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「電気自動車について」(真田幸光)

真田幸光の経済、東アジア情報
「電気自動車について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受けて自動車市場が停滞する中、昨年の世界の電気自動車(EV)販売台数(プラグインハイブリッド車、燃料電池車含む)が前年対比44.6%増加したと韓国自動車産業協会(KAMA)が報告した記事に接しました。

今日はまずその記事を引用させて戴きながら、私の見方を加えさせて戴きたいと思います。

即ち、同協会が公表した報告書によると、EVは2020年に世界で294万3172台販売されたそうです。

尚、2019年は203万4886台でした。
 
そして、内訳を見ると、バッテリーEVは202万台、プラグインハイブリッド車(PHEV)は90万台、燃料電池車(FCV)は8200台が売れ、前年対比でそれぞれ34.7%、73.6%、9.3%増加したと報告され、新車市場全体でのEVのシェアは、前年の2.2%から3.6%に拡大したとされています。
 
更に、メーカー別では米国のテスラが44万2000台を売り上げ、前年(30万4000台)に続いて販売台数1位となっています。
 続いて、フォルクスワーゲン(VW)の「ID.3」とポルシェ、アウディの高価格EVモデルを販売する独VWグループは、前年(12万3000台)対比211.1%増の38万1000台を売り上げて2位になりました。

3位の米ゼネラル・モーターズ(GM)グループは、中国本土の合弁会社から発売した小型EV「宏光ミニ」の販売拡大で前年(9万4000台)対比134.1%増の22万2000台を記録、こうしたところに、米中の政治対立はあっても、ビジネス連携の様子が見られています。
 
そして、韓国の現代自動車グループは前年(12万4000台)対比59.9%増の19万8000台で、2019年の7位から昨年は4位に上昇したと誇り高く報道されています。
 
モデル別の販売順位は、テスラの「モデル3」が33万6000台で1位、宏光ミニが12万6000台で2位、現代自動車の「コナ・エレクトリック」は、品質に問題はあるものの5万5000台で5位につけたようです。
 
そして、韓国自動車協会は、
「欧州と中国本土市場の成長が、EV全体の販売増をけん引した」
と分析しています。
 
欧州のEV市場では前年対比133.5%増の129万台が売れ、EVのシェアは前年の27.2%から43.9%に拡大して中国本土(41.1%)を上回ったようです。
 
単一市場では中国本土のEV販売台数が120万台で最も多く、中国本土は有言実行で電気自動車化を進めており、韓国は6万1000台で9位となっているようです。
 
欧州のEV市場の成長は、新型コロナの感染拡大で萎縮した自動車産業の活性化の為の補助金増額とインフラ構築予算の拡大によるものと見られ、また、温室効果ガスの規制強化に対応するための各メーカーの新モデル投入拡大なども影響を及ぼしたと分析されています。
 
最後に、KAMAの鄭晩基会長は、
「EV市場の成長は各国政府の補助金拡大など、インセンティブ政策の結果である。
まだ内燃機関車のような競争力を確保するのは困難で、補助金拡大、充電インフラ構築拡大などのインセンティブ政策が必要である。」
とコメントしている点を付記しておきたいと思います。

こうした点からも中国本土はEV化には有利かと思われます。

今後の動向をフォローしたいと思います。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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