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第4回『経営者の分身づくり』(小池浩二) [ 第4回 ]

経営者が一番欲しい21世紀型対応の経営幹部人財の内容です。

■経営者の分身をつくる意味

中小企業が成長・発展しなければ真の意味での豊かさは、日本には生まれない。継続して栄える会社づくりは、人づくりに尽きる。人をつくるから、そこに夢が生まれ、希望が沸きあがる。人をつくることは、職場を活性化し、会社に未来をもたらす。会社の未来は家庭を豊かな未来へつなぎ、そして地域社会の発展に大きく貢献する。その礎を創る一つの矢が経営者の分身をつくることである。

■なぜ、中小企業は王将と歩の経営なのか?

王将と歩の経営とは、経営者と役員・幹部クラスの差を表す表現である。中小企業の幹部には、現場のプロはいるが、経営のプロ社員がいないことを示している。中小企業の幹部は社長に依存しすぎる傾向が強い。それは「経営に必要な知識・技術を理解していない」からだ。

例えば経営数値の話になると計数の意味がわからず、活用できない。そうなると数値から遠ざかり、特に資金繰りは社長に100%依存型企業が多すぎる。何をどのように判断してよいかわからないから、結局経営者にお伺いをたてるようになる。 中小企業の社員は能力が低いわけではない。今までやったことがないから、やらせたことがないから、できていないことが多いだけだ。

 ■21世紀の戦略展開のキーフアクター

経営者が変われば、会社は変わる。しかし、経営者だけが変わっても、継続して栄える会社はできない。なぜなら、私たちが仕事・生活をしている21世紀は、多くの産業が成熟期あるいは衰退期の状態で、仕事の内容が高度化専門化になり、難易度が極端に上がっているからだ。つまり、21世紀の中小企業には、現場の幹部ではなく、経営の幹部が必要となる。

それは、20世紀と21世紀の戦略展開おける必要要素の変化を見ればわかる。20世紀の戦略基本は多面的展開で、そのポイントは拠点展開ノウハウをベースに成功パターンのコピー展開が基本で、展開の規模に応じて方法を変化させることで会社を成長させてきた。

21世紀の戦略基本は複数事業部展開で、そのポイントは複数事業部展開をベースに会社の核事業を中心としたシナジー効果展開である。そのためには・利益事業部の確保、シナジー効果発揮の全社横展開、収益構造・雇用形態・社員特性の違いへの対応  、部門経営者の必要性への対応が必然だ。

つまり、21世紀の戦略展開では、求められる機能が多様化するので、それを実行していくための人財の在り方が変化する。20世紀はコピー展開ができる人が部門長でもよかったが、21世紀は複数事業部を展開するためには部門長ではなく、部門経営者の育成が絶対必要となる。この部門経営者のことを「経営者の分身」と弊社では位置付けている。

 ■2階級特進の教育

会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に速い。大半の会社は部門長をさせて、できなければ教育させる等の措置をとる。

しかし、本来その時点で遅いことに気づかねばならない。これからの育成パターン考えると、役職年齢と実年齢の関係はない。その上で、その立場になってから教育するのではなく、今現在中堅社員なら部門長の教育、部門長なら経営者の教育をやる「2階級特進ぐらいのスタンス」で育成することが重要である。

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