[ 特集カテゴリー ]

【新連載】第2回 利他の心が生きた話す実践の11箇条 澤田良雄 [ 第2回 ]

「感謝の心で話す」とは単に自己満足のために巧みに話すのではありません。話したことには責任が伴います。それは、相手の以後の活躍の有り様を変えるからです。だからこそ、どのような心持で話すかが問われます。

その神髄は「お役に立てる機会に感謝の心で話す」ことです。それは、企業活動で提唱されている「利他の心」に通じます。社会にお役に立てる会社、お客様に喜んでいただける会社との理念を掲げ、実践している企業は、発展しています。

話し手も同様です。それは、「お役に立てた」、この実感は職業人生での存在感を高め、貢献の足跡づくりとなるからです。

今回は、利他の心で話すその実践11の極意を提起してみます。11とは「いい人」の形容です。

第一条 自分の持ち味を積極的に活かす

  自分の持ち味とは、才能、知識、技術、人間味などでそれは10人十色であり、各自の潜在的魅力です。

第2条 お役に立てると信じて話す

  話す相手がどう思うかではなく、まずは相手に「自分がお役に立てる」と信じて話すことです。

第3条 本気で、本心から話す

  話上手とは、巧みに話すことではなく、たとえ、つっかえたり、であっても、本気・本心で話せば必ず相手に通じます。筆者は、研修現場で自分の額や頬に赤チョークを塗ったり、時には、床に手をついてお詫びの土下座の実演もします。「熱血講師」の謂われの基です。

第4条 謙虚さ、誠実さをもって話す

  訊いて頂ける、聴いて頂けることに感謝します。「実るほど頭の垂れる稲穂かな」の人間味の豊かさが生きています。ここには上から目線の話しぶりはありません。

第5条 相手の立場に立って話す

  理解して頂くためにも、言葉の工夫、物の活用、話の筋道づくりを整えます。加えて、自分が体験時の感じたことを表情、手振り、語調に託し、丁寧に伝えることです。

第6条 感謝の心をこめて話す

  聴き入れてくれる相手に対して、アイコンタクトで感謝の心を伝えます。うなずきの交流が成されます。

7条 言いにくいことでも「お役に立てること」は臆せず伝える

言いにくいことでもきちんと伝えていくことも大事です。「あのときのひと言のおかげです」という感謝の言葉は、お役立てのもたらす価値の大きさを表しています。

第8条 感謝の心で聴く

 自分に寄り添って話している相手の誠意を素直に受け止め、学びの心で聴くことです。それはうなずき、相づちの良き反応で返して、相手の誠意に応えます。この実践は、話す立場に変わった時に聴いて頂ける条件になります。

第9条 当たり前を認め合う、そこに感謝の心が広がる

 当たり前のことだと思ったとき「ありがとう」「おかげさま」の心が鈍ります。当たり前の行為にも苦労が伴っています。部下に、夫婦、家族関係だからこそ謝念を深めます。それは継続してくれている施しだからです。

第10条 感謝の報告には感謝で返す

  相手から「あのときの話のおかげです」との感謝の報告は、「お役に立ててうれしい」と素直に喜びます。その体験の重なりが人格を豊かにします。

第11条 おかげさまの言葉を自然に出せるように心がける

 利他の心に基づく話しの実感は「おかげさま」と「ありがとう」の交換に集約されます。それは「おかげさま」の心を、いつでも、どこでも、誰に対しても自然に届ける話し手だからです。なぜなら、おかげさまの有り様が分かるからです

いかがでしょうか。日常の活躍現場で、あるいは私生活でも利他の心を生かした「お役に立てる話の施し」を愉しみましょう。必ず「おかげさまで」との感謝の心が届きます。