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来年、台湾が1人当たりGDPで韓国、日本を上回る(IMF予測)(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
来年、台湾が1人当たりGDPで韓国、日本を上回る(IMF予測)

真田幸光(嘉悦大学副学長・教授)

国際機関である国際通貨基金(IMF)は、来年の台湾の1人当たり国内総生産(GDP)が韓国や日本を上回るだろうとの見方を示している。

即ち、4月22日にIMFが発行した、
「世界経済見通し(World Economic Outlook/WEO)2025年4月号」
の中に示された、「政策転換の中、重要な分岐点に」によると、IMFが展望した来年の韓国の1人当たりGDPは3万5,880米ドル、日本は3万5,653米ドル、台湾は3万6,319米ドルとなっている。
 
IMFは、韓国・日本・台湾が1人当たりGDPが、4万米ドルを超える時期はいずれも2029年となるだろうとの見通しを示した。

IMFは、2029年の韓国の1人当たりGDPを4万341米ドルと予想し、台湾と日本も2029年に1人当たりGDPが4万米ドルを超えるであろうと予測している。

尚、韓国は2030年まで1人当たりGDPが日本を上回り続けるだろうと見込まれており、また、2030年には1人当たりGDPが、台湾を再び超えるであろうとも予想されている。

IMFは、韓国の実質GDP成長率は今後数年間1%台を維持するだろうという見方を示した。
2025年が1%、2026年1.4%、2027年2.1%と回復していくが、その後は2028年2.1%、2029年1.9%、2030年1.8%と成長の停滞に直面するであろうと予測している。

一方、台湾の実質GDP成長率については、2025年2.9%、2026年2.5%、2027年2.4%、2028年2.3%、2029年2.2%、2030年2.1%と、引き続き2%台の成長を維持するという予測となっている。

そして日本は2025年から2028年まで4年間は0.6%成長を記録した後、2030年まで0.5%に低下する見込みとなっている。

参考にしておきたい。

国際機関であるアジア開発銀行(ADB)の神田総裁は、米国の関税措置が各国経済にどのような波及効果をもたらすかを考慮し、アジア地域はリスクを機会に変えるべきであると述べた。

神田総裁は、
「ADBは地域経済をこうしたリスクから守る。
そして、こうした課題を機会に変えて、より強くならなければならない」
と述べた。

その上で、神田総裁は、自由貿易体制の下での経済開放に向けた更なる努力が、アジアの成長を後押しするであろうと示唆している。

ピンチをチャンスに変える、それをADBが支援する、良い循環が生まれる可能性があり、注目したい。

 

真田幸光————————————————————
1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。84年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、1998年から愛知淑徳大学学部にて教鞭を執った。2024年10月より現職。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メンバー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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