「感謝の心」を話に生かす
筆者が「トップ・幹部の話し方教室」の講師をしている後継者塾での実践発表会は感謝心の浮き彫りで感動の場面が多くあります。
「感謝の心」を話に生かす
「こんにちは。お久しぶりです」「お待ちしていました」と互いに歩み寄り、握手、肘タッチを交わす一言は実に嬉しい。「今回もパートナーシップを生かして実効ある研修を創りましう。どうぞよろしくお願いたします」と訪問の目的を確認しての対面型打ち合わせの機会も多い昨今です。この際の効果的なやりとりは「わざわざ機会をいただきまして……」の感謝の心で互いにビジネス成果を創り出す話し方です。その実践の極意を5点提起します。
複数人を対象とする話す機会は特段に感謝いたします。それは、機会を提供してくれた方に感謝、様々な条件を持って参集していただいた聴衆ヘの感謝です。従って、「お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、この機会を設けていただきました〇〇さんのお骨折りに感謝いたします。皆様に感謝し、精一杯お役に立ちますよう話させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」と前置きして本題に入ります。
組織活動も新年度の時期であり、新たな戦略を掲げての活動のスタートです。新たに成すことは新たな方法を創造し、その実現には、新たな戦力を加えた新たな協力関係、そして新たな顧客創造の構築が不可欠です。
「感謝の心」を話に生かす
「きく」という言葉は、聞く、聴く、訊く、の三通りの文字を使います。「聞く」は一般的な聞き方、「聴く」は注意深く、十四の心と耳で心を汲み取ることを意味します。従って「傾聴は愛なり」の「愛」は、心が中心にあり、その上と下を合わせると「受」となり、心を受け止める聴き方を表します。そして、「訊く」とは、不明点や疑問点を問いかける新たな学びを積極的に聴く働きかけです。従って、聴く・訊くことは学ぶ感謝心での相手との信頼関係を創る施しなのです。
では,その実践法は……確認してみましょう。
「感謝の心」を話に生かす
褒め上手も感謝の心が生きた話法の実践です。それは話したこと、指導したこと、依頼したことに対する実践を認め、労い、感謝の心の伝えだからです。
例えば、指導された部下は、その実践により二つの欲求が発生します。一つは、「指導されたことをしっかりやっています」、もう一つは「これだけうまくなりました。お客様からも喜ばれました。この成長ぶりを評価して下さい」であり、誰でも持つ、認められたい、好かれたい、役割を果たしたいとの承認の欲求です。ですから、褒められることを求めているのです。
新たな年、新たな想いの推進には集知を結集し、決定事項を推進していくことです。それには「会して議さず、議して決せず、決して行わず、こんな会議は御法度です。会議出席方法は、集合、オンライン……様々ですが、出席者としての責任、及び貢献を楽しむ上でも感謝話法は必須となります。それには、「出席の機会をいただきまして、ありがとうございます」と選ばれ、発言の機会をいただけたことへの感謝の心に基づく話し方の実践です。
その極意は次の6点です。
「説明が不十分」「説明責任が果たせていない」の言葉は、「もっと理解したい」との傾聴意欲があってのことです。こんなありがたいことはありません。従って、その期待に感謝し、真摯に話すことが肝腎です。それは、新たな協力を得る起点だからです。
生涯現役の選択した生き方の一方法に「起業」があります。それは、職業人生で磨いてきた専門能力、知識、人脈、経験を生かして新たな想いの挑戦です。
筆者は地元「創業塾」の講師団として長年携わってきました。塾では、起業にあたって、提供する商品・サービスの売上げ・利益の見込みを見据え、場所、設備、資
金繰りはどうする、その具体的手法学び、ビジネスプランに集大成します。
これらの学びを実現する上での必須スキルはビジネコミュニケーションです。その柱は2つあります。
ベテランとは、「さすがの技術力・専門力を深く、広く持っている人」「経験豊富な人」として一目置かれる存在で、2つの強みのパワーがあります。
一つは専門力で、エキスパート、スペシャリスト、匠、あるいはマイスターなどと称される力量です。もう一つは豊富な経験の関わりで磨かれた人間力です。例えば、人徳、対人関係力、人脈、気が利く言動、職業経験を通しての哲学、座右の銘による事の良し悪しの判断力などがあります。