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第5回『経営理念を現場で活かす方法』(小池浩二) [ 第5回 ]

■経営理念は経営者の信念

日本において、経営理念を重要視した経営者として松下幸之助氏が挙げられる。松下幸之助氏は事業経営の一番根本になるのは正しい経営理念であり、経営理念とは、この会社は何のために存在しているのか、この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか、という点についてしっかりした基本の考え方を持つことであると説明している。

■家訓なくとも家族はまとまるが、理念なき会社はまとまりにくい                             

一般的な組織(趣味の世界、学校等)の特徴は、基本的な価値観の似ている人が集まるのでまとまりやすい。しかし、中小企業という組織は例外。育った環境が違う、年代が違う、何が好きか嫌いかという価値観の違う人たちが偶然に同地域に住んで、通勤距離が短い等の物理的理由で一つの会社に集まり、組織を作ろうとする。これが多くの中小企業。価値観の違う人たちが集まって組織をつくるわけだから、放りっぱなしの状態ならば確実に崩壊する。

そもそもチームとは、仕事に必要な数人が集まったから「チーム」になるわけではない。大前提として、メンバー全員がチーム一員である当事者意識を持ったうえで、チームの共通の目的、達成する目標、それに向かうためのプロセスを共有する集合体がチームであり、チームワークを強化していくには、共同で何かをする前にチームづくりを行わなければならない。つまり、会社は「何もしなければうまく回らないこと」を前提にチームづくりを行う発想が必要となり、その対策が図表の「集団統一の原則」である。

経営理念は集団を統一するキーワードの最初に位置する。この経営理念は木の根っこの役割でこれがしっかりしていないと木は成長しない。仮に大きな木の幹・葉をつけていても根っこが腐り始めると木は倒れる。つまり、経営理念が立派でも実際の経営をデタラメにやると目に見える部分の成果は上がらない。正しい経営理念を持つと同時にそれに基づく具体的なビジョン・方針・商材戦略・戦術・戦闘が環境に適合していないといけない。

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