家族のよりどころとなる家訓・家憲

100年、200年企業を実現するための 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ 大井 大輔 [ 特集カテゴリー ]

家族のよりどころとなる家訓・家憲 [ 第6回 ]

 先月はファミリービジネスにおいて、スリーサークルモデルの所有分野について説明しました。今月は、家族分野(ファミリー)において検討すべき事項について説明します。

 

家族分野(ファミリー)で検討すべきこと

 

①家族のよりどころとなるポリシーの策定

 会社には経営理念や行動規範といった何か取扱に迷ったときに、参考にすべき考え方などがあります。同様に、家族においても、そのようなポリシーがあることが、永続できるファミリービジネスの基盤につながります。具体的には、家訓・家憲と呼ばれるものです。家憲とは、その家に伝わるしきたりなどを意味して、家訓とはその内容を明文化したものを意味します。家訓・家憲には、後継者に対して、どのような方針で教育を施せば良いのか、一族のことで何かの悩んだときに、どのような行動をとれば良いのかが分かるような基本となる考え方やルールがまとめられています。

 例えば、江戸初期から続く三井家の創業者である三井高利(1622~1694年)は、「現金掛け値なし」という、当時は掛け売り(ツケ払い)が当たり前の時代に、公正な価格にて現金取引で販売するという方法で事業を大きくしたことで有名で、三井家の家憲(※)を残しています。

 

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