[ 特集カテゴリー ] ,

生涯現役でお役だてを楽しむ決め手づくり(澤田良雄)

髭講師の研修日誌(第125回)

生涯現役でお役だてを楽しむ決め手づくり

澤田良雄((株)HOPE代表取締役)

◆あの人いいねと称される人の11の活躍ぶり

筆者の研修のテーマに、「人生100年時代、いかに生涯現役で活躍する自身を育て上げるか」があります。「現役」とは、「人のお役に立てる決め手を持ち、人から頼られる存在感のある人物として、生涯にわたって活躍できる人、そしてそれを楽しめる人」と意味づけています。研修現場では、このキーワードを生かして、受講者各位のその実現に向けてのお役だてが現実です。だからこそ、受講者が自ら現状の活躍ぶりを診断し、更にどう自身の可能力を深耕しつつ、広げ、高めて行くかの支援・指導の実践はたのしい。

もうすぐ新年度を迎えます。新人、新たな任務、役職、あるいは新規事業、創業での新たな活躍を楽しむスタートアップの時です。今回は、この着目からその活躍の楽しみ方を、生涯現役に向けての切り口で記し、お役だてとします。

まず、筆者が関わる各種研修(民間企業、官公庁。経済団体主催セミナー…)、倫理法人会の経営者の学び合い、経済団体での役割仲間との現場では、「あの人、やるね」「たいした人ですね」「やはりできる人ですね」と評される人がいます。その具体的条件は、立ち位置、業種、職種、キャリア歴などによって様々ですが、活躍に向けての考え方や取り組み姿勢には、ひとかたならぬさすがの言動があります。

それは、先日のWBC戦の選手や冬季五輪選手に通じる「憧れの人と称される」存在感を少なからず持ち合わせしている人です。ここでは、その条件を確認してみましょう。

①「仕事ができる人の原点は、「その仕事が好きだから、努力は惜しまない」との職業観を本心から持ち、成すことへの取り組み姿勢を持っている

②志事での活躍を楽しむ。それは、単なるそつなくこなす仕事ぶりでなく、想いを描き(志)その実現に向けての活躍ぶりを楽しんでいる

③工夫を凝らしたさすがの仕事ぶりの遂行には、日頃から学ぶ、情報を得るなどを実践し、スキルアップ策のヒントをキャッチしている

④前職のさすがの抜きん出るキャリアを生かしている

⑤「これをこう実現する」この自身の構想を実現する協力体制をつくり、多才の結集をする。そこには、論理的思考に基づく、何のために、何をいつまでに、何を誰にどのように頼むかのキーワードを活用している

⑥仕事ができる人ほどマルチタスクになりがち。ならば、業務ごとの優先順位を明確にし、どの順番が最適かを検討、全体が滞りなく推進している

⑦そこで自身がすべきこと、他の人の協力を得ることを明らかにし、自他の力を最適に生かし総合力を形成している

⑧こだわりと柔軟の融合により、タイミング良い判断・決断ができる

⑨現地、現場に足を運んで現実、現物の確認し、顧客のお役だてに最高に生かす条件作りを惜しまない

⑩変化の大きいとき、本当に顧客は満足しているか、新たな欲求は発生していないかを常に情報を得て、可能な限り自ら確かめ、正しい判断に基づく次の手の編み出しを楽しんでいる

⑪当社・自分自身の強みの決め手は、「どこにもない、独自、初、新規、一番」のキーワードを常に気概の糧としている

以上11項目を際立ててみましたが如何でしょうか。ならば、

◆活躍を際立てる4つのパワー

以上の11の実践を産み出すマンパワーは何かと、探求すれば、その集約は次の4つの柱になります。

①その一つは活躍姿勢力

これには職業観、企業人・役職の誇りがあることです。それはこの仕事が好き、お役に立つことへの喜働の活躍、その前提は、企業の経営理念の所属部門方針共有し、新たな条件作りへの挑戦への楽しみを持ち陽転思考があります。

②二つ目は高められた決め手の専門力

高められた決め手の専門力・特技を持つ人の存在感は、自ずと活躍現場において信頼感のある人として、「あの人に訊こう。頼んでみよう」との関係性が生まれていることです。この機会の積み重ねが、さらに決め手を磨き、存在感をより確かなものにしていきます。キャリアを高める本質はここにあります。

これには、専門知識(広く、深く、新鮮、論理的)、技術(匠の技、熟練度、多能性、独自性、応用性)、新規を生み出す開発力(経験を生かした改善・改革、創造性、破壊と創造、挑戦と継続による結実)という要素があります。

さらに仕事以外の特技も加わってきます。いわば、「自身の売りは何か」と問われたときに、「これだ!」とアピールできるものです。

③3つ目はこの力を生かす人間力

専門力での決め手を持っていたとしても、「この人に頼もう」との寄ってこさせる好感度高い人物的影響力が無ければ、それは新たな実績を残せません。その基本力は謝念を磨くことです。それは、感謝の心なき人や慢心やうぬぼれにより、人に尽くすことを忘れているような人は、「あの人に訊こう」「あの人に頼もう」と寄ってこられる人ではありません。日常「ありがとうございます」「おかげさまで」に類した言葉をいかほど施しているでしょうか。

寄ってこられる人間力、これには、人間味(感受性、包容力、謙虚さ、人望)、協力をとりつける掌握力(信頼性、適切な評価、感謝心)、指導力(是々非々の育成・感化力)、人徳(利他の施し、言行一致の実践、倫理的実践観)という要素があります。

④そしてもう一つは見えない努力の学び力

今できる最高実践で自分の能力を粗末にしない。この最高実践は、「今日の我、昨日の自分に勝つ」の如く日々進化する自分づくりです。先の冬期オリンピックメダリストを評して、「世界一努力の人」と称された言葉もありました。それは、人に訊く、素直に指導を受け入れ鍛錬する等新たな学びによる新たな変える言動の発想を生み、その実践、そして習慣化です。「今はできない、でも明日はできる」この自己肯定の気概がここにあります。

学びの実践には、人に訊く、異質なことへの興味・学習会への参加、試し、資格取得・読書、AI活用で、自分はどう考えるか、学び直し、更には心身の健康管理にも留意するなどです。

この学び力に関して昨今の新聞紙上の話題に、読み書きできない克服を目指し、64才に夜間中学に入学、結婚35年目のクリスマスに妻に書いたラブレターの話題に感動しました。この実例は、映画『35年目のラブレター』として制作されており、折良くTV放映で鑑賞しました。映画の最終シーン64き添えると「幸」となりますと結びました。

活躍の過程では苦労、失敗、悔いが残ることも事実。先の冬季五輪での最大の話題であった<りくりゅうペアー>による金メダル獲得。そこには前日の失敗が涙の一日となったからこそ、金メダル獲得の喜びとなった」との言葉が共感を産みました。まさに決め手の高めの極意はここにも学べました。それは、「失敗、辛さは新たな努力の楽しみにより幸となる」筆者の創作堤言です

如何であろうか。一目置かれる人は、この4つの軸を意識、無意識問わず高める実践者です。いわば「あのような人になりたい、という「憧れの人」として、現在でも、将来にわたっても頼られる人、稼げる人として、決め手を持った存在感を継続できる人なのです。しかしながら、

◆決め手は一隅の花でも良い

その存在は、必ずしも周りを驚かすすごいものでなく「一隅の花」でもよいのです。例え、派手さや表舞台に立たずとも、陰の立場で、さりげなく貢献できる存在の人でも頼られる人は多い。それは、故ノートルダム清心学園理事長のシスター渡辺和子氏の『置かれた場所で咲きなさい』という著作でも説かれています。また、五木寛之の名書『大河の一滴』に類した存在感です。

実は、筆者も一隅の花と認識し、敢えて表現すれば、野に咲く花として、市井に咲いている花々にエネルギーを届け、置かれた場所で咲きほこれるようにお役立てするサポーターと自称しています。それは、研修講師として50余年、のべ6000余日にも及ぶ研修実践の日々、受講生に寄り添い、現場、現実、現人(個々人)の指導、支援を第一義として実践指導を進めてきた賜です。小さな花であり、実りの味も不十分だが、誇りとして現役でお役に立てを楽しむ日々です。

◆現在の活躍舞台で決め手を創リ、磨く

さて、自分の決め手を持ち、存在感を得るのは、一朝一夕にできることではありません。二宮尊徳翁の言葉に「積小至大」があります。この意味は、「小さいことが積み重なって大きなことを成すこと」です。従って、「大きなことを成し遂げようと思うなら、小さいことをおろそかにしてはいけない」という説きです。

まず、企業における活躍舞台を確認してみると

◎新人の時は、決め手づくりの基本を学び、職場に新風を吹き込む存在

◎中堅の時には、任され、責任持って実績を形成する活躍

◎リーダー時は、人を生かした実績づくりの責任感と指導力に磨きをかける

◎幹部クラスの時は戦略を立て、社内外の人脈を生かして社の業績に貢献する

◎ベテラン時は、信頼感を高め、頼りがいのある人として後輩に継承し、且つ、更に専門力の新鮮の加え・論理にも磨きをかける

といういわば職業人生です。従って、この活躍舞台だからこその研修機会があります。この学び合いの機会を最適に生かして、現在の取り組みマインド、専門力、人間力を磨くきっかけとして生かすことです。

研修の現場は、異質な人の磨き合いです。ならば、人を鏡として、自己を確認し、診断することです。それは、決め手を更に高めるヒントを得ることであり、新たな社内外の人脈づくりにつながることもあり得るからです。

筆者の研修現場では、「共に楽しく、学び合い、ふれ合い、気づき合いましょう」と板書し、加えて、今できることの最高実践、この最高実践は線は斜めに上昇する。その上昇は、今研修で、受講者仲間を鏡としての気づき(現活躍ぶりの確認・診断)により、OKはさらに自信を重ねます。

また、おやっとの気づきは変えることにあります。なぜなら、大方の受講者は「自分は自分なりにやっている」との自負心があります。それは、自分の鏡で自己擁護しての診断に他ならないこともあります。これでは、成長力は阻害されます。異質な受講者(考え、方法、キャリア、実績が各自の違い)だからこそ、普段気づき得ない、ほんの小さなことでも変えることのヒントを得て、変える重ねが、最高実践の右肩上がりの線となるのです。これがキャリアアップの事実です。

研修の受講は変えることなくして効果無しとの筆者の持論です。従って、自身が選び続ける企業の活躍舞台で決め手を磨き高める糧となるのです。

勿論、これからの職業人生のあり方は一様ではありません。活躍形態も組織の一員としてチームに貢献するメンバーシップ型の形態だけでなく、専門力を生かしてジョブ型人財としての活躍形態もあります。更に副業として認めを受け、二つの勤務形態を組み合わせたハイブリッド(複合)型の勤務形態も進んでいます。さらに、一社で定年まで勤めあげる時代ではないとの考えもあります。しかしながら、決め手の売り込む能力なくして発展的要素はありません。

そして、やがて企業では定年になります。生涯現役となれば、ここからの活躍舞台は、自由に選択できます。活躍する舞台、その条件、働き方を自分で決定します。そこでの良き条件作りは、それまで企業の活躍舞台で蓄えた決め手です。生涯現役の心豊かな職業人生はここにありです。

◆生涯の基本スキルは伝わる話力です

このサポーターとしての筆者のお役だては、人間力を磨き、決め手を生かす上で最も肝心なスキルである話力の向上、聴解力の支援・指導です。

周知のとおり話し方に関する出版著書は多様にありますが、単に論ずる上達指導でなく、効果的実践スキルの直接指導の駆使のお役だてです。その極意は、筆者が構築した感謝話法です(著書『人生100年時代、実践感謝話法の極意』傳書房から)。

感謝話法? それは、どのような立ち位置であろうと、相手に自身の持ちうる決め手(専門力・考え方・知識・人間味・恵・情報・特技…)を生かして、お役立てする過程で最も肝心なことは、伝わるスキルだからです。現実には、訊かれたとき、発言の機会、スピーチ依頼、プレゼンテーション、指導、相談、商談…などの現場があります。この現場をいただけることはまさに話せる感謝、お聴きいただくことへの感謝の心なのです。

そして、相手の話を聴く時には、「学ばせて頂く感謝の心で聴く」ことです。

現在コミュニュケーション法は、デジタル活用による多岐にわたりますが、直に対面してのコミュニケーションはなんと言っても深め、速効が得られます。「あのときに話せれば、あのときにもう少しきちんと話、聴いておけばよかった」こんな悔いは勿体ない。ぜひ、磨き、より豊かな決め手形成を楽しむことです。筆者は、この話力向上への支援、指導のお役だてを現役講師としての決め手としています。

桜花の賑わいは、新たな活躍を楽しむスタートアップへの祝福です。それは、人生100年時代、「自身の活躍は決め手を生かし、新たにお役だてとして喜ばれる」でなければ自身を粗末にします。これでは、実に勿体ない。自己の持ちうる顕在パワーを生かし、潜在パワー引き出し、更に加えて、「あなただからこそ頼む」との充実した人生を謳歌しようではありませんか。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

澤田 良雄

東京生まれ。中央大学卒業。現セイコーインスツルメンツ㈱に勤務。製造ライン、社員教育、総務マネージャーを歴任後、㈱井浦コミュニケーションセンター専 務理事を経て、ビジネス教育の(株)HOPEを設立。現在、企業教育コンサルタントとして、各企業、官公庁、行政、団体で社員研修講師として広く活躍。指導 キャリアを活かした独自開発の実践的、具体的、効果重視の講義、トレーニング法にて、情熱あふれる温かみと厳しさを兼ね備えた指導力が定評。
http://www.hope-s.com/