【講演録】「ロシア・ウクライナ侵攻から見る“日本の外交と防衛”」(松川るい)
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【講演録】「ロシア・ウクライナ侵攻から見る“日本の外交と防衛”」(松川るい)

清話会セミナー 2022年4月2日(土)大阪

「ロシア・ウクライナ侵攻から見る“日本の外交と防衛”」

 —-危機せまるアジア外交を考える

松川るい 参議院議員

1971年生まれ。東京大学法学部卒、外務省入省。米国ジョージタウン大学国際関係論大学院修士号取得。在韓大参事官、日中韓協力事務局次長(ソウル)で活躍後、2014年総合外交政策局女性参画室長(初代)として国際女性会議(WAW)を立ち上げた。16年2月退官、7月参議院選挙において当選。

 

■今のウクライナを見て思う

 「祖国を守りたい気持ち」

 

今は時代を画する歴史の転換期、危機の時代、このままじゃいけない時代が来た、それを日常レベルで感じる時代のただ中にいるのではないかと思います。

私は前回2016年7月の参議院選挙で初めて政治の世界に挑戦をさせていただきました。その前は23年間、外交官僚として国益のために働いてきました。1989年11月、ベルリンの壁が崩壊しました。その時と同じような変化の時代に来ているという気がしています。

 私はまだ政治家として一期目ですが、多くの討論番組に呼んでいただいています。先日『日曜プライム』という地上波の討論番組に初めて出演させていただきました。

 ウクライナの惨状を皆さん毎日見ていると思います。マリウポリがほとんど全壊するような攻撃です。子供がいる、とわざわざ書いているのに、戦意を喪失させるためでしょうけども、わざわざ殊更にそこを攻撃する。ほぼ戦争犯罪です。

 番組で橋下徹さんが、とっとと白旗を上げて政治的妥協をすればいいではないか、と言いました。ロシアが要求しているいくつかのことがあります。中立化、非武装化、ゼレンスキーさんがいなくなって親露派の政権に変える、そして東部ドネツク、ルガンスク州を独立させる。これを全部飲めば、確かに戦争は終わります。でも私はすごく違和感を感じました。橋下さんや玉川徹さんが言っているように、どこかの時点でリーダーは、この戦争をどう手仕舞いするかを、自国の国土や国民への被害を考えて妥協するべき時はあると思います。それはプーチンさんも同じです。決してロシアはうまくいってないです。けれども、被害が出たら即白旗を揚げればいい、というのは違うと思います。

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【講演録】「モノの価格はこのまま上り続けるのか」(藻谷俊介)
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【講演録】「モノの価格はこのまま上り続けるのか」(藻谷俊介)

清話会リモートセミナー 2022.3.29(火)

 

「モノの価格はこのまま上り続けるのか」

—-ウクライナ侵攻を受けての展開

藻谷 俊介 (株)スフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役  

1985年東京大学教養学部卒業。90年米国ハーバード大学ビジネス・スクール卒業(経営学修士課程)。85年住友銀行入行、92-96年ドイツ銀証券会社でシニア・エコノミストとして日本のマクロ経済分析・市場動向分析を専任担当。96年スフィンクス・インベストメント・リサーチ設立。

 

■物価は上がり続けるもの、

 日本の物価は世界でも例外的

「モノの価格はこのまま上り続けるのか」という問いに端的に回答するならば、「物価は上がり続けるものである」ということになります。消費者物価指数(CPI)という指数が日本を初めとして、アメリカ、ロシア、中国などの世界各国で算出されています。各国のCPIを比べてみると、それぞれに違いがあり各国に個性があるとわかります。そして各国のCPIをGDPウエイトで一本の線にまとめていくことにより、特定地域に偏らない世界全体のインフレ率が見えてきます。

その主要17カ国のCPIを合算すると世界の約7割を占めると言われています。それらを足し合わせたものを見ると物価指数はずっと右肩上がりであり、例外的にリーマンショックやコロナの第一波のときに少し下がっているだけです。

このようにグローバル的に大きな影響があるような現象が起こったときは短期的なデフレが起こりますが基本的に物価は上昇し続けるものです。2010年と2020年の世界のCPI を比べた時、約10年間で物価が約1・4倍上昇していることが確認できます。それぐらいが世界の標準的なインフレということになります。さらに最近のインフレ率を見てみると約5・1%となっていて、ますますインフレが加速してくことがうかがえます。その場合およそ10年で1・6倍ほどの伸び率になってくると予想されます。

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【講演録】「北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実」(濱田浩一郎)
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【講演録】「北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実」(濱田浩一郎)

「北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実」

 —「武士の世」の始まりを決定づけた人物の実像とは

 

濱田 浩一郎 はまだこういちろう(歴史家、作家、評論家)

 1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。姫路日ノ本短期大学、姫路獨協大学で非常勤講師を務めた後、現在は主に著述やメディア出演で活動。著書『播磨赤松一族』『小説アドルフ・ヒトラー』全3巻など多数。

 

 

■北条義時は「待つ人」

「何もしない人」だったのか

 

今年の大河ドラマは『鎌倉殿の13人』です。ドラマの主人公、北条義時とは一体どういう人物だったのか。

承久の乱(1221年)を描いた「承久記絵巻」という絵巻物があります。江戸時代に作られたものですが、そこに義時の顔が描かれています。口ひげを生やして、顔は少しふっくらしているように見えます。目は細めでしょうか。

 現代の歴史家は、義時の性格を一般的に「待つ人」「何もしない人」と評価しています。私はその評価には反対ですが、なぜ義時がそのような評価を受けているのか。

義時の性格を見る上でよく使われるのが、鎌倉時代後期に編纂された歴史書『吾妻鏡』です。これは北条氏の政権下において編纂された書物ですので、北条氏を美化礼賛するような文章も見えて取扱い注意な面もありますが、歴史家からは重宝されています。

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リクルート事件(下)(三沢明彦)

忌まわしい事件の記憶を背負いながらも、「リクルート出身」と胸を張る経営者、起業家が多いことに驚かされる。創業者の江副浩正とは何者なのか。時代を駆け抜けた起業の天才、古い秩序に挑む創造的破壊者、政治家、役人などに値上がり確実な未公開株を譲渡した犯罪者…。その評価は分かれるにしても、彼が撒いた種が荒れ地から芽を出しつつあることは確かだ。

「社員皆経営主義という企業哲学を持っていました。それは『あなたはどう考えるか』という問いから始まり…」。武蔵大学名誉教授、三菱地所社外取締役、江上節子の巻頭談話(「日経ビジネス」2月21日号)に目が留まった。女性向け転職情報誌「とらばーゆ」編集長だった彼女の記憶に残る江副は、東京地検特捜部が供述調書に描いた人物像とは異なり、社員の独創性を引き出す経営者である。

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「感謝の心」を話に生かす [ 特集カテゴリー ] ,

第3回 話の味は謝念豊かな人の味 澤田良雄

話の味は人の味です。これには2つの軸があります。 

  • ひとつは話す人の考え方です。

 それは、生まれてから現在までの体験と学びで得られた知識、知恵、習慣、情報、技術等々に加えて、生まれた時の宿命的条件が加味されます。これには、受け継がれてきた家柄、男か女か、兄弟姉妹の続柄また、血液型や誕生日、誕生星や干支などさまざまな要素があります。従ってこれらのすべてが集積され、ものの見方・思考を形成していきます。ですから、ひとりとして同じ考えの人はおりません。例え、同じシチュエーションであっても、そこでのとらえ方、判断、行動は十人十色で、異なるものなのです。

 さらに、各自の考え方は変化します。生育過程での学び、体験等の諸条件は常に変わるからです。ですから導き出される考え方は、変わります。極端な現象は朝令暮改のこともあります。一人十色と表されることは周知の通りです。従って、感謝の心の享受の有り様も一応ではありません。しかしながら、程度の差はあれ感謝の心が生きた見識となっています。

  • もうひとつは人間性です。

その人の性格、人徳、人間味というものは、話しぶりに表れます。好感度の高い話し手の人間性には、三つのキーワードがあります。それは、誠実、熱意、信念です。

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【第26回】SDGsの基本とビジネスへの関わり(菊原 政信)

ニューノーマル時代の礎を築く [ 特集カテゴリー ] ,

【第26回】SDGsの基本とビジネスへの関わり(菊原 政信)

SDGsにおけるマインドフルネスの取り組み

新年度に入り様々な活動が始まりましたが、以前新型コロナの影響は色濃く、更にロシアによるウクライナへの侵攻、物価高などこの状況がいつまで続くのか、社会や日常生活においてもストレスを感じている人が多くなってきました。最近では、先行きの不安やストレスから「コロナうつ」などと呼ばれる症状をうったえる人もいます。

今回はこのように日常に受けている、さまざまなストレスとどのように付き合っていくかを、企業として社員の健康を守り安全安心な環境を提案するため、SDGsと照らし合わせて近年話題になっているマインドフルネスの観点からお話をします。

SDGsにおける社員の精神衛生管理

マインドフルネスとは、ウィキペディアによると「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」とされています。アメリカ発と捉えられがちなマインドフルネスですが、東洋では「瞑想」として古くからなじみ深いことです。瞑想というと禅修行など、特別な環境で長い間苦行をするイメージとして捉えられがちですが、マインドフルネスは宗教観にとらわれない日常で行えるストレス軽減法です。

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第14回:「不測の事態に向けた準備を」(河本和真)

企業の持続性を高める新提案 [ 特集カテゴリー ] ,

第14回:「不測の事態に向けた準備を」(河本和真)

## 2021年の後継者不在率に明るい兆し

団塊の世代が後期高齢者である75歳以上となり日本に超高齢化社会が訪れるタイミングを指し、雇用や医療、福祉などさまざまな分野に影響を及ぼすとされている「2025年問題」。雇用、医療、福祉だけでなく、社長の高齢化も進行し続けていることもあり事業承継の側面でも例外ではありません。

冒頭にもお伝えしている通り「大廃業時代」によって、雇用やGDPに大きな経済損失が発生すると試算されていますが、一方で2022年1月の調査では明るい兆しも見えてきています。

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第4回「働き方革命」実行しよう ~従業員満足度は生産性の向上へ(申 燕澔(よんほ))
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第4回「働き方革命」実行しよう ~従業員満足度は生産性の向上へ(申 燕澔(よんほ))

安倍内閣は「一億総活躍」を政策目標として掲げており、平成29年3月28日に決定された。


ここ数年、「エンゲージメント(engagement)」が経済界の合言葉となっている。エンゲージメントとは、従業員の会社に対する愛着心や思い入れといった「働きがい」を意味し、生産性向上や離職防止などにつながるとして重視する企業が増えている。日本では人口減少に歯止めがかからず、慢性的な人手不足感から抜け出せない。加えて、日本の労働生産性は他の先進国と比べて低く、効率的に人材活用ができていないと言われている。

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シリーズ「なぜ、会社がうまく回らないのか?」 [ 特集カテゴリー ] ,

第13回「公開経営で我が社意識を植えつける」小池浩二

■我が社・我がこと意識を持たせる

大企業に比べて社員個人の能力が劣る中小企業では、社長と社員の心を合わせ、一体感をつくらねば戦えない。ないない尽くしの経営環境で渦巻く、不満・悩み。迷いを払拭し、経営への参画意識を高め、「我が社」意識を高めないと、現場力は高まらない。

■社員の迷いを払拭させる道標づくり

本来、組織とは「価値観が似ている人」が集うものである。政治・宗教・趣味の世界、どれを見てもそうである。だから、自ずとまとまりやすい。しかし、会社組織はその原則から外れているので、運営しにくい。なかでも中小企業は、その傾向が顕著である。

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中堅・中小企業のプレイングマネージャーの仕事術メソッド [ 特集カテゴリー ] ,

第37回「メンバー全員でチームを動かしチーム力を底上げさせる方法」小池浩二

■チームは全員で動かす

中小企業のリーダーはマネジメントの初心者からチャレンジしていきます。経営者に「○○君、君も主任だ。明日からリーダーシップ・マネジメントを発揮しなさい」と一方的宣言をされます。しかし、マネジメント方法を知らないから、プレイヤーの延長線上の考え方で、もがきながら実践しています。しかも、チームを動かすことに関してチームメンバーはリーダーに依存して、無関心状態。

プレイングマネジメント体制のお手本は小学校のクラス運営です。学級委員長がいて、副委員長が中心となり、黒板消し係、給食当番、保健委員、飼育係、放送委員等がいてクラス全員が役割を担って、全員でクラスを動かしていく姿がプレイングマネジメントスタイルの理想の姿です。

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第九回 ~灰持酒と赤酒~(田崎 聡)2022.5月
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第九回 ~灰持酒と赤酒~(田崎 聡)2022.5月

 フランスの微生物学者パスツール(1822年~1895年)がワインの大量腐敗問題に取り組み、摂氏55度数分間の加熱で殺菌する低温殺菌法を用いて腐造を抑えることに成功し、その殺菌法はパストゥリゼーションと命名され、今日でも広く用いられていることは知られているが、日本では、すでにその3百年以上も前の室町時代から「火入れ」という低温殺菌法が開発されていたことは、世界では驚嘆に値する事実であった。

 日本最古の「火入れ」文献とされているのは『多聞院日記』(1478年~1618年)であるが、『御酒之日記』(1489年説が有力)の中で、「ねりぬき、又きかきの煎じ様」として酒を1年後まで保存するために、旧暦4月末から1カ月毎に何度も火入れを繰り返す様子が描かれているのである。こうした、酒の腐敗を防止するための「火入れ」は、現在も最新醸造技術として伝承されているが、鴻池の山中新六は、生まれ育った出雲の木炭を入れて酒を造る伝統技法を導入、活性炭素濾過と灰汁のアルカリ性で酸味の味を中和矯正することに成功、「灰持酒」として一世を風靡した。「灰持酒」の原型は、奈良時代以前から醸造されていた御神酒などに使われる黒酒(くろき)から来ている。この「灰持酒」を造るために、豊臣秀吉は、池田周辺の山々にクヌギの植林を推進し、年貢を免除したほどである。

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ジャーナリスティックなやさしい未来 [ 特集カテゴリー ] ,

「大学での知的障がい者の学びはつながってこそ価値が出る」引地達也(2022.5月)

知的障がいのある人が特別支援学校を卒業した後にも学べる環境を整備するために、少しずつではあるが全国の大学での取組みが広がっている。文部科学省の障害者学習支援推進室が外部機関に委託した調査によると、生涯学習講座を設置している大学の125件からの回答のうち75%が現在、「知的障がい者を対象としたオープンカレッジ・公開講座等」を実施し、25%が講座を「過去実施していた」という。

このうち受講生の評価を行っていないのが82・5%、それぞれの大学が「連携している大学はない」のが77・5%であるから、各大学が「独自に」「評価を行わない」形での障がい者の学びを行っている輪郭が示された。4分の1が実施しながらも「やめた」ことも気になり、共生社会に向けてインクルーシブな教育を社会が実現しようとする中で、大学による知的障がい者の学びが継続する未来は少し心細い。

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がん治療とお金の話①  鈴木健人(2022.5月)

100歳現役を目指す! [ 特集カテゴリー ] ,

がん治療とお金の話① 鈴木健人(2022.5月)

今回はお金(治療費)についてお伝えします。温熱療法協会では、医療保険やがん保険の専門家とも提携しており、治療その他にかかるお金については日々情報をアップデートしています。

  • 健康保険証が使える病院と使えない病院

私たちは不調になったりケガをしたりすると、病院に健康保険証を持って受診しますが、これは医療費が1割から3割で済むからですね。子供や70歳以上の高齢者、小学生から69歳と年齢によって割引率が変わります。

その月に100万円の治療費がかかったとしても、3割負担の対象の方は30万円を病院の窓口で支払います。また、月額の総医療費が一定額を超えると、その30万円の負担をさらに少なくすることができ10万円ほどで済むという高額療養費制度もあります。

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