小池浩二の「プレイングマネージャーの仕事術」 シリーズ(69) 【売上を創る機能の変化 全4回】 第1回目「現…
カテゴリー: ◆先見経済◆
第3回 企業から見た体育会人材 (久野晋一郎)
前回は体育会人材の就職観について触れてきた。時代トレンドはあるものの、体育会人材は競争心が高く、成長や結果に対して貪欲な人材が多い傾向に多い。
今回は「企業から見た体育会人材」について解説させていただく。
弊社の新卒採用支援サービスにおいては、「大学指定の部活に所属していた学生」を体育会と定義している。「高校時代まで部活をやっていた」「大学はスポーツの同好会・サークルに所属をしていた」という学生は体育会には含めない。
■企業は体育会人材に何を求めるのか?
色々な理由はあるが、弊社をご利用いただく企業様で多い意見は、「目標達成に向けて努力ができる」「礼儀正しく、コミュニケーション能力が高い」「勝ち癖がついている」「チームワークを発揮できる」である。
競技と向き合うなかで、培ってきた経験こそ、企業が新卒採用で求めるポイントなのだ。
マイナビニュース調べの先輩社員1,000人に聞いた新卒社員に最も求めることランキング(図参照)というものがある。
~「粕取焼酎と近江商人②」 [ 特集カテゴリー ] 「粕取焼酎と近江商人」, ◆先見経済◆
【新連載】第2回 農民の喜びの酒「早苗饗焼酎」(田﨑 聡) [ 第2回 ]
粕取焼酎には、大きく分けると「正調粕取焼酎」と「吟醸(醪)粕取焼酎」の二つの蒸留法に分かれるが、もともとは、福岡県の大宰府天満宮の神領田の所在地、筑後平野を中心に広まっていったとされる「早苗饗(さなぶり)焼酎」のこととされている。
「早苗饗焼酎」は、酒粕に籾殻を混ぜて蒸籠で蒸留する兜釜式蒸留の製法で行うが、その籾殻の焦げる匂いが強烈な癖の強いものとなるので、好き嫌いがはっきり分かれる粕取焼酎だ。もともと、早苗饗焼酎は田植えが終わった後、夏の暑い盛りに飲むので「盆焼酎」とも呼ばれている。初夏の日は、ちょうど梅酒を漬ける時期と重なるので、この早苗饗焼酎を使って梅酒を漬ける風習も、まだ筑後平野には残っている。
この伝統的な兜釜蒸籠蒸留を復活させ、伝承している蔵元が福岡県久留米市にある株式会社 杜の蔵だ。今では、このような正調粕取焼酎の兜釜式蒸留法で造っている蔵元は、全国でも非常に少なくなっているので、日本の文化的技術遺産としても残していくべきだろう。現在は、福岡、佐賀、大分、島根、栃木、福島の蔵元にわずかに残っているぐらいである。
日本における正調粕取焼酎は、16世紀に蒸留技術が中国大陸から伝来していたとされ、江戸時代初期の農業振興とともに栄えた。すなわち、人口増大とともに農業生産拡大>肥料の需要>酒粕(下粕)の需要>米作り、という江戸時代の循環型農業に深い関わりを持っていたことがわかるのである。この米作り、酒造りに近江商人が全国各地で活躍したことは、
日本酒蔵では知られているが、近江商人と酒造りについての関係は、詳しく後述したい。
抗がん剤の種類と効果 (鈴木健人)
がんの標準治療と言われる3つの治療法(手術・放射線・抗がん剤)のうち、前回まで手術と放射線についてお伝えしました。今回は抗がん剤(化学療法)の種類と効果についてお伝えします。
手術・放射線は特定部位のがん細胞を攻撃する「局所療法」、抗がん剤は「全身療法」になります。手術や放射線で治療できない部位や、全身に転移してしまった場合などに抗がん剤を使うことになります。
私の母が数年前に大腸がんに罹患したときは、まず手術をして、そのあとに予防的に抗がん剤を処方されました。母の場合は抗がん剤による副作用(味覚障害、手足のしびれ、倦怠感)でかなり弱ってしまいました。特に味覚障害がひどく、「何を食べても鉄の泥みたい」と言っていました。
ということで個人的には抗がん剤の怖さは感じているものの、抗がん剤がうまく効いて副作用もほとんどなく、がんを克服している人も身近にいます。
抗がん剤とはどんなものなでしょうか?なぜ効いたり効かなかったり、副作用が出たり出なかったりするのでしょうか。
~統合報告書の編纂と情報発信 [ 特集カテゴリー ] ニューノーマル時代の礎を築く , ◆先見経済◆
第10回 SDGsの基本とビジネスへの関わり⑨ (菊原政信) [ 第10回 ]
IIRCが定義した「6つの資本」
企業がステークホルダー並びに社会とコミュニケーションをとるツールとして企業の活動をまとめた統合報告書を作成されるケースが増えてきました。大抵の場合、企業の状況を提供する場合は財務情報などの定量的なデータをまとめて公表するケースが多いですが、最近は非財務情報を関連付けて、より詳細に企業の状況を提供することが求められてきています。
そこで、国際統合報告書評議会 (International Integrated Reporting Council: IIRC)は、2013年12月に「国際統合報告フレームワーク」を発表しました。その中で、企業の価値創造プロセスは次の「6つの資本」により形成されると整理しました。
①財務資本、②製造資本、③知的資本、④人的資本。⑤社会・関係資本、⑥自然資本です。
この内、①財務資本、②製造資本、④人的資本は。以前から数値としてまとめられてステークホルダーには提供されてきましたが、統合報告書では、新たに③知的資本、⑤社会・関係資本、⑥自然資本が加えられました。それでは、新たに加えられたそれぞれの資本の特徴を見ていきましょう。
第7回「ネクストプレナーモデルの元となったサーチファンドとは」(河本和真) [ 第7回 ]
##「ネクストプレナーモデル」とその起源である「サーチファンド」
後継者候補を育成・輩出する「ネクストプレナー大学」で中小企業の経営に必要な知識や実地研修を行った後継者候補「ネクストプレナー」は、投資家の資金を活用して、後継者不在に悩む中小企業を承継することを目指しています。この企業・後継者である若者・投資家の3者間で行うM&Aを「ネクストプレナーモデル」と呼んでいます。このネクストプレナーモデルは、
①経営者が後継者を指名できる
②承継したい若者は、社員として働くことで企業文化も含めて後継者として適しているかを確認できる
ことを実現しており、3者が納得して事業承継を完了することができます。
その「ネクストプレナーモデル」は「サーチファンド」というアメリカ発祥のモデルを日本式にアレンジして実現いたしました。近年、日本においても、この「サーチファンド」に関する事例が取り上げられる等、少しずつ注目が集まってきています。
今回は「ネクストプレナーモデル」の起源となった「サーチファンド」と、またそれがなぜ日本の文化に馴染まない可能性があるのかについてご紹介いたします。
~教員の質が問われる時代? [ 特集カテゴリー ] 申ヨンホの“韓国Now”, ◆先見経済◆
第5回『新型コロナパンデミックがもたらした教育への影響』(申 燕澔) [ 第5回 ]
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が私たちの生活に与えている影響は甚大である。紀元前(BC)と紀元後(AD)に分けられた時代の区分が今はコロナ前と後の時代と言われるくらいまでになっている。政治・経済・社会・文化とありとあらゆる分野に影響を及ぼしている。
その中でも教育に与えている影響は深刻で、今まで蓄積した教育のノーハウがひっくり返され衝撃的を受けているという教育現場の専門家もいる。
2021年3月、ニューヨークの国連(UN)本部前の広場に168個の机と椅子が置かれた。これが意味するのは、コロナ禍で全世界の1億6800万人の子供が学校に行けなかったことを表したパフォーマンスである。UNICEFは昨年この子供たちに学習の遅れが生じ、「災難的な教育の危機」にさらされると予想していた。
昨年行なわれたG20教育大臣テレビ会議でも、「教育格差や学習の遅れ」は最も大きい課題として取り上げられた。
コロナ禍がもたらした「教育格差」と「学力の両極化現象」が明らかになっているという調査も出ている。
韓国のある市民団体が調査した「2020年コロナ19による学力格差の実態」によると、非対面授業を行った中学校の75.5%、高等学校の66.1%で数学科目の成績が真ん中の学生数が前年より減少したことが分かった。真ん中の成績の学生が上下に分かれる両極化が加速している。成績の上位の子供はより成績が上がり、下位の子供はさらに成績が下がるという学力の両極化現象が著しい。
日本の三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社が行った「コロナ禍が教育格差にもたらす影響調査」でも、家庭の格差が教育格差につながることが確認された。コロナ禍で学校が休校になっている2020年5月は全体として勉強時間が減っているが、年収の高い世帯では勉強時間の減少幅が少ないことが分かる。
第30回『中堅社員のレベルがチーム力のバロメーター』(小池浩二) [ 第30回 ]
■中堅社員に求めるもの
中堅社員の立場は、サブリーダーになる一歩手前。したがって、現場において後輩の指導をする立場であり、自分のノルマを片づけながら、こうした仕事もする必要性があります。そのために仕事内容として、実務能力は指導できるレベル、現場を動かす能力を身に付け、指導される側からの脱皮が求められます。
また、中堅社員に必要な知識・技能(基本からレベルアップ)は、社会に通用する基本・常識の励行、ルールを守る、報告・連絡するなど状況に合わせて率先垂範する能力、計画・準備・問題処理など担当業務を遂行する能力をベースに現場業務全体をコントロールする能力が求められます。
■意識を変えさせる上司の接し方
考え方を変えさせるためには、意識を変えさせることがポイントになり、この意識を変えさせるのは、上司の接し方や職場の環境が重要となります。中堅社員自らが意識を変えることは、大病を患う・人生の大きな転機に遭遇する等の外部要因がないと殆どないと感じます。意識を変えさせる上司の接し方や職場環境のポイントですが、以下の5点を参考にしてください。
【特別リポート】「東京都日中オンライン経済ビジネス会議(第2弾)」(秋澤文芳)
東京都日中友好協会主催の経済ビジネス会議が7/31(土)オンライン・Zoomにて開催され、先月に引きつづく開催となった。今回も鹿児島兼愛を中心とした「産官学」連携ということで鹿児島国際大学の教授と留学生そして、地域の更なる振興を図るため訪日関係業者や団体、更に薩摩大使等の協力で、地元鹿児島県より約30名余の方々が参加した。そして北海道や中国からの事業者や団体と首都圏の関係者も含め70名程が当企画に参加した。今回も鹿児島国際大学(大学院経済学研究科)の留学生4名の発表者研究内容は次のとおりである。
●金 香男
私学教育に関する先行研究等
日本の学校外教育市場は少子化により、需要層が減少しており、市場が縮小傾向にある。
しかし、教育サービスの底堅い需要があり、市場規模は緩やかに拡大している。中国の学校外教育市場は、激しくなっている教育競争により、その市場規模が年間25%の成長率で拡大している。学校外教育問題は中国の社会問題となっており、2021年7月には、政府による義務教育段階での学校外教育禁止に関する意見も発表されている。そこで、日本の学校外教育の発展を考察し、日中における学校外教育の選択行動の影響要因を分析することで、中国の学校外教育市場の健全な発展に一助できることを目指す。
【講演録】「あらゆる視点から、今、注目すべき株式銘柄を探る」(千葉 明)
■PEGレシオの指標からみる
注目すべき会社
大きい会社も小さい会社もコロナの影響を何らか受けています。投資雑誌など、“コロナの収束で再度、浮かび上がる企業”といった特集を組んだりしますが、あまりこだわらないほうがいいと思います。いい株はやっぱりいいし、これから伸びていく株はそれなりの理由があると思います。
PEGレシオという、中小型株の今後を見る上で非常に貴重な指標があります。私が初めて知ったのは、もうかれこれ16、17年前、70代後半で現役の投資顧問会社をやっておられる塩住秀夫さんという方に伺いました。塩住さんは、ロンドンのシティで日本人として初めて金融会社、投資顧問、投資銀行の役員になられた方で、その後、ジョージ・ソロスが運営していたクォンタム・ファンドの日本株の運営を3年間、担当されて、一口でいうと成長株論者です。「成長株はどうやって探すんですか」という話をしたら、まずスクリーニングにかけるという意味でPEGレシオは非常に便利だよ、という話を聞きました。
このPEGレシオの算出方法は、分子が今の時価に対する予想PERで、分母が、本来であれば過去3期間ぐらいの1株当たり利益の成長率の平均です。出てきた値が2以上であれば割高の域、1~2の間は妥当な水準、1を割り込んでいる銘柄は投資対象として俎上に載せる価値がある、というのが、塩住さんから教わったPEGレシオの活用法です。
例えば㈱アズーム(コード番号3496)という会社は、サブリース方式で月極駐車場の運営をやっている会社です。新しいマンションが建ったりすると、マンションの住人分の駐車スペースでも作るのが難しい。すると近場の月極駐車場を探さなければならない、という状況から、特に都心部では月極駐車場不足が起こっています。このアズームという会社は、まずオーナーさんが持っている月極駐車場の中で、今、空いている駐車場を情報として出してもらい、一方でカーパーキングという検索サイトを設けて使いたい人との間でマッチングを行っています。
同社は9月決算ですが、前9月期は39・8%の増収、139・1%の営業増益と非常に高い伸び率を示しています。今期に関しても25・8%の増収、100・5%の営業増益と順調過ぎるぐらいで走り出しています。この中間期時点で空いている月極駐車場を1万2716預かっている。これに対して、サブリース方式で運営を手掛けている中で稼働しているのは1万1775と非常に高い数字で回っています。
PEGレシオを今、この会社に当て嵌めると0・83ぐらいです。通常、月極駐車場の運営上で非常に難しいと言われているのは借りている人の属性、平たくいうと反社会的な勢力が借りるケースが多々あるそうです。同社は車検証や免許証、法人で借りている場合には会社謄本、それと任意の車の保険、これらのコピーを提出をしてもらって、それをベースに大丈夫かどうかを見立てた上で貸しており、反社会的な勢力が介在しないような枠組みがきちんと整っているのが特色だアナリストたちは言います。
~中国包囲網と、日本の未来へ向けた構想 [ 特集カテゴリー ] 【 清話会講演録 】
【講演録】「新型コロナ収束を見据え、今後の世界を読む」(真田幸光)
真田幸光(愛知淑徳大学教授)
1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。84年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、2002年より現職。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー。
■いざとなれば鎖国してでも
生き残れる国づくりを
今年1月に、SJCの例会でお話させていただいたとき、コロナは3年は覚悟しなくてはいけない、3年よりも早く収束すれば見っけもんだと考えるべきです、と申しました。これが私たち国際金融筋の基本的な考え方です。
こうした状況が3年も続くと、価値観の変化が、どうしても生まれてくると思います。ビジネスで言えば、お客様の消費行動が変わるはずです。だから、このコロナの問題で、皆さんの価値観が変わる、それによって消費行動がどのように変わるのかということを想定して、わが社のビジネスの延長線上では何ができるのか、できなくなるのかを想定しながら対応していかなくてはならない時代だと思います。
例えば、旅行業界。海外へなかなか行けなくなりました。そこで旅行業界が仕掛けている一つのビジネスモデルとして日本の有数の観光地に1週間~10日ぐらいのパックを作って、高級ホテルで10日間連泊してもらって、高級なお食事をしてもらいながら、その地域のさまざまな観光地やイベントに参加していただくような高級なプロジェクト、プログラムを作って集めてきています。
それから三越伊勢丹グループは、百貨店がいま大変な中で、例えば、お得意さま係という人がいて、お客様のどういうものをお好みで、どういう価格帯で買われるかを皆知っている。そういうお得意さま係がお客様とオンラインでつながって、いまこういうものがあります、こちらもありますと勧めていくショッピングを始めて、これが意外に当たっている。
ですから、3年続くということを覚悟した上で、その上でいろんな仕掛けをしていく、そういうバイタリティーのある生き方が、いま私たちは求められているのではないかと思います。
いま、二極化が激しいと思います。いわゆる上位の人たちと下位の人たちの格差が開いてきている。一つ分かりやすく申し上げれば、資産効果を上げられるような人たち、つまり株、不動産、債権などを持ってらっしゃる方は、株の価値が上がるからもっと余裕ができます。でも、持ちたいと思っても元手がないから買えない、あるいはうちの会社倒産しちゃったからお金を使えないという人も出てきています。
持つ者と持たざる者の格差が開いてきてしまってる。そういう中で、この上の人たちだけを対象にしたビジネスをやっていくと、社会の不安が起こってくると思います。不満から不安が起こってくる。ですから、私がご縁を持ってる企業の皆様がたには、いまその上の人たちをターゲットとしたビジネスモデルももちろんやって下さいと申し上げています。けれども、それだけではなくて、もっと社会の下を支えてるような人たち向けのビジネスも、コミットできるようなビジネスモデルがあるのだったら、そこにも知恵を払っていただけないか。ここにこそ日本人の得意としている、いいものを安く売るという精神で、モノやサービスを提供することを今、やっていくべきではないかと思うのです。
いいものを安く提供するのを、日本の国内で困っている人たちに提供していって、それで日本社会の再安定化を図っていくことをまず始めて、そして国内に安定が戻ってきたところで、もう一度国際社会とのしっかりとした連携を考えていっても、遅くはないのではないかと思うのです。
日本の政治にはそういうものを求めていきたいし、そして、日本のビジネス界の皆様がたにも、そういう意識を持って、もう一度日本の国内で必要なモノやサービスを適正価格で提供して、みんなが満足できるような社会に戻していくことができないかと、お話ししています。
上澄みの人たち、お金持ちだけをターゲットとしてビジネスを仕掛けてる、これはもちろん重要です。やるべきだと思います。けれども、そうじゃないところも対象にしながら、わが社としてはそこにどういうビジネスを仕掛けていけるのか、そういったところを考える。そのときに、繰り返しになりますが、こちらも損しないでいいものを安く提供できるような形で、知恵を使っていくということをやっていけないのかなと、非常に強く考えているのです。
【講演録】「アフリカのビジネス概観と南アフリカの今後の可能性」(石原圭昭)
「アフリカのビジネス概観と南アフリカの今後の可能性」
石原圭昭(よしあき)
(日本貿易振興機構(ジェトロ)ヨハネスブルク事務所長及びアフリカ総代表)
1990年に日本貿易振興会(現;日本貿易振興機構)入会。東京本部勤務の他、山形事務所、大分事務所所長も務め地域企業の輸出促進を支援。93-98年ポーランドのワルシャワ、2007-11年トルコのイスタンブール所長として勤務。2019年9月より南アフリカのヨハネスブルクに赴任し、現職として活躍。
■ジェトロの事業概要と、アフリカにおける拠点
私は1990年にJETRO(ジェトロ)に入社し、山形など国内と、海外はワルシャワ、イスタンブールに駐在し、今はヨハネスブルク(南アフリカ)で3ヶ国目になります。
ジェトロは経済産業省の傘下の貿易及び投資を促進する機関で、海外に76事務所(55ヶ国)、国内には全都道府県にあります。各県庁では国際的な展開のお手伝いをしてほしいということで、自治体からも予算をいただきながら運営をしている政府系機関です。
主に4つのミッションがあります。一つには、海外企業の対日投資の促進。今は特にイノベーティブなスタートアップの誘致に注力しています。海外には優秀なスタートアップ企業がたくさんありますので、それを日本に入れて、より日本経済の活性化を図る。
次に、各都道府県含めて食品の輸出が大きな目標の一つになっていますので、その支援。ここがジェトロとしては一番やっているところかなと思います。そして、食品以外の中堅中小企業の海外展開の支援。ここも南アフリカを含めいろいろな事業を行い促進しているところです。
あとは調査です。われわれの住んでいるアフリカの情報を皆さんにお届けする。また、パートナーとなりうる南ア企業を探すということも行っています。基本的にすべて無料で対応させていただいております。ただ、個別の企業の情報提供等になりますと調査する内容によっては有料でやらせていただいております。
アフリカには9つの事務所があります。私は、ジェトロのヨハネスブルグ(南アフリカ)におります。北から、ラバト(モロッコ)、カイロ(エジプト)、コートジボアール、ガーナ、ラゴス(ナイジェリア)、エチオピア、ナイロビ(ケニヤ)、モザンビークです。モザンビークは天然ガスの埋蔵が発見され、日本企業、特にエンジニアリング関係の日本企業が進出してこられています。ただ、北部では武装勢力が出てきており、陸上の天然ガスの開発準備が止まっています。
-発達障害傾向のある社員とどうコミュニケーションを取り、戦力化するか [ 特集カテゴリー ] 【 清話会講演録 】, ◆先見経済◆
【講演録】「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(応用編)(小島健一)
「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(応用編)
■紛争を予防するだけではなく、ピンチをチャンスに変える発想で
最近は、労働事件といわれる裁判の中で、社員の健康やメンタルヘルスに関わる事件が半数を超えています。それくらい、心と体の健康についての正しい知識やノウハウがないと、人を雇って働いてもらうことが難しい時代になっています。私も、お客様の人事労務のご相談に対し、多くの部分をこうした産業保健のコンサルティングに充て、さらに、人事担当や管理職をカウンセリングやコーチングで支援しているのが実際です。
女性の活躍はもちろん、外国人、障害者の雇用に始まり、がんやさまざまな生活習慣病、難病に罹った方でも働きたいという、病気と仕事の両立支援が、今非常に重要になってきています。今、特に30代の女性で不妊治療をしておられる方が増えていますので、女性に活躍してもらうためには、それもカバーしないといけない。そしてLGBT。こういったさまざまな、まさに多様性のある労働者を戦力とし、組織に包摂してメンバーとして活躍してもらうことが人事の本当に大きな課題です。
【新連載】第一回「粕取焼酎と近江商人」(田﨑 聡)
第2回 体育会人材の就職観 (久野晋一郎)
前回は体育会人材が採用活動で注目をされる理由について触れてきた。今回は体育会人材の就職観について、体育会学生支援「アスリートエージェント」を通じて過去30,000名以上の支援に当たってきた経験から解説させていただく。
まず、過去・現在の学生たちの就職観について触れていきたい。
マイナビ・日本経済新聞社が毎年発表をしている就職企業人気ランキング(図参照)というものがある。文系学生ランキングおよび完全失業率のデータももとに年代別変遷を追っていきたい。
1980年は円高不況の入口ではあったものの、国内消費の意欲が高かった。就活生には三井物産、三菱商事、住友商事といった商社が人気だった。バブル景気真っ盛りで就職活動は非常に楽な時代となった1990年。就活生は楽観的で海外の華やかなイメージから航空、安定したイメージから銀行が人気だった。
就職氷河期のもっとも厳しかった時期にあたる2000年。求人倍率は1倍を下回り、学生の就職活動は困難を極めた。厳しい環境のなか、就活生は憧れの業界を視野に入れつつ、安定性を求め、各業界トップ企業が人気だった。
第5回『経営理念を現場で活かす方法』(小池浩二) [ 第5回 ]
■経営理念は経営者の信念
日本において、経営理念を重要視した経営者として松下幸之助氏が挙げられる。松下幸之助氏は事業経営の一番根本になるのは正しい経営理念であり、経営理念とは、この会社は何のために存在しているのか、この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか、という点についてしっかりした基本の考え方を持つことであると説明している。
■家訓なくとも家族はまとまるが、理念なき会社はまとまりにくい
一般的な組織(趣味の世界、学校等)の特徴は、基本的な価値観の似ている人が集まるのでまとまりやすい。しかし、中小企業という組織は例外。育った環境が違う、年代が違う、何が好きか嫌いかという価値観の違う人たちが偶然に同地域に住んで、通勤距離が短い等の物理的理由で一つの会社に集まり、組織を作ろうとする。これが多くの中小企業。価値観の違う人たちが集まって組織をつくるわけだから、放りっぱなしの状態ならば確実に崩壊する。
そもそもチームとは、仕事に必要な数人が集まったから「チーム」になるわけではない。大前提として、メンバー全員がチーム一員である当事者意識を持ったうえで、チームの共通の目的、達成する目標、それに向かうためのプロセスを共有する集合体がチームであり、チームワークを強化していくには、共同で何かをする前にチームづくりを行わなければならない。つまり、会社は「何もしなければうまく回らないこと」を前提にチームづくりを行う発想が必要となり、その対策が図表の「集団統一の原則」である。
経営理念は集団を統一するキーワードの最初に位置する。この経営理念は木の根っこの役割でこれがしっかりしていないと木は成長しない。仮に大きな木の幹・葉をつけていても根っこが腐り始めると木は倒れる。つまり、経営理念が立派でも実際の経営をデタラメにやると目に見える部分の成果は上がらない。正しい経営理念を持つと同時にそれに基づく具体的なビジョン・方針・商材戦略・戦術・戦闘が環境に適合していないといけない。
第6回「中小M&A支援機関の登録制度制定から」(河本和真) [ 第6回 ]
##「中小M&A支援機関に係る登録制度の概要」が発表
8月2日㈪、中小企業庁より「中小M&A支援機関に係る登録制度の概要」が発表されました。これは、中小企業が安心してM&Aを活用できる基盤づくりの一環として、登録制度の運用開始に合わせ、登録を希望するM&A専門事業者(仲介業者・ファイナンシャルアドバイザー)や金融機関、商工団体、士業等専門家、M&Aプラットフォーマー、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公募も始めるというものです。
登録要件の詳細については、募集開始となる8月中旬に発表されており、本記事執筆時には公開されていないですが、M&A事業者などの適切な行動指針を表した国の中小M&Aガイドラインで定められた契約や交渉、デューデリジェンスの実施などに関する項目の順守を宣言することが規定されています。登録機関は毎年度の実績報告などを提出し、要件を満たさないと判断されれば有識者委員会に諮った上で登録を取り消されることにもなっており、中小企業庁としては登録機関の活動状況について毎年把握することが可能となります。
また登録機関の支援によって行われたM&Aのみ、国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)におけるM&A支援機関の活用で生じる仲介手数料などの補助を受けることが出来ることから、中小企業でM&Aを検討されている方は、登録機関に依頼することがおすすめされています。また登録機関による支援を巡る問題などを抱える中小企業側からの情報提供を受け付ける窓口を設けることも発表されたことから、M&Aにおける中小企業の心配を国としてフォローする仕組みが少しずつ出来上がっていると言えるでしょう。
##この登録制度ができるに至った背景
そもそも、2000年時は67者と推定されていたM&A専門業者やプラットフォーマーの数が、2020年には370者にまで増加しました。それだけ、M&Aの市場が活性化し、需要も増えていると言えるのですが、それだけ増えると大変に残念なことながら顧客にとって不利益な契約を結ぼうとするなどの事例が出てきてしまいました。そういった事例が散見されるようになったことから、この登録制度は良質な専門事業者などを顧客側が判別しやすくすることでスムーズな事業承継を促すことに繋がるとして、設計されたと考えられます。2021年度はM&A業界の健全な発展と中小企業の保護を目指した自主規制団体も設立される予定で、より中小企業にとって安心な環境が創出されることが期待されています。
第9回 SDGsの基本とビジネスへの関わり⑧ (菊原政信) [ 第8回 ]
自治体における地方創生SDGsと「SDGs未来都市」
地方・自治体が直面している社会問題
都道府県別の人口増減の予測が定期的になされていますが、東京都と沖縄県を除いてすべての地方自治体において顕著な人口減少傾向を示し、特に地方の小規模な県において著しい状況です。このような人口減少による、少子高齢化、若者流出、過疎化などの社会問題は、今後、表に示すように自治体運営に深刻な影響を与えます。