経済動向最前線 [ 特集カテゴリー ] ,

背伸び経済の欠点 [ 第40回 ]

 政府の経済見通しは常に強気と相場は決まっている。2017年度は実質1.5%、名目2.5%である。16暦年の速報では、実質1.0%、名目1.3%と見通しに達していない。

 

 もっと先々の政府の中長期試算では、経済再生ケースとして、18~20年度実質2.0%、名目3.5%とさらに強気だ。人口の先行きは毎年▲0.45%ずつ減少することが見込まれているので、政府の見通しを実現するには1人当たり名目成長率が毎年4.0%程度にならなくてはいけない計算だ。

 

 日銀は、金融緩和で2%の物価上昇を実現すると言っているが、これを信じている民間人はほぼいない。政府の成長戦略は、4年前に比べて完全に熱が冷めた気がする。数字だけが極端に背伸びをして、皆が改革を信じなくなっている。

 

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社会問題最前線 [ 特集カテゴリー ] ,

原発避難者の責任? [ 第86回(最終回) ]

 他人の苦労は、聞いてみなければわからない。それも自分の生活に引きつけてみなければわからない。想像する力が欠けていて、不用意な自分の言葉が相手に精神的な打撃を与えたくない、と考える。

 

 原発被害を受けた福島から、全国へ散った「避難者」たちが、いまなお苦しんでいるのは、故郷へ帰りたい。しかし、帰りたくない、というアンビバレントな心である。

 

それをはばんでいるのが、放射能である。この悩みに気づくことなく、その痛みを感じない、ごく普通の、それも大多数のひとびとは、効果案が得ている。

 

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EU情勢最前線 [ 特集カテゴリー ] ,

覆水盆に返らず、か? [ 第64回 ]

 太公望が周に仕官する前、仕事もせず本ばかり読んでいたため、離縁された。その後太公望が出世したため、元妻は復縁を申し出た。水の入った盆を持ってきた太公望は、その水を盆に戻せたら復縁すると答えたが、戻せる由もなし。転じて1度起きてしまったことは2度と元には戻らないことを言う。

 

 「これは歴史的瞬間で、後戻りすることはない」。2017年3月29日、メイ首相は欧州理事会のトゥスク大統領に書簡を送付、EU離脱に意向を正式に通告。リスボン条約第50条の発動によりプロセスを開始した。2年間の交渉期間を経て、19年3月末までに離脱を完了するスケジュールである。

 

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生産性上昇がうまくいかない構造問題 [ 第39回 ]

 最近の働き方改革では、長時間労働を是正すれば、自然と生産性が上がるという論調がある。これをマクロで考えると、何の根拠もない。むしろ、総労働時間が減って、家計所得も落ちる。1988年に週休2日制の導入が広がって、労働時間が短くなり、潜在成長率が低下したことは有名だ。私たちは、働き方改革とは別に、生産性上昇の策を具体的に考えていかなくてはいけない。

 

生産性上昇のために必要なのは、投資と技術とされる。企業が新しい成長のための変革を進めて、労働者1人当たりの設備資本ストックを増やす、つまり資本設備率の向上が望まれる。

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漁夫の利 [ 第63回 ]

 中国趙の国が燕の国を攻撃しようとしているときのこと。燕王が「ハマグリの肉を食べようとしたシギは、ハマグリに嘴(くちばし)を挟まれた。互いに譲らず睨(にら)み合っていたら、漁師がやってきて、苦労せずに両方とも捕えてしまった」と説くと、趙王は第三国の秦が得することを怖れて燕への攻撃をやめた。ここから、当事者同士が争うなか、第三者が利益をさらってしまうことを漁夫の利と言う。

 

フランス大統領選挙がにわかに金融市場に影響をもたらすようになっている。フランス国債が売られ、債券価格が落ち始めた。選挙前にポジションを中立に戻しておくのは投資家の一般的行動だが、それだけフランス大統領選挙の様子が混沌としてきたことの証左でもある。

 

 フランス大統領選挙は4月に第1回投票、5月に第2回投票が行われる。

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中国最前線 [ 特集カテゴリー ] ,

大気汚染問題解決は、都市再開発で [ 第78回 ]

 中国は大気、水質、土壌など、ほとんどの環境汚染問題に直面しているが、京津冀(けいしんき)地域(北京、天津、河北省を合わせた呼称)の大気汚染問題ほど注目されているものはないだろう。

 

 なぜなら首都北京の大気汚染は、居住する国家のリーダー層がその被害を実感してしまうという意味で、一部の社会弱者が被害を受ける環境問題とは性格が違うからだ。

 

 京津冀地域のPM2.5大気汚染は、2012年ごろに北京の米国大使館が敷地内での計測結果をインターネットで公開し始めて汚染実態が明るみに出た。その後中国全土で汚染が確認され始めたため、中国政府は13年に「大気汚染防止行動計画(「大気十条」)を発布し、重点地域の大気汚染被害の軽減化に着手。また16年には「大気汚染防止法」を15年振りに改定し、総量規制や公害犯罪の重罰化などで環境汚染への取り組みを強化している。

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原発避難者の切り捨て [ 第85回 ]

 3月いっぱいで、福島県浪江、飯館、楢葉、川俣の4地域の住民3万2,000人にだされていた、「避難指示」が解除される。しかし、これで原発の被害は心配ない、もう大丈夫、という政府の「収束宣言」かといえば、そうではない。

 

 避難指示解除といっても、根拠は放射線量が年間20mSvを下まわった、ということだけだ。それで本当に安心なのか。その保証がないまま、一斉解除まであと一か月たらず、元住民の不安は強まっている。

 

 住民の帰還にむけて、国と県が除染作業を続けてきた。除染作業をめぐっては、作業に賄賂が流れたりとか、「除染」らしくない汚染事件も発生したりしているが、広大な山野の放射能を除去するなど、未曾有の大工事である。

 

 しかし、その膨大な費用を要する大事業がどれだけの効果があるのか、健康に本当に影響しないのか、その土地にもとの住民が帰って来られるのか、帰って来ても、果たしてもとの生活ができるのか。解決困難な難題が山積している。

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