[ 特集カテゴリー ] ,

【講演録】「あらゆる視点から、今、注目すべき株式銘柄を探る」(千葉 明)

■PEGレシオの指標からみる

 注目すべき会社

大きい会社も小さい会社もコロナの影響を何らか受けています。投資雑誌など、“コロナの収束で再度、浮かび上がる企業”といった特集を組んだりしますが、あまりこだわらないほうがいいと思います。いい株はやっぱりいいし、これから伸びていく株はそれなりの理由があると思います。

PEGレシオという、中小型株の今後を見る上で非常に貴重な指標があります。私が初めて知ったのは、もうかれこれ16、17年前、70代後半で現役の投資顧問会社をやっておられる塩住秀夫さんという方に伺いました。塩住さんは、ロンドンのシティで日本人として初めて金融会社、投資顧問、投資銀行の役員になられた方で、その後、ジョージ・ソロスが運営していたクォンタム・ファンドの日本株の運営を3年間、担当されて、一口でいうと成長株論者です。「成長株はどうやって探すんですか」という話をしたら、まずスクリーニングにかけるという意味でPEGレシオは非常に便利だよ、という話を聞きました。

このPEGレシオの算出方法は、分子が今の時価に対する予想PERで、分母が、本来であれば過去3期間ぐらいの1株当たり利益の成長率の平均です。出てきた値が2以上であれば割高の域、1~2の間は妥当な水準、1を割り込んでいる銘柄は投資対象として俎上に載せる価値がある、というのが、塩住さんから教わったPEGレシオの活用法です。

例えば㈱アズーム(コード番号3496)という会社は、サブリース方式で月極駐車場の運営をやっている会社です。新しいマンションが建ったりすると、マンションの住人分の駐車スペースでも作るのが難しい。すると近場の月極駐車場を探さなければならない、という状況から、特に都心部では月極駐車場不足が起こっています。このアズームという会社は、まずオーナーさんが持っている月極駐車場の中で、今、空いている駐車場を情報として出してもらい、一方でカーパーキングという検索サイトを設けて使いたい人との間でマッチングを行っています。

同社は9月決算ですが、前9月期は39・8%の増収、139・1%の営業増益と非常に高い伸び率を示しています。今期に関しても25・8%の増収、100・5%の営業増益と順調過ぎるぐらいで走り出しています。この中間期時点で空いている月極駐車場を1万2716預かっている。これに対して、サブリース方式で運営を手掛けている中で稼働しているのは1万1775と非常に高い数字で回っています。

PEGレシオを今、この会社に当て嵌めると0・83ぐらいです。通常、月極駐車場の運営上で非常に難しいと言われているのは借りている人の属性、平たくいうと反社会的な勢力が借りるケースが多々あるそうです。同社は車検証や免許証、法人で借りている場合には会社謄本、それと任意の車の保険、これらのコピーを提出をしてもらって、それをベースに大丈夫かどうかを見立てた上で貸しており、反社会的な勢力が介在しないような枠組みがきちんと整っているのが特色だアナリストたちは言います。

閲覧にはログインが必要です。→ .