大学院でマネジメントを教える傍ら、経営コンサルタントとして、経営陣が抱える諸問題に50年以上取り組んできたピーター.F.ドラッカー。マネジメント手法の8割を生み出した経営学の第一人者であり、「マネジメントの父」と呼ばれています。自らも「何をもって人に憶えられたいか」を問い続けるドラッカー氏のモットーは、「神々が見ている」だったそうです。
コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~ 中平 次郎 [ 特集カテゴリー ] コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~
大学院でマネジメントを教える傍ら、経営コンサルタントとして、経営陣が抱える諸問題に50年以上取り組んできたピーター.F.ドラッカー。マネジメント手法の8割を生み出した経営学の第一人者であり、「マネジメントの父」と呼ばれています。自らも「何をもって人に憶えられたいか」を問い続けるドラッカー氏のモットーは、「神々が見ている」だったそうです。
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ドラッカーのマネジメントの基本と原則に、顧客の分類があります。その1つに、新たな顧客とういう分類があり、ドラッカー氏は、それを「予期せざる顧客」と言い変えています。私たちが全く予期していなかった、期待もしていなかった顧客が、突然目の前に現れることがあり、新たな顧客の獲得につながることがあるので、機会のターゲットと言われることもあります。「予期せざる顧客が現れたら、本命と思え」と、ドラッカー氏は強調しており、大きな機会につながる可能性があるので、見極める必要があります。
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当面続くと思われるこのWithコロナの時代において、「誰が顧客になりうるか」。そして、「本来、誰が顧客であるべきか」。先を見通しづらい現状で、変化の激しいこの世の中ですが、これらの問いはマーケティングのテーマにおける永遠の問いでもあります。つまり今もそうですが、Afterコロナになっても、繰り返し、繰り返し、自分たちに問い掛け続なければならない、基本と原則です。
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このコロナ危機を乗り越えていくためには、明日を創造するための継続的な取り組みが欠かせません。世の中のニーズは何か。社会は今、何を求めているのか。自分たちは強みを活かして、何に応えていくのか。社会に対し、どのような貢献をしていくのか。そのように問いかけながら、新たな事業を創り上げたり、新しい商品・サービスを生み出したりと、イノベーション創出のための継続的な努力が求められています。
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安心のシステムを作り、資金の余裕、人的資源の余裕、そして物的資源の余裕を作り、廃棄の目処がついたら、次3番目に必要なのは、「未来を創る」ということです。余裕ができたリソースを使って、未来を創っていくことができないかと、是非、考えて頂きたいと思います。
このコロナウイルスが終息した後の世界は、大きく変わっていると思います。例えば、すでに今、リモートワークが標準になってきて、「離れていても、会議って簡単にできるよね」と、皆が認識するようになってきました。そのように、今までやってきた自分たちのやり方を変えていくといったことが次々と起こっています。
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安心のシステム作りができたら、2つ目は、リソースの余裕を作るということです。つまり、経営資源の余裕です。その余裕を作る時の第1のポイントは、資金的余裕です。この状況の中で、自分たちの資金的な余裕を確保しておかなければ安心して事業に取り組めません。もし経済的に余裕がない場合は、財務や経理担当の方と打ち合わせをしたり、あるいは、顧問会計士や税理士の先生に、どのように資金を手当てするのかといったことを相談し、具体的に動いてみることをお勧めいたします。
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緊急事態宣言が解除され、段階的に社会経済活動のレベルが上がっていく中で、全ての事業者には、感染拡大を予防する新しい生活様式を定着させることが求められています。また仮に、再度、感染の拡大が認められた場合には、厳しい行動変容の要請を求められることが想定されており、今現在、大変な思いをされていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。数ヶ月前には想像もできなかったような危機が、今襲ってきており、未だ、先がどうなるのか、見えていない状況です。誰もが不安に感じてしまうこのような状況ですが、いつ戻るだろうかと、じっと待っていてはいけません。
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コロナウィルス感染拡大に伴う経済的なインパクトはとても大きく、特にこのような危機に直面した時、企業の考えや想い、姿勢など、その組織の「本質」がよく見え、わかりやすいと感じるのは私だけでしょうか。言い換えると、「企業や組織のトップとしての在り方」が浮き彫りになってきます。
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経営者であるあなたが理想とするリーダー像とは、どのようなリーダー像でしょうか?
自分自身がどのようなリーダーでありたいのか、ということを考えるにあたって、自分自身が今現在、どのようなリーダーなのか。まずは、それを確認するところから始めていく必要があります。次のようなことを一度想像してみていただけないでしょうか。
もしあなたが乗っている飛行機が墜落し、死んでしまったとしたら、あなたはどのようなリーダーだったと言われるでしょうか?
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「私たち経営者が、リーダーとして模範とならないといけない」。
社員から見て、自分は模範となっているかが問われます。部下から見て模範となっていないから、部下たちが自分の思っている姿勢や、正しい行動を取ってくれていないのだ、と考えないといけません。リーダーである自分が模範となっているか。模範となるのは、私たち、リーダー自身です。
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なぜイノベーションが大切なのか
現代は乱気流の時代と言われています。それを言い換えるとすれば、世の中の変化が想像以上に早く、変化が激しい激動の時代とも言えるかもしれません。知識労働者が多いこの知識社会、情報化社会においては持っている知識がすぐに古くなってしまう傾向にあります。そしてその変化は常に起きており、これからもずっと続いていきます。
世の中の変化が激しい時に起きていることは、我が社の事業や、提供している商品・サービスがすぐに古くなってしまうことです。そうすると利益の上がらない事業や、成長が止まったり鈍化した事業、競争力を失った事業が出てきます。
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困難なときにこそ、経営トップのリーダーシップが問われ、一貫性を保っていく難しさもあるのですが、その後、社員たちが、私たち経営者を信頼してくれ、「やはり社長は立派だ」と思って、付いてきてくれるようになったとします。その時に経営者から見て、この社員たちが、どんな部下であってほしいかということがあります。
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経営トップのリーダーとして、一貫性を堅持することが大切ですが、それ故難しく、困難なときにこそ、それを一番問われるように感じます。例えば、次のような場合のときです。
経営者として、我が社のミッション(使命)や、顧客に対する貢献が大切だといったことを繰り返し従業員に説いている企業があり、その会社の業績が、今年たまたま急激に悪くなったとします。「今はそんなことを言っている場合ではない。使命はちょっと横において、とりあえず利益を上げよう、売上を上げよう、それにみんな集中してくれ」と経営者が突然言ったとします。そのあと半年間、全社員休みは返上です。皆が必死になって仕事をし、1人あたり月間400時間働いたとします。その時は会社が危ないからという理由で、とにかく売上を上げないといけない状態になったと想定してみてください。
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経営トップがリーダーシップを発揮していくにあたり、働く人たちからの信頼が必要なこと。そして、その信頼は賢さではなく、一貫性から生まれるということ。リーダーシップは一貫性に支えられている、というお話を前号でいたしました。
リーダーシップが顕著に発揮されていたと感じられる事例を1つご紹介いたします。少し前になりますが、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い、福島第一原子力発電所で事故が発生した時、そこで責任者として現場を指揮されていた吉田所長です。彼は一貫性があったリーダーだと思います。
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理想とするリーダー像においては「あなたと共に働きたい、あなたのもとで働きたい」と言われる、または、そう感じてもらえる関係性を、部下の方々と作っていくことが欠かせません。ではその時に、何が重要なポイントになるかを、私たち経営者が理解しておく必要があると思います。
ドラッカーのマネジメントでは、古くさい言い方ですが、「信頼がないといけない」と言われています。言い換えると、経営トップとしての「人間性」であり、部下たちに信頼してもらわなければいけません。
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ドラッカーのマネジメントの基本と原則で言われている、理想とするリーダー像において、2番目に必要になってくることは、部下の方々との関係性構築です。部下がいてこそ、私たちリーダーの存在に意義があります。部下を持たない、自分一人であれば、自分が頑張ればいいのですが、多くにおいては部下がいてこそのリーダーなので、部下の人たちに付いてきてもらわないといけません。
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ドラッカーのマネジメントの中で言われている、理想とするリーダー像になろうと思ったら、リーダーが目指すものがないといけない。それがドラッカー5つの質問で言われている使命、ミッションであり、リーダー自身が、自分の信じる使命を持たないといけない。それを持っていない人は、真のリーダーになれないし、リーダーとは言えない。そういうお話をさせていただきました。
私たちはリーダーとして、日々ベストを尽くして仕事をしていても、仕事にはどうしても波があったりします。うまくいっている時は、私たちは元気よく働きます。でも、やっても、やっても、うまくいかないといった時、下降線をたどっている時というのは、なかなか力が出てきません。
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前号で、リーダーシップの目的というのは、人間のエネルギーとビジョンを創造することである、社員を見てあるいは部下を見て、部下のエネルギーとビジョンが創造されているか、自分とともに仕事をすることによって、そういった変化が起こっているか。それが、自分がリーダーシップを発揮したかとの判断基準となる。そういうお話をさせていただきました。
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前号で組織というのは、リーダー次第で大きく変わっていくこと。そして、「今、自分はどういうリーダーなのか?」それから、「どういうリーダーであるべきなのか?」ということを考えていく必要があるとお話をさせていただきました。
ドラッカーのマネジメントでは、リーダーシップは学びとることができると言われています。生まれつきリーダー的な素質を持った人はいるかもしれません。でもそれはほんの少しの人であって、「立派なリーダー、一流のリーダーになった人たちは、自らをそういったリーダーになろうと思って取り組んだ人たちだ。よって、リーダーシップは学びとることができる」。ピーター.F.ドラッカーは、そのように述べています。
学び取るためには、何を学ぶべきかを我々が知ることで、その力をつけていくことができるのではないかと思います。