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リクルート事件(下)(三沢明彦)

忌まわしい事件の記憶を背負いながらも、「リクルート出身」と胸を張る経営者、起業家が多いことに驚かされる。創業者の江副浩正とは何者なのか。時代を駆け抜けた起業の天才、古い秩序に挑む創造的破壊者、政治家、役人などに値上がり確実な未公開株を譲渡した犯罪者…。その評価は分かれるにしても、彼が撒いた種が荒れ地から芽を出しつつあることは確かだ。

「社員皆経営主義という企業哲学を持っていました。それは『あなたはどう考えるか』という問いから始まり…」。武蔵大学名誉教授、三菱地所社外取締役、江上節子の巻頭談話(「日経ビジネス」2月21日号)に目が留まった。女性向け転職情報誌「とらばーゆ」編集長だった彼女の記憶に残る江副は、東京地検特捜部が供述調書に描いた人物像とは異なり、社員の独創性を引き出す経営者である。

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