「100年、200年企業を実現するための欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ」というテーマで2019年3月から連載を始めて、今回で丸2年となります。みなさまにもファミリービジネスの素晴らしさや強み、逆にその脆さについてもご理解頂いたのではないかと思います。最終回として、【原理原則7】スリーサークルモデルの観点の重要性に触れたいと思います。
ファミリービジネスで最も大切なことはスリーサークルモデルの充実化
スリーサークルモデルとは、ファミリービジネスを1つのシステムと見立てたときに、経営(ビジネス)、所有(オーナーシップ)、家族(ファミリー)の3つのサブシステムから構成されているという考え方です。つまり、それぞれのサブシステムが正しく機能していなければ、ファミリービジネスはうまく機能しないということです。例えば、経営や所有がうまくいっても、家族の関係性に問題があれば、ファミリービジネスに支障が生じるということです。一見、当たり前のように思えますが、これまでの経験で言えば、案外、ファミリービジネスのオーナーや後継者、また税理士といった支援者はこのような視点に欠けているように思います。例えば、創業者は経営に傾斜して家族をないがしろにする、後継者は家族を大切にするが経営をないがしろにする、税理士は所有の面にしか関心がないといった具合です。