オランダ国交と浮世絵

伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo 若柳 尚雄里 [ 特集カテゴリー ]

オランダ国交と浮世絵 [ 第十四回 ]

毎時正時に鐘が鳴り、中央の駅より拡がる五本の水路、そこを優雅に行き来する船、対岸には100年から200年以上前に建てられたレンガ創りの建物。全て石畳を敷かれた歩道を歩きながら、日本との400年にも渡る国交はどの様なものだったのだろうと想像していました。この度は、オランダ・アムステルダムより、「尚雄里と日本舞踊」~オランダ国交と浮世絵~をテーマに記しております。

10月2日より7日迄のアムステルダム滞在は、ある国際会議でのパフォーマンスと、オランダの方へ向けた日本舞踊のワークショップの為、訪蘭しました。オランダは日本との国交は古く、1598年6月の午後、アムステルダムより60キロ南下したロッテルダムの港に、5隻の船が長きに渡る航海の途に就こうとしていました。目的地はモルッカ諸島(別名・スパイスアイランド)で、そこで胡椒などの様々なスパイスを調達し、更にその先の銀の王国日本を目指すものでした。

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浮世絵の女

伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo 若柳 尚雄里 [ 特集カテゴリー ]

浮世絵の女 [ 第十一回 ]

~行水の おせんえがいた紅筆を 水に落とした夕間暮れ 廻りどうろがくるりと廻る

江戸の昔を今の世の 夢の雪岱(せったい)あで姿 おびは空解け柳ごし

咲いた桔梗のひと片が 仇に散ったか蚊帳のかげ

こうもり来い あんどの光をちょいと見てこい

道行のおせんかくした青すだれ 萩に流れる蚊やりをよそに 廻りどうろが くるりと廻る~

 

第十一回 尚雄里と日本舞踊は、テーマを浮世絵に変えて記させて戴きます。

 冒頭の夏の風情を唄っている文句は、日本舞踊ではポピュラーなジャンルの大和楽の曲で、演目『おせん』の全文です。日本舞踊の古典では新しく、昭和二十年に邦枝完二作詞、宮川寿郎作曲により発表されました。また、文句にもある「雪岱」とは明治生まれの画家で小村雪岱といい、昭和八年に新聞小説で、おせんの挿絵を描いていたのがきっかけで、当時はおせんといえば雪岱さんとのイメージが強く、作詞の際に盛り込まれた様です。

 

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