小池浩二氏の【プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(59)
【業績をつくる黄金法則 全4回】
第2回目「部門方針の立案と浸透」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
会社全体の1年間の方向性を示すのが、経営方針。この経営方針を受けて、各部門ごとに3ヶ月単位で現場で実践することを示すのが部門方針です。
■目的・目標の共有化
会社内での「共通語づくり」です。
目的・目標の共有化とは、部門の方針・年度の目標を全員が理解し、意識しているかです。すなわちゴール地点がバラバラだと戦い方は当然、人それぞれになります。つまり組織としての戦い方ができないことになるのです。
例えば、「今月の目標はこれだ」と壁に貼られている会社があります。貼っているから全員が見ているわけでもありません。時には、見るのではなく、眺めているケースもあります。共有化していくためには、「言い続け、理解しているか」を確認しなければなりません。
業績の良い会社には、その会社でしか使わない固有の共通語が多くあります。「今期の目標は幾らと問われたら、幾らです」と答える、これは共通語です。共通語をいかに多く作るか、これが最初の鍵になります。これにチャレンジをしていただきたいと思います。
■方針は生き物
方針というものは、文字で書けば簡単です。
この会社ですと、「スクラップ&ビルドで新経営体質づくりのスタート」と文字数も少ないから文字で書けば簡単です。
大切なことは理解し・浸透し・実践し・成果を出すことです。
よく、模造紙に書いて掲示する会社があります。掲示して浸透するかというとなかなか浸透しないことが多いのです。浸透しない要因はいろんな背景がありますけれども、その中の一つはスタート地点の誤りがあります。
それは「スクラップ&ビルドで新経営体質づくりスタート」と言われて、「あっ、わかりました。自分たちはこれをやればいいんですね」と、すぐにピンと集団ならよいのですが、これがなかなかピンとこない。だから、その経営方針を受けて自分の部門では何をやらないといけないかをまず考えなければなりません。
その上で、今度メンバーの一人ひとりに、自分は何をやらないといけないかを考えさせていかないと、経営方針だけがどうしても浮いてきます。だから、部門方針は部門長とナンバーツークラスの方で考えます。それでできたものに対して、じゃあどうやってやるの、どうやって詰めていこうかということです。
じゃあ目標はどうしようか。担当はだれがやろうかというようなことは全員で考えていかないと、やっぱり経営方針が全社員に浸透しにくいものとなるわけです。だから全社員を巻き込んでやっていくっていうのは、そういうところがポイントになることをご理解してください。
■部門の業績決定要因・重点方針を立案していく
具体的にはまず四半期毎=3カ月ごとの部門方針をまず考えていくことです。
経営方針は1年間で構いません。でも、部門方針を1年単位で考たら、今は外部環境等の変化スピードに合いません。3カ月単位で部門方針を考えるべきです。
そのときに、向こう四半期毎=3カ月間の業績のベースをまず確認してもらいたいわけです。この向こう四半期毎=3カ月間で、どのぐらい読めるかをまず考えていただきたい。そうすると必然的に目標と比較すると、差額が出ます。その差額を埋めるための自部門の業績を決める決定要因は一体何になるのかが見えやすくなってきます。
数字というのは、小さくすればするほど具体策が出ます。ならば、向こう四半期毎=3ヶ月間で、例えば3000万の目標があるとしましょう。でも3カ月間のベース=読める・見込める数字で2000万は読める。こうなると、差額は1000万だから、1000万に対して何をやろうかというところが業績を決める決定要因になってきます。
そのように、絞れれば絞るほど、具体的な方針が出てきます。このように業績決定要因を考えた上で四半期毎=3ヶ月間の重点方針というものを決めていただく。このような流れになっていきます。
■現場へ落とし込む
部門ごとの業績決定要因・重点方針ができたら、社長・役員に提出をして、承認をしてもらうこと。承認をしてもらったらば、今度は全員でどのように進めていくのか、目標はどうしていくのか? 誰がやるのかということを考える。このような流れになっていくということです。
ですから、それぞれ皆さん方の会社の中でも、経営計画書を作成している会社は最近増えていますけれども、最終的にはそこのレベルまでやっぱり突っ込んでやっていかないと、経営方針の浸透というのはなかなか図りにくいというところもご理解をしていただければと思います。
■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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