければ素材を磨く環境で勝つ風土を作ることが勝てる集団を創造していく。

著名なピーター・ドラッカー氏は「ある組織と別な組織の、唯一かつ本当の違いは、その組織を構成する人(能力)だけである。同じ業種、同じ経営環境下にあっても、企業間の業績が異なるのはなぜか? それは明らかに強い組織と弱い組織が存在するからだ」と語っている。

学習する組織とは、未来を創造する能力を絶えず高めようとしていく集団である。

 

継栄の軸足

継栄の軸足

 
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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/ 
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