第4回『韓国のフィットネスクラブ普及率』~「Dumbbell Economy」は急成長?(申 燕澔)
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第4回『韓国のフィットネスクラブ普及率』~「Dumbbell Economy」は急成長?(申 燕澔) [ 第4回 ]

人生100年時代と言われているこの時代、「健康」に対する意識が大きく変わって興味も高まってきた。長い人生を健康で幸せに生き続けるために生活習慣を見直していて、多様なことに関心が高まっている中で、最も関心が強まっているのが「運動」である。

日本では、ジョギングやできるだけ階段を使う、一駅先から歩くなど生活の中で無理なく取り入れられる運動をしたい人が多くみられる。

一方で、韓国でも健康と運動に対する関心が高まってきて、特に国内のフィットネスクラブの数が最近10年で約54%も増えた。フィットネスクラブは2010年から2020年までの10年間で増え続けて、その数は9,900店舗以上に達している。

フィットネスが人気を集めた理由は、最初は2000年代にマッチョ俳優の登場でマッチョのブームが起きて男の間でフィットネに通う人が増えたのが始まりで、その後は週52時間勤務制の定着でプライベートの時間が取れるようになり若者を中心に再びフィットネスの人気が上昇した。

韓国フィットネスクラブが10万店舗にまで増えた背景は、下記の二つである。

一つは、2014年に韓国政府機関である文化体育観光部から「国民の生活体育施設を拡充する中長期計画」の発表である。

この計画は、2022年までに予算1兆2720億ウォンを投入し、体育施設を計1124ヶ所新たに新設する。国民の体育施設へのアクセスの利便性とサービス向上を図る計画である。体育施設が増えれば国民のみんなが徒歩10分以内の距離で利用が可能になる。また、2016年には体育施設情報提供アプリの「new sports map」を構築し、国民の誰もが全国の体育施設の情報と予約状況等を確認することができる。

二つは、週52時間勤務制が定着することによって、会社員の仕事後のプライベートの時間が取れることで、特にミレニアル世代※を中心に運動で身体を鍛える人が増えたことだ。このミレニアル世代は健康管理のため自己投資も惜しまない。フィットネス登録料や運動用品の購入などで使うスポーツ活動経費の月平均金額は2017年5万6755ウォンから2019年は7万8214ウォンと、2年間で37.8%増加した。

※ミレニアル世代(英: Millennial Generation)とは、1980年代序盤~2000年序盤に生まれた世代で、2000年代に成人または社会人になった世代。インターネットが普及された環境で育った世代で、情報技術の能力に優れている。

運動など健康と身体管理に使う消費が増え、その関連市場、いわゆる「ダンベルエコノミー(Dumbbell economy・健康管理市場が急成長する経済現象を指す用語)が再び注目されている。ダンベルエコノミーは非対面方式の自宅トレーニング市場を中心に急成長している。

コロナ禍の長期化でジムやプールの運動施設の利用が制限されてから、プラットフォームを使った自宅トレーニングに対する興味が急増している。これに合わせてオンラインサービスを展開している企業も増えている。

米の市場調査会社のグローバルビューティーリサーチによると、世界のフィットネスアプリ市場規模は、過去2018年24億ドルが、2026年209億ドルまでに膨らむという見込みが出ている。

今後の自宅トレーニング市場は非対面の消費トレンドをもとにICT基盤のサービス領域と消費者層も拡大することで、継続的に成長するという見通しだ。

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【新連載】第一回 今、体育会人材が注目される理由(久野 晋一郎)

「体育会人材を採用したい」というニーズは年々増している。

体育会人材の採用支援をメインで手掛けるアーシャルデザイン(サービス名「アスリートエージェント」)、2014年の創業以来、過去1万名以上の採用支援に携わってきた。

体育会学生、学生時代体育会に所属していた転職者、現役アスリート、競技を引退しセカンドキャリアを考える元アスリートと幅は多岐に渡る。

アスリートエージェントの強みはアスリートが競技経験を社会で活かすための思考のスイッチ、行動変容のサポートを研修、キャリア支援を通じて、行なっている。昨年はコロナ禍で一瞬は採用ニーズが萎んだものの、現在は中小企業から大手企業、メガベンチャー等多くの企業が体育会人材を求めている。

なぜなのか? 理由は現代の社会背景と体育会人材の資質・強みが大きく関係している。掘り下げて解説を行なっていく。

まず現在の社会背景は、VUCAと称される予測不可能な時代と言われている。VUCAは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を並べたもので1990年代ごろから米軍で使われ始めた軍事用語が由来。2010年代になると、ビジネスシーンでもよく耳にするようになった。

近年はコロナ禍に伴う急速なDX化、組織構造の見直しで企業は大きな変化を余儀なくされている。単刀直入に「正解が見えないなかで変化し続ける力」が企業、そして個人に求められている。

では、予測不可能な時代に、体育会人材の資質・強みがどう活きるのか? 弊社では体育会学生を大学公認の運動部に所属する学生と定義付けている。全学生のうち8%程度、毎年5万人程度が対象に当たる。

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第4回『経営者の分身づくり』(小池浩二) [ 第4回 ]

経営者が一番欲しい21世紀型対応の経営幹部人財の内容です。

■経営者の分身をつくる意味

中小企業が成長・発展しなければ真の意味での豊かさは、日本には生まれない。継続して栄える会社づくりは、人づくりに尽きる。人をつくるから、そこに夢が生まれ、希望が沸きあがる。人をつくることは、職場を活性化し、会社に未来をもたらす。会社の未来は家庭を豊かな未来へつなぎ、そして地域社会の発展に大きく貢献する。その礎を創る一つの矢が経営者の分身をつくることである。

■なぜ、中小企業は王将と歩の経営なのか?

王将と歩の経営とは、経営者と役員・幹部クラスの差を表す表現である。中小企業の幹部には、現場のプロはいるが、経営のプロ社員がいないことを示している。中小企業の幹部は社長に依存しすぎる傾向が強い。それは「経営に必要な知識・技術を理解していない」からだ。

例えば経営数値の話になると計数の意味がわからず、活用できない。そうなると数値から遠ざかり、特に資金繰りは社長に100%依存型企業が多すぎる。何をどのように判断してよいかわからないから、結局経営者にお伺いをたてるようになる。 中小企業の社員は能力が低いわけではない。今までやったことがないから、やらせたことがないから、できていないことが多いだけだ。

 ■21世紀の戦略展開のキーフアクター

経営者が変われば、会社は変わる。しかし、経営者だけが変わっても、継続して栄える会社はできない。なぜなら、私たちが仕事・生活をしている21世紀は、多くの産業が成熟期あるいは衰退期の状態で、仕事の内容が高度化専門化になり、難易度が極端に上がっているからだ。つまり、21世紀の中小企業には、現場の幹部ではなく、経営の幹部が必要となる。

それは、20世紀と21世紀の戦略展開おける必要要素の変化を見ればわかる。20世紀の戦略基本は多面的展開で、そのポイントは拠点展開ノウハウをベースに成功パターンのコピー展開が基本で、展開の規模に応じて方法を変化させることで会社を成長させてきた。

21世紀の戦略基本は複数事業部展開で、そのポイントは複数事業部展開をベースに会社の核事業を中心としたシナジー効果展開である。そのためには・利益事業部の確保、シナジー効果発揮の全社横展開、収益構造・雇用形態・社員特性の違いへの対応  、部門経営者の必要性への対応が必然だ。

つまり、21世紀の戦略展開では、求められる機能が多様化するので、それを実行していくための人財の在り方が変化する。20世紀はコピー展開ができる人が部門長でもよかったが、21世紀は複数事業部を展開するためには部門長ではなく、部門経営者の育成が絶対必要となる。この部門経営者のことを「経営者の分身」と弊社では位置付けている。

 ■2階級特進の教育

会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に速い。大半の会社は部門長をさせて、できなければ教育させる等の措置をとる。

しかし、本来その時点で遅いことに気づかねばならない。これからの育成パターン考えると、役職年齢と実年齢の関係はない。その上で、その立場になってから教育するのではなく、今現在中堅社員なら部門長の教育、部門長なら経営者の教育をやる「2階級特進ぐらいのスタンス」で育成することが重要である。

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【新連載】第1回「宿命に沿って生きると、運勢が上昇する」(あさひ天麗)

あさひ天麗(あさひあまれ)

算命学を基軸に、本質を活かして天命を全うするためのサポートと組織の鑑定を実施。セッション数は、延べ1350人・8500時間強。オリジナルの「真田守り」は、願いが叶うと高評価。算命学講座開講。神社リトリート、瞑想会開催。GSCプロフェッショナルコーチ。モチベーション&コミュニケーションスクール講師。

https://amare88.amebaownd.com/

 

宿命と天命

 人には誰しもこの世に生まれた意味があり、持って生まれた宿命があります。「本質を活かしてエネルギーを循環し、宿命を生きることによって、やがて天命に辿り着く」これが、多くの方の人生を鑑定をさせて頂いた中で、私が辿り着いた結論です。人がこの世に生を受け、天命を全うすることができたとしたら、これほど幸せなことはありません。

 

本質と宿命

 さて、コロナウィルスの蔓延により、事業が傾いた会社、発展した会社が顕著になってきています。けれども「算命学」という占術を使って紐解いてみると、必ずしもコロナウィルスが原因ではないことが分かります。その原因を探るには、遡って考える必要があります。

 

・そもそも適職であるか

・経営者が、起業の本質と相応のエネルギーを持ち合わせているか

・事業規模が自己の本質の容量を越えていないか

・起業時期がふさわしかったか

・後継者が正当であったか

(算命学での正当性)

・会社移転の方角が適切であったか

・ビジネスパートナーとの相性はどうか(事業発展、信頼性において)

・従業員の本質を捉え、適材適所に配置しているか

・動乱期→教育期→平和期→快楽期→権力期と巡る組織の環境を理解し、先を見通せているか。

 これらのことは、コロナウィルスとは無関係です。けれども、経営が傾く時には、この本質と宿命の何らかが原因となっていることが多いのです。好機を捉えて解決策を講じると、改めてストレスの無い状態で進むことができるようになり、状況が改善されていきます。

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「リモートワークで進歩するコミュニケーションの中で」(引地達也)

新型コロナウイルスの対策としてリモート業務が推奨される中にあって、その仕組みも「進歩」「発展」の中で新しいコミュニケーションの形がどんどんと社会に広がっている。それが社会の発展なのか、コミュニケーション行為の進展か、私たちの幸せにそれらが本当につながっているのか、ということを考えると、立ち止まって考える必要性を感じている。

それは私自身、支援活動をする中で、コロナ禍の影響で外に出られない人、特に感染リスクの高い重度障がい者にとっては、安全な場所にいることがなおさらに求められるから、その場所で支援を受けることを前提にして、社会や周囲とコミュニケーションを維持しながら、社会に接していく必要がある。本当に豊かなコミュニケーションに向けて緊急事態の中で冷静に「進歩」「発展」とどのように付き合っていくかが課題である。

 最近の経済トレンドを伝えるニュースでは、リモートワークに関する開発が次から次へと紹介されている印象がある。それぞれが在宅で仕事をしながらもアバターを使ってあたかも同じ空間にいるような感覚でコミュニケーションができる仕組みや、リモートの会議の会話のやり取りを見える化し、誰が誰にどのくらいの割合で反応しているかなど。

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第5回「後継者候補社員の育成を考える」(河本和真)

著者:河本和真(かわもとかずま)

一般社団法人ネクストプレナー協会 代表理事

Growthix Capital株式会社 取締役CFO

1989年生まれ。中央大学商学部金融学科卒業後、北海道大学経済学研究科会計情報専攻修士課程卒業。在学中、ベンチャー企業の立ち上げに従事。2014年4月、野村證券株式会社入社。2017年にテック系M&Aアドバイザリーに参画。2019年6月より、Growthix Capital株式会社の創業メンバーに参画し、事業再生案件やクロスボーダー案件等幅広いディールを手掛ける。その他、譲渡に備えた財政状態の整備や事業拡大に纏わるコンサルティング業務や、ディール成立後の譲受企業役員として就任し、PMIの構築と実行に従事する実績を持つ。2020年9月に一般社団法人ネクストプレナー協会を設立。「失われた40年」に終止符を打つべく、ネクストプレナーという新しいキャリアを創出している。

 

一般社団法人ネクストプレナー協会で運営しているネクストプレナー大学は6月より1期生を迎えました。6月中は緊急事態宣言発令に伴いオンラインでの開講を余儀なくされましたが、6月30日よりオフラインでの開講を行うことができました。

それまでオンラインで顔を合わせるしかなかった1期生の面々が講義の場に集まり、同じ志を持った仲間と初めて直接会うことができることに、皆で喜び合っておりました。ネクストプレナー大学が大切にしているインプットとアウトプットの両方を行う体験学習を行う上で、オフラインで行うことができることはより価値を高めることに繋がります。

新型コロナウイルス感染症の状況に左右されはしますが、できる限りオフラインで開講できるよう、様々な検討を重ねながら運営を進めております。

さて、ネクストプレナー大学という存在を発信していく中で、1つの新しい視点が出てまいりました。

現在ネクストプレナー大学は、中小企業を承継し経営者になり、その企業を成長させていく役割を担う「ネクストプレナー」を育成・輩出するスクールとして、このキャリアに興味関心を持つ個人が多く集まっております。

そんな中、様々な中小企業経営者の方々と意見交換をさせていただく中で、「自社の社員を入学させることはできないのだろうか?」というご相談をいただくことが出てまいりました。「自身の後継者として育てたいが社内にリソースが無くて困っていたのだが、その目的で通わせてもよいだろうか?」といったご相談をいただくことがあります。

当社としてもこの仕組みの可能性について考えており、お話しさせていただいた経営者の方からそのようなご相談をいただけたことは大変嬉しいことでした。

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第28回『あなたの考えるチーム観とは』(小池浩二) [ 第28回 ]

■チームにも色々

一言でチームといいましても、色々あります。①勝ち癖のついたチーム、②負け癖のついたチーム、③ミスの少ないチーム、④いつも同じミスを繰り返すチーム、⑤チームで勝てるチーム、⑥一人のスタープレイヤーで帳尻を合わせて勝つチーム、⑦大負けしないチーム、⑧好不調の波が激しいチーム、⑨勝てるチーム、⑩負けないチーム、⑪強いチーム、⑫弱いチーム、⑬勝ちパターンを持っているチーム負けパターンを押さえているチーム等、色々ある。

一般的に、強いチームが勝つのではなく、勝つチームが強いチームといわれます。スポーツの世界では、ミスの少ないチーム、大負けしないチーム、勝ちパターンを持っているチーム、負けパターンを押さえているチーム、が強いチームではないかといわれます。プロ野球の監督であった野村克也さんが言われた言葉で「勝つ試合には偶然もある。でも負ける試合には、負ける必然性を持っているから、必ず負ける」といわれています。

チームをつくっていく上で、勝つチームをつくる考え方と、負けないチームをつくる考え方、これは色々な視点があります。チームの1年間は12カ月です。チームの目標に対して、1年間12カ月、月間でいうと12回戦の戦い方があります。1番いいのは、12勝0敗に決まっています。実態としては、10勝2敗であったり、9勝3敗であったり、8勝4敗であったりします。仮に8勝4敗なら、大勝ちする月もあるけれども、大負けする月もあるということになるでしょう。

チームの戦いとして、1年間を12勝0敗でなくとも、10勝2敗でも構わない。そのかわり、2敗の負け方を非常に少ない金額で押さえていく。だから年間トータルしてみると、12勝0敗よりは数字的には上回るというケースもあります。一言でチームといっても、自分たちがどういうチームを目指していくのかによって、全然とらまえ方が違ってくることをよく考えていただければと思います。

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講演録「コロナ禍の経済、今後の見通し」(加藤 出)

~日銀の金融政策と、今後の日本経済 [ 特集カテゴリー ] ,

講演録「コロナ禍の経済、今後の見通し」(加藤 出)

■講 師 加藤 出氏(東短リサーチ(株)代表取締役社長チーフエコノミスト)

1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを兼務後、2013年2月より現職。マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB、BOE、中国人民銀行などの金融政策を分析している。2007~08年度東京理科大学経営学部非常勤講師。09年度中央大学商学部兼任講師。20年度成蹊大学経済学部非常勤講師。 著書に「日銀は死んだのか?」(2001年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(2004年)、「バーナンキのFRB」(共著、2006年)「日銀『出口』なし!」(2014年)、「図解とQ&Aですっきりわかるマイナス金利」(監修、2016年)など。主な連載コラムに週刊ダイヤモンド、日本経済新聞電子版、日経ヴェリタス、毎日新聞など。テレビ東京「モーニング・サテライト」、BS・TBS「サンデーニュース・Bizスクエア」、BSジャパン「日経プラス10」、NHK総合「視点論点」などにコメンテーターとして出演。

 

■コロナ禍の世界経済を

 外観してみると 

日本は、新型コロナの感染者数は欧米諸国に比べて結果的に少ないとはいえ、経済への打撃はかなり強いものがあります。主な国の実質GDPの水準をみると、2019年、コロナ前を100として、その後の推移はIMF(国際通貨基金)の予想推計では、日本は去年、イタリア、イギリスほどではないとはいえ、結構、大きな落込みでした。

このIMFの先行きの予想で気になるのは、4月に発表された2026年までの見通しで、台湾、エストニア、ノルウェー、韓国など、全般的にIT系の企業が活発なところが随分伸びてきますが、日本は低調だということです。世界をリードしていくようなIT企業がいまひとつ少ないということや人口が減ってきている、特に生産年齢人口は95年から減り続け、今後も顕著に減っていくので、それも折り込まれているということです。目先のウィズコロナ、アフターコロナの中で日本経済をどうやって運営していくかという問題と、中長期的に見てどうしらいいかという議論も必要ということだと思います。

アメリカの1人当たり実質可処分所得は、コロナ禍前の2020年4月の月当たりで4万6000ドル弱(500万円前後)だったものが、コロナで逆に増えてしまい、3月に限っていえば5万8000ドルを超えています。3月は、前年同月比で29%も増えています。日本人であれば、一部は使うけども貯蓄しておこうという人も多いかと思いますが、アメリカ人はこういうときバンバン使うので、様々なところで商品の供給が追いつかないという事態を生み出しており、一方でヨーロッパや日本の自動車など輸出産業の中には、その恩恵を大変、受けているところもあり、アメリカが今、世界経済をかなり引っ張っています。

ただ、こういう実質可処分所得の激増はいつまでも続くものではありません。失業給付金は9月までですし、アメリカでも財政赤字が膨らみ過ぎると、国債発行額も急激に増えていますので、まだしばらくは需要が強いものの、今ほどの爆発的な瞬発力はいつまでも続かないということだと思います。

経済の状況全体を見た場合、金融緩和で、コロナ対応で金利を世界中、押し下げていますので、その影響として、例えば、住宅価格がスウェーデン、ニュージーランド、オーストラリア等々随分と上がっています。一方で日本は、2013年ぐらいから上がってはいますが、95年を起点にするとまだ水面下にあります。日本のように地方に行けば空き家がたくさんあるという状態ですと、老後に家を売却して資金にするということが成り立たない地域が多い。となると、それは現在の消費を慎重化させる面もあるわけです。また、住宅価格が上がらないと家賃も上がりませんから、消費者物価指数、インフレ率、日銀は2%というインフレ目標を掲げていますが、家賃が上がらないというのは、けっこう大きな影響があったりします。

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講演録「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(小島 健一)

-トラブルやいざこざをどう未然に防ぎ、かつ収めるべきか [ 特集カテゴリー ] ,

講演録「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(小島 健一)

小島健一(鳥飼総合法律事務所・パートナー弁護士)

人事労務を基軸に、問題社員処遇から組織・風土改革、産業保健、障害者雇用まで、紛争予防・迅速解決の助言・支援を提供。メンタルヘルス不調やハラスメントが関わる深刻な案件も、早い段階から依頼者に寄り添い、解決まで支援。「さんぽ会」幹事、日本産業保健法学会(2020年11月発足)理事。

 

発達障害という言葉は大分知られるようになってきましたが、一番知られてないのが実は中高年の男性です。逆に小さいお子様をお持ちのお母様はかなりご存じではないかと思います。今の小中学校では、発達障害の特性が見られる子どもを早い段階から支援しようという文科省の取組みがここ10年ぐらいで進んできましたから、小さなお子さんをお持ちの親御さんは判るのです。しかし50代のわれわれが育った時代、発達障害という言葉には全く出会いませんでした。ただ自閉症は旧来から知られており、実はわれわれの世代にもそういった自閉症の方が患っているものと共通な要素があることが分かったのは、比較的最近です。アメリカなどでは、30~40年前から自閉症についての研究が行われており、我が国に入ってきたのは20、30年遅れといったところでしょうか。

私も長年、人事労務の仕事に携わってきましたが、どうしてこうなってしまうのだろう、この人はなぜこんなことをやっているんだろう、そんな疑問を抱くことがありました。しかし発達障害を知ることで、今まで埋まらなかったピースがはまったような、そんな実感も得られましたので、人を雇い仕事をお願いするという局面で、問題社員やうまくいかない社員、さらには自分自身というものをよく知るためにも、発達障害とはどんなことなのか、少しでもお伝えできればと思います。

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【特別寄稿】「ジョブ型」管理職で組織の活性化を!(蒔田 照幸)
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【特別寄稿】「ジョブ型」管理職で組織の活性化を!(蒔田 照幸)

蒔田照幸 (株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役

三重県出身。人事コンサル会社役員等を経て2015年より現職。東京商工会議所人事講座担当講師、船井総合研究所客員コンサルタント等を歴任。ミルボン、ユニクロ、九州共立大学、(医)金森和心会病院など人事コンサル歴35年、指導実績は約700社。人事評価分野では2018年に大学と提携しAI投影法を開発。

 

 日本型雇用システムが見直されようとしている中で、最も多く議論の対象となっているのがジョブ型雇用である。既に日立製作所、KDDI、富士通などで採用されている。このジョブ型雇用は、当初Dx時代のデジタル人材雇用に限られていたが、徐々に対象範囲が拡大し、一部の大手企業では管理職さらには一般社員にまで適用と報道されている。デジタル人材雇用は、今後の事業展開の戦略次第では重要な課題であるが、ここでは触れない。また一般社員への適用は全くの的外れだと指摘しておこう。一般社員には能力主義の定期昇給制度の適用が正解なのである。

 ジョブ型管理職報酬と聞いて思い出すのは、殆どの企業で失敗に終わってしまったが、20年以上も前の管理職年俸制である。両者が酷似しているのだ。失敗に終わった主な理由は、⑴管理職年俸制導入の目的が曖昧であったこと、⑵部課長の目標不在で評価不能だったこと、⑶人件費管理ではなく低水準での固定化であったこと、などである。

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講演録「“コロナ後”の日本」(馬場 伸幸)

-令和3年衆議院選挙・維新の戦い [ 特集カテゴリー ] ,

講演録「“コロナ後”の日本」(馬場 伸幸)

馬場 伸幸氏(衆議院議員、日本維新の会幹事長)

 1965年大阪府堺市生まれ。高卒後(株)オージーロイヤル入社。86年衆議院議員秘書(中山太郎議員)。93年堺市議会議員補欠選挙初当選。2006年堺市議会副議長、11年堺市議会76代議長(市議6期)、12年衆議院議員選挙初当選。16年日本維新の会幹事長就任。17年衆議院議員選挙3期目の当選。

 

■「地方から日本を変える」――

日本維新の会の矜持 

 日本維新の会は、いつも皆様のご期待に添えてこられたわけではないと思います。政党自体にも紆余曲折があり、二度にわたる離合集散がありました。今の日本維新の会になって約5年、幹事長の仕事を拝命し、この間、組織をきちっと固めてさらに大きくしていくという思いを強くしながら、活動をして参りました。

 過去2回、大阪都構想を掲げ、「地方から日本を変える」ということで、やって参りました。会社で言えば、大阪市の中に大阪本社と大阪本店があり、経営者が2人いて、それぞれの経営理念で、それぞれの商売を好きなようにやっている、というのがかつての大阪でした。指揮官を一つにして、皆様方からお預かりしている税金(財布)も一つにさせていただいて、より税金が有効に、一円でもムダのないように使っていきたいというのがわれわれの考え方でありました。

 大阪都構想は今のところ成就はしておりませんけれども、基本的な考え方はこれからも変わりません。チャンスがあれば、大阪都構想か違う形かわかりませんけれども、行政の仕組みを変えていくという考え方はいささかも揺らぎはございません。

 大阪都構想が昨年、住民投票で否決されたときには、メディアでいっせいに「日本維新の会は終わり、大阪維新の会も終わり」と盛んに書き立てられました。われわれもそういうことが言われないように、色々な勉強をして参りました。

 皆様方の目下の一番の関心事はコロナだと思われます。われわれは、昨年コロナの流行の兆しが見えたときに、政党としては初めて国会で質問をさせていただきました。昨年1月の衆議院本会議、代表質問で私が「コロナというものが中国で流行っているらしい、春節になると多くの方が中国から来日をされる、ということに対して水際対策をどうしていきますか」と質問をしました。あのときは安倍総理でしたが、まだ他人事かなという感じでした。予算委員会でも私のほうからコロナ対策の質問をしました。PCR検査の際に、プライマーという試薬がないために検査ができないという情報をキャッチしておりましたので、PCR検査の段取りを早くしたほうがいいですよ、ということを申し上げましたが、当時の加藤厚労大臣もあまり危機感の感じられないような答弁でした。

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第4回「後継者候補としての準備期間」(河本和真) 
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第4回「後継者候補としての準備期間」(河本和真)  [ 第4回 ]

2020年11月から始まったネクストプレナー大学。ネクストプレナーとは、後継者不在企業を事業承継し、発展させる次代の担い手であり、温故知新の精神と、企業経営に求められる知識・経験・熱意・人間性を有するビジネスパーソンのことを指します。

2025年には127万社が後継者不在を理由に廃業し、650万人の雇用と、22兆円のGDPが消失すると言われている「大廃業時代」を迎える日本にとって、当社が考える解決策がこの「ネクストプレナー」です。

2020年11月に0期として始まったネクストプレナー大学ですが、無事に2021年6月から1期をスタートすることができました。

「大廃業時代」に対する危機感を持ち、自身が経営者となって中小企業を、ひいては日本を発展させるぞ! という心意気の方々が40名集まりました。彼らが中小企業を承継する一人前の「ネクストプレナー」になるまで、どのようなカリキュラムで学ぶのか、今回はご紹介させていただきます。

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第3回『在日韓国人の定義』~活躍の幅、広がる?(申 燕澔)
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第3回『在日韓国人の定義』~活躍の幅、広がる?(申 燕澔) [ 第3回 ]

在日韓国・朝鮮人(英: Koreans in Japan)とは、日本に在留する韓国・朝鮮籍の外国人、または国外居住含め、韓国籍・朝鮮籍の特別永住者を指す。

  • 歴史と経緯

1910年韓国合併により、大韓帝国の人が日本国籍に変わって、多くの韓国人が就職や留学のために日本に移住した。戦後、200万人の韓国人が日本に残っていたが、GHQの方針と大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の政府樹立により国籍を韓国あるいは朝鮮籍を選択するようになった。帰国のための費用を日本政府が出してくれて、140万人が韓国に帰った。韓国国内の不安定な状況から残留した人も60万人いて、その人たちがいわゆる在日1世代を作った。

1965年の日韓国交正常化前から住んでいた在日韓国人であるオールドカマー(old comer)は特別永住者であり、国交正常化の後に移住したニューカマー(new comer)は一般永住者が多い。

特別永住者は日本植民地時代の前後に移住した韓国南部出身者が多く、これらは韓国国籍者と正式国籍ではない朝鮮籍の人に分けられる。

 

  • 在日の人口は減少しつつある現状

日本の法務省傘下の入国管理局の統計によると、2019年末の時点の登録在日韓国人の数は46万3154人で、全在日外国人のうち、在日中国人(在日台湾人を除く)に続いて2回目の16%を占めている。

ところが、上記のように日本中の在日韓国人の人口を調べると、留学生を含む在日外国人の部類に入っていることが分かる。一般に、「在日」という言葉の響きは特別永住者のみを指す。

下記のグラフの通り、特別永住者は年々減っている。原因としては、日本社会で暮らすためには国籍を取得した方が生きやすいからだ。日本国籍がないと、選挙権や公務員になることなどが制限されてしまう。しかし、帰化したとしても帰化した痕跡が残るので完璧に日本人にはなれないというのが現実だ。

日韓の国民は在日について、教育を受ける機会がなく在日への認識が非常に乏しい。

現在、世代の中心も3世4世に移り、5世を迎えている。日本語しか分からない人が増え続けている。それは朝鮮や韓国系の学校ではなく日本の教育で育った人が多く、家庭内でも韓国語を日常的に使われていない家庭も多い。もう純粋な韓国人同士の在日は少なく、日本系ハーフ、クォーター等々様々な家系の在日が存在している。在日でもほんの少しの韓国系が混ざっていれば、在日のレッテルが張られ、 在日韓国人であることを隠したがる人が多い。日本国籍を取れば「韓国系日本人」である。

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SDGsの基本とビジネスへの関わり⑥ (菊原 政信) [ 第7回 ]

SDGsグローバルWAYマネジメント -未来志向のSDGs経営に向けて-

今後のSDGs経営の第一歩とWAYマネジメントへの進化として考えられるのが、「S D Gsマインドの醸成」です。つまりCSRを基盤として、SDGs & ESG & CSVの領域をさらに拡大していき、やがてS D Gsマネジメントへ進化させて行きます。この流れの中では、S D Gs社内Projectの発足、C S Vビジネスモデルの立案、E S G評価・E S G投資の実施、統合報告書作成などと密接に結びついています。

 従来自社独自、いわば我流で作られた経営理念をSDGsグローバルW A Yへと刷新し、それに基づきビジョン、中期・長期経営計画、行動指針と落としこんでいきます。

すなわちS D GsグローバルW A Yとは、W A Yの定義である「企業の存在意義を明示するために、どのような企業活動を通じて実現するのかという方針を、内部や外部に発信していく手段の一つとして、『経営理念・ビジョン・行動指針』を明文化し、それぞれのエッセンスを相互に関連づけたもの」として事例としては、 J & J クレイド(我が信条)などです。S D Gsを連携させ、それはS D Gs経営理念(ミッション、バリューなどが含まれることがある)とS D Gsビジョンを社長や役員などの企業リーダーがつくり、組織文化として全社員に向けたS D Gs行動指針を全社員に向けたS D Gs行動指針をOff-JT(浸透研修)やOJT(職場内訓練)などによって、企業グループ全体の組織文化として醸成されたうえで、全社員が通常の業務を通じて行う際の言動の規範(ルール)としていきます。

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「世の中は捨てたもの」と思っている方へ (引地 達也)
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「世の中は捨てたもの」と思っている方へ (引地 達也)

みんなの大学校の前期学期が4月にスタートしたものの、社会全体がどことなく落ち着かない雰囲気がある。その社会不安はワクチン供給の不透明さや国の政策に関するメッセージの希薄さなどで、寄る辺のない心の状態に置かれてしまっているのと相まって、学びを進めようという学生や関係者が「安心」を保証されなければ、その推進力は鈍化してしまうから、やはり障害者の学びは社会とともにあるのだと実感している。

その中にあって確実に推進力となりそうな紹介動画が文部科学省の公式チャンネルから発表された。

「共にまなび ひろがる世界 ~障害者×生涯学習~」(https://bit.ly/3zmbLqz)

とタイトルされた動画にはみんなの大学校も紹介され、現在の学びが確実に社会に必要なものとされているだけではなく、学びを保障しようとする国の政策を担う文部科学省がその重要さをアピールすることが画期的だ。

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