マイナス金利は平成「負の遺産」

経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ]

マイナス金利は平成「負の遺産」 [ 第62回 ]

 預金金利がほとんどゼロ%である。この状態はいつまで続くのであろうか。
多くの人は、日本銀行が物価上昇率2%の達成ができない限り、このゼロ%がずっと続くと思っている。筆者のようなエコノミストは、物価上昇2%はずっと達成不可能なので、そのルールを止めない限りは預金金利ゼロのままだろうとより悲観的である。

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正念場の世界経済 AIによる失業率の上昇

「いよいよ世界経済は調整局面か」 —-日本の今年から2020年、その先の生き方 東京 2019年3月11日(月) [ 特集カテゴリー ]

正念場の世界経済 AIによる失業率の上昇 [ 経営コンサルタント、経済アナリスト 中原 圭介 ]

牽引役は米中消費
金融緩和で債務は拡大方向

 2018年末の現状、そして世界経済の第一の牽引役はアメリカの旺盛な消費で、その要因は原油安と低金利が消費拡大です。アメリカのGDPは、ここ5年で平均2%以上の成長率を達成しています。特に2014年の後半から原油安が始まり、アメリカ国民の実質的な所得が上昇しました。なおかつ低金利によって金融機関の融資基準が住宅ローンを除いて緩和され、家計も借金をしやすい状況になっています。そのなかで消費が拡大して、GDPが底上げされました。アメリカの消費の拡大による輸入の拡大が世界経済に好循環をもたらしているのです。
2番目の牽引役は中国の設備投資と消費の拡大です。米中貿易戦争以前は設備投資と消費が拡大し、経済成長と賃金上昇が進んできました。ただ、中国は経済効率が悪くなっています。リーマンショック後の4兆元投資で非効率な投資が国営企業中心に進みました。最新の試算では、GDPを1兆ドル増やすために民間企業が3兆ドル近くの借金をしています。とはいえ、リーマンショック後の世界の大不況を救ったと歓迎され、アジア経済の底上げにもつながりました。
 そして第3の牽引役は世界的な金融緩和です。アメリカの中央銀行であるFRBは2015年から利上げを始めましたが、まだ効果は現れておらず低金利が続いています。低金利のなかで世界中の政府、民間企業、家計が債務を増やしているのです。ところが日本は企業と家計は債務を増やしておらず世界に比べ特殊であり、健全と言えます。ただ、政府債務が先進国で突出して大きいのが問題です。いずれにせよ、低金利によって世界中で債務拡大が持続可能になっており、その債務の拡大が、いまの経済成長を支えているのが現状です。とはいえ経済成長率は低いのですが。

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動く日銀の思惑

経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ]

動く日銀の思惑 [ 第55回 ]

日銀が7月末の会合で緩和見直しを決定して、数日間が経過した。会合後の反応をみていると、イールドカーブなどにはそれほど大きな変化は起きていない。長期金利も、変動幅の上限を0.1%から0.2%へと引き上げたが、すぐに0.2%に跳ね上がることにはならなかった。理由は、この見通しが緩和強化なのか、出口戦略なのか、今ひとつわかりにくいところにある。今もって、政策評価には定説はない。

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