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第5回『新型コロナパンデミックがもたらした教育への影響』(申 燕澔) [ 第5回 ]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が私たちの生活に与えている影響は甚大である。紀元前(BC)と紀元後(AD)に分けられた時代の区分が今はコロナ前と後の時代と言われるくらいまでになっている。政治・経済・社会・文化とありとあらゆる分野に影響を及ぼしている。

その中でも教育に与えている影響は深刻で、今まで蓄積した教育のノーハウがひっくり返され衝撃的を受けているという教育現場の専門家もいる。

2021年3月、ニューヨークの国連(UN)本部前の広場に168個の机と椅子が置かれた。これが意味するのは、コロナ禍で全世界の1億6800万人の子供が学校に行けなかったことを表したパフォーマンスである。UNICEFは昨年この子供たちに学習の遅れが生じ、「災難的な教育の危機」にさらされると予想していた。

昨年行なわれたG20教育大臣テレビ会議でも、「教育格差や学習の遅れ」は最も大きい課題として取り上げられた。

コロナ禍がもたらした「教育格差」と「学力の両極化現象」が明らかになっているという調査も出ている。

韓国のある市民団体が調査した「2020年コロナ19による学力格差の実態」によると、非対面授業を行った中学校の75.5%、高等学校の66.1%で数学科目の成績が真ん中の学生数が前年より減少したことが分かった。真ん中の成績の学生が上下に分かれる両極化が加速している。成績の上位の子供はより成績が上がり、下位の子供はさらに成績が下がるという学力の両極化現象が著しい。

日本の三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社が行った「コロナ禍が教育格差にもたらす影響調査」でも、家庭の格差が教育格差につながることが確認された。コロナ禍で学校が休校になっている2020年5月は全体として勉強時間が減っているが、年収の高い世帯では勉強時間の減少幅が少ないことが分かる。

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