2020年の景気を展望すると、次の2つのシナリオを描くことができる。どちらになりそうかを考えてみてほしい。
ひとつは弱気シナリオ。2019年10月の増税による消費低迷が2020年前半も尾を引く。2020年になると、3月にプレミアム商品券、6月にキャッシュレス還元という消費支援策が期限切れする。それが消費を下押しして、東京五輪後の消費減と相まって、2020年秋から景気後退になる。
経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ] 経済動向最前線
2020年の景気を展望すると、次の2つのシナリオを描くことができる。どちらになりそうかを考えてみてほしい。
ひとつは弱気シナリオ。2019年10月の増税による消費低迷が2020年前半も尾を引く。2020年になると、3月にプレミアム商品券、6月にキャッシュレス還元という消費支援策が期限切れする。それが消費を下押しして、東京五輪後の消費減と相まって、2020年秋から景気後退になる。
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10月1日に消費税率が上がった。筆者は、税率が上がり、各種の軽減措置が始まってみて初めて、キャッシュレス決済の恩恵が人によって、また事業者によって大きく違っていることに気付いた。
筆者は、増税とともにスタートしたキャッシュレス決済の恩恵が1世帯当たり2,000円(正確には2,035円/9か月間)と試算した。この数字をみせて、「小さすぎる」という指摘を受けた。根拠は、その人がクレジットカードなどでもっと多額の支出をしているということだった。自分はもっと大きな恩恵があると言いたかったようだ。ここでそうかと気付いた。
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日韓関係は悪化している。不幸な対立が、早期に解決することを痛切に願わずにはいられない。
この対立が始まったのは、明確にはどこからかは定かではないが、徴用工訴訟問題がひとつのきっかけになったとは言えるだろう。2018年10月に韓国の最高裁にあたる大法院が日本企業に対して、損害賠償を命じた。日本では、徴用工への補償は1965年の日韓請求権協定で解決済みとなっていると考えていた。それを覆すことは国際法違反であると日本政府は批難する。
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行きつくところまで行った制裁関税
8月1日にトランプ大統領は、中国に対して、制裁関税の第4弾を9月初から実行すると発表した。青天の霹靂とはこのことだ。大阪でのG20で、習近平主席とトップ会談をしたのは6月末。そこで一旦は、この第4弾を棚上げにしたはずだ。それから一ヶ月くらいしか我慢できずに、また怒って制裁に走った。上海での閣僚級協議が上手く運ばないことに腹を立てたようだ。中国の事情など全く考えてないように見える。
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消費増税のインパクトは、駆け込み買いの反動減のほかに、実質負担増の効果もある。税率が2%上がって購買力が低下する効果である。例えば、月収が30万円あっても、物価が2%上がれば、購買力は5,882円下がる(=((1÷1.02)-1)×30万円)。値段が上がった分、今まで購入していたものを、5,882円分どこかで節約する圧力が生じるということだ。2014年のときは、特に衣料品にこの節約圧力が働いた。実質負担増の効果は、実質消費減をもたらし、経済成長率を低下させる。
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いよいよ心配していたことが起きそうだ。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)が、近々、政策金利を引き下げてくる構えに入ったからだ。米国経済は、失業率が3.6%と完全雇用にあるが、雇用の増加ペースは5月は前月比+7.5万人と、その前月(4月+22.4万人)に比べて落ちた。金融市場では、これが米国経済がその成長ペースをスローダウンさせるシグナルとみている。
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預金金利がほとんどゼロ%である。この状態はいつまで続くのであろうか。
多くの人は、日本銀行が物価上昇率2%の達成ができない限り、このゼロ%がずっと続くと思っている。筆者のようなエコノミストは、物価上昇2%はずっと達成不可能なので、そのルールを止めない限りは預金金利ゼロのままだろうとより悲観的である。
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5月1日から始まる新元号が「令和」に決まった。どんな時代になるのだろうか。この令和時代もやはり30年間くらいは続くとみて不自然さはないと思う。西暦で言えば、今から30年後の2049年までの未来である。
私たちは、和暦で令和を使うと何か雅(みやび)なイメージがあるが、西暦で考えると途端に厳しい現実に引き戻される。筆者自身の話に引き戻すと、令和元年から30年までは年齢が51歳から81歳となる計算だ。男性の平均寿命を使えると、自分の老後の大部分は令和時代の後半となる。
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中国向けの輸出を中心に景気減速感が強まっている。1月の景気動向指数は、その一致指数のところで3か月連続での前月比減少となる。この景気動向指数は基調判断が「足踏みを示している」から「下方への局面変化」に下方修正され、いよいよ景気後退リスクが強く意識される。先に政府は月例経済報告で景気拡大が戦後最長にこの1月になったと示したばかりだった。2つの判定が少し矛盾する内容になったが、より公式なものは月例経済報告となる。
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2020年夏の東京五輪まであと1年半。五輪開催が決まってから、将来は2020年に五輪を控えているから未来は明るいという展望が見込めてきた。だから、五輪が終わってしまうと、イベントによって未来の明るい展望をつなぐことができなくなってしまう。次なる目玉は何になるのだろうか。
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この1年間、筆者が最も集中して考えたテーマが生産性である。その内容は、1月中旬に刊行される拙著「なぜ日本の会社は生産性が低いのか?」(文春新書)に詳しく書いた。このテーマは、2019年もまた日本経済の最重要テーマとみられるので、本稿でも考えたい。
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平成がいよいよ終了する。平成最後の年、つまり新元号元年は景気が比較的良い年になりそうだ。理由は、国内イベントが目白押しであることだ。新元号が4月に決まると、新時代を祝うムードとともに平成を惜しむムードが様々な消費のキャンペーンを誘発するだろう。ラグビーワールドカップも国内の複数会場で開催される。
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米中貿易戦争によって景気の潮目が変わるのではないかと警戒してきた。9月24日に、米国が2,000億ドルの中国からの輸入額に10%の制裁関税を課した。この影響は、それに備えた輸出入の駆け込み需要を生み、恐らく10月からはその反動減と制裁関税の悪影響がダブルで襲ってくるのではないかと筆者は予想していた。
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そろそろ平成最後の年となる来年が気になる時期になってきた。年末が近づくと、「来年は良い年になる」が挨拶の言葉になるから、今のうちに懸念材料について少し詳しく話しておきたい。
まず、2019年を概観すると、経済はやはり良い年になるだろう。
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平成が来年4月で終わる。そして、5月から新元号がスタートする。新元号が始まることで何か経済にプラスの効果は発生するのだろうか。
正直に言うと、新元号の経済効果として簡単に思い浮かぶものは多くない。カレンダーや印刷物の需要増という人がいるが、それらはミスリードだと思う。カレンダーが売れる季節は、11月・12月である。この時期には、平成の次の元号は公開されていない。印刷物も、政府の印刷表示を新元号に変える必要から需要増が見込まれるといわれる。
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日銀が7月末の会合で緩和見直しを決定して、数日間が経過した。会合後の反応をみていると、イールドカーブなどにはそれほど大きな変化は起きていない。長期金利も、変動幅の上限を0.1%から0.2%へと引き上げたが、すぐに0.2%に跳ね上がることにはならなかった。理由は、この見通しが緩和強化なのか、出口戦略なのか、今ひとつわかりにくいところにある。今もって、政策評価には定説はない。
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もはや古くて新しい問題が企業の金あまりである。企業の保有する現預金残高は、2017年3月末に211兆円にも達する。5年前に比べて30%増、10年前に比べて43%増である。この巨大な資金が、賃金や設備投資に回れば、景気がもっと良くなると、多くの人が残念に思っている。
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アメリカ経済が好調だと聞くと、皆さんはどう思うだろうか。通常は、景気の先行きに安心感を得るといったところだろう。しかし、トランプ大統領の耳には少し違って聞こえるに違いない。もっと摩擦を起こしても、経済に深刻な打撃を与えないから大丈夫そうだと考える。鉄鋼、アルミニウムの輸入制限、エルサレムへの米大使館の移転、イラン核合意からの離脱。今年3月から5月までの僅か3カ月間にこれだけの大胆な方針転換を行ってきた。それに6月の北朝鮮との首脳会談が加わる。
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国際情勢は2つの問題を巡って不透明感に包まれている。ともに主役はトランプ大統領である。
奇しくも2018年3月8日に、トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩委員長と会談することと、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を同じ日に発表した。ひとつは良いニュース、もうひとつは悪いニュースと捉えられている。