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地域イベントに見る成功要因とは何か~佐賀県 肥前さが幕末維新博覧会を訪れて~

平成30年は、明治維新150年という節目の年、現代を創り現代に生きる私たちは、全てを歴史から学んでいると言っても過言ではありません。幕末維新期に時代の大きなうねりの中で、日本の発展のために既に世界に目を向けていた佐賀。改めて勉強すると、日本で初めての反射炉や実用蒸気船を製造した佐賀は、まさに日本の近代化の先駆けとなりました。

現在、明治維新から150年が経った今だからこそ、その先人に学び未来を創り出していく機会として、佐賀では昨年3月から10カ月におよび「肥前さが幕末維新博覧会」を開催してきました。実際に訪れ、これぞ「佐賀プライド」を感じ、まだまだ地方が世界を牽引していくことが出来るという、勇気と感動をいただいたことを報告したいと思います。

 

 

幕末維新期、日本の近未来の鍵となった佐賀

 

昨年末に東京で佐賀県の山口祥義県知事にお会いする機会がありました。佐賀で開催されている「肥前さが幕末維新博覧会」のお話を伺い、県内はもとより、県外・海外からも実に多くの人がこの会期中に佐賀を訪れていることを知り、早速佐賀行きを決めたのでした。地方創生に係わりそのプロモーションを研究している私にとっては、実に興味深い機会でしたが、実際に参加して大変な感銘を受けました。

 さて、佐賀県と聞いて皆さんはどのようなイメージ・想像をされるでしょうか? 私自身は佐賀にゆかりがあり、「唐津くんち」や名産の「有田焼」「佐賀牛」、いちご、自治体では武雄市の画期的な取り組みには大変注目をしていますが、九州7県では最も知名度が低く、また47都道府県魅力度ランキングでは44位(2018年)です。しかしながら、歴史を遡れば幕末維新期に国内最先端の科学技術を有し、鎖国から開国へと向かう流れの中で明治維新の「鍵」を握っていたのは間違いなく「佐賀」なのです。

 幕末明治、佐賀鍋島藩十代藩主の鍋島直正は政治家としても教育者としても素晴らしく、その戦略はぶれることがなく、また、日本の未来を見据え、西洋の新技術の導入を技術者達と追及していく生き様は浸透します。築地(ついじ)反射炉、世界遺産に登録された三重津海軍(国産初の実用蒸気船建造)などはその功績の一部です。

そして、大隈重信(ニ度の総理大臣を務め早稲田大学の創立者)、江藤新平(初代司法卿で国の法律の仕組み作りをした)、佐野常民(日本初の海軍を作り日本赤十字社の創業者)、副島種臣(民間初の外務卿)、大木喬任(初代文部卿)、島義勇(北海道開拓の父)らは、直正が拡充した藩校「弘道館」で学んだ同志たちでした。時の藩主、鍋島直正へのロイヤリティは非常に高いもので、直正の不屈のリーダーシップを伺えます。

 

 

何を目的として地域をプロモーションするべきか

 

地方創生に必要不可欠なことは、そこに生まれ住む・働く人たちが自分たちの地域に「誇り」を持つことであると思います。しかし、その想いを醸成していくのは中々難しいことでもあります。特に地元にいると何故か地元の良さがわからない、幼少期は学校でも地域の歴史は印象に残る学習ができていないように感じ、「ここに生まれて良かった」「わが地域はこんなに凄いんだ」という気持ちを持ち続けることは、情報入手の手段が多様化し、多くの情報が入る世の中になったからこそ困難かもしれません。だからこそ、地元で、地元から、リアルに発信し学べる機会を作ることが本当に重要だと感じています。

佐賀で行われた維新博は、3つのメインテーマ館を中心に、博覧会関連で連携するオランダハウスや県内サテライト館、美術館や博物館、各種イベントなどが大変有機的に連携して、一つの「佐賀展示会」を実現させました。メインテーマ館は、休日にはまるでディズニーランド並みの2時間待ちの行列。県の歴史文化イベントは各地で多く行われていますが、近年では最高のイベントとして賞賛されると思います。

  

  

               

 

(備前さが幕末維新博覧会HPより転載)

 

「伝えたいことが明確」「多くの人に勇気を与える」そのような取り組みが成功の要因だったと思います。幕末維新記念館は素晴らしいコンテンツを提供し、終わらせるのは本当に残念なので2025年大阪万博で「佐賀パビリオン」で出展して欲しいくらいです。

 

 

「佐賀プライド」が若者に勇気を与える

 

このイベントは7カ月で150万人を突破、おそらく期間中は200万人に達していることと思われます。もちろん、県外や海外からの来場者も多かったのでしょうが、佐賀県の皆様がご家族で、仲間で、カップルで何度も訪れたのではないでしょうか。そこで改めて佐賀を知り、佐賀プライドに勇気と感動を貰い、自分たちの故郷に胸を躍らせ「志」をもったに違いありません。地域の良さは自分たちが知り、これからの地域の未来を創っていく若者達につないでいく、そんなムーブメントとなることを切に願っております。