小島正憲の「読後雑感」
『“これからの5年”をどう生きるか』
櫻井秀勲著 きずな出版 2026年3月25日
副題 : 「人生を鈍らせない考え方」
帯の言葉 : 「100歳になったときの自分へ―いま、何ができるか」

本書の中の櫻井氏の指摘は、今後の私の人生に決定打になった。もちろん櫻井氏は95歳、私は80歳で年の差はあるが、「5年」という区切り方の指南は、人生最大の転機を迎えていた私に、絶好の書であった。
櫻井氏は、「5年あれば、人は変われます。いや、変わりたくなるでしょう。体の使い方も、人との関係も、仕事への姿勢も、考え方も。しかも、無理なく、現実的に。逆にいえば、5年という時期をぼんやり過ごすと、人は驚くほど、何もかわらないまま年を重ねてしまいます。特に高齢で、ぼんやり過ごしていったら、完全にボケてしまうでしょう」、「年齢を重ねた人ほど、“これから”を語らなくなった瞬間に、人生は止まる」、「“年齢を重ねても伸び続ける人”に共通しているのは、若さでも体力でもありません。常に、“これから、どう在りたいか”を持っている。それだけです」、
「人生は、年齢で閉じていくのではありません。未来を持たなくなったところで、閉じていく」、「見るべきなのは、“あと何年生きるか”ではなく、“これからの時間を、どう使うか”だからです。ここで“5年”という区切りが利いてきます。“これからの5年で、どう在りたいか”。この問いは、年齢を言い訳にできません」と、5年の区切りについて書いている。
さらに櫻井氏は、「人は、捨てる決断を先延ばしにするために、過去を眺め続けてしまうのです。人生は、過去の積み重ねで決まるものではありません。未来への向き合い方で決まります。“これからの5年”。この距離感が、人をもっとも現実的に動かします」、「(夢が)曇りを生む最大の原因は、欲張りです。あれも捨てたくない。これも残したい。失敗もしたくない。そうやって残したものが、夢全体をぼやかしていく。夢とは、選んだものの集合ではありません。捨てたものの跡に残る形です」と書き、「人生には何度でも“選び直せる自由”がある。これが最大の自由です」、「人生で本当に怖いのは、間違えることではありません。決めなかったことです」と、畳みかけている。
櫻井氏は、「私は、人生が伸びる人ほど、ノートやメモを大切にしていると感じています」、「書くことで、未来は“修正可能”になります。頭の中の未来は壊れやすい。でも、書いた未来は、書き直せる」、「人はよく、“一度決めたら変えてはいけない”と思い込んでいます。しかし実際には、書いている人ほど、柔軟に変えています。なぜなら、変えるための元の形があるからです。書いていなければ、何をどう変えたのかさえわからない。人生を上手に生きている人は、未来を一度で当てにいきません。仮で書き、動き、修正する。この繰り返しを、淡々と続けているだけです。未来は、思った人のものにはならない。書いた人のものになる」と、書いている。私も今、環境の変化と、それに対する心境、さらに今後の5年間について、書きしたためている最中であり、櫻井氏のこの提言を体現しているところでもある。
なお、櫻井氏は運について、「運は、“派手な行動”には反応しません。“一貫した姿勢”に反応します。だから、一発逆転を狙う人ほど、運から遠ざかります」、「運は待つものではありません。今日の選択の中で、静かに育てるものです」と、書いている。
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評者: 小島正憲氏 (㈱小島衣料オーナー )
1947年生まれ。 同志社大学卒業後、小島衣料入社。 80年小島衣料代表取締役就任。2003年中小企業家同友会上海倶楽部副代表に就任。現代兵法経営研究会主宰。06年 中国吉林省琿春市・敦化 市「経済顧問」に就任。香港美朋有限公司董事長、中小企業家同友会上海倶楽部代表、中国黒龍江省牡丹江市「経済顧問」等を経ながら現職。中国政府 外国人専門家賞「友誼賞」、中部ニュービジネス協議会「アントレプレナー賞」受賞等国内外の表彰多数。