清話会リモートセミナー 2022.3.29(火)
「モノの価格はこのまま上り続けるのか」
—-ウクライナ侵攻を受けての展開
藻谷 俊介 (株)スフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役
1985年東京大学教養学部卒業。90年米国ハーバード大学ビジネス・スクール卒業(経営学修士課程)。85年住友銀行入行、92-96年ドイツ銀証券会社でシニア・エコノミストとして日本のマクロ経済分析・市場動向分析を専任担当。96年スフィンクス・インベストメント・リサーチ設立。
■物価は上がり続けるもの、
日本の物価は世界でも例外的
「モノの価格はこのまま上り続けるのか」という問いに端的に回答するならば、「物価は上がり続けるものである」ということになります。消費者物価指数(CPI)という指数が日本を初めとして、アメリカ、ロシア、中国などの世界各国で算出されています。各国のCPIを比べてみると、それぞれに違いがあり各国に個性があるとわかります。そして各国のCPIをGDPウエイトで一本の線にまとめていくことにより、特定地域に偏らない世界全体のインフレ率が見えてきます。
その主要17カ国のCPIを合算すると世界の約7割を占めると言われています。それらを足し合わせたものを見ると物価指数はずっと右肩上がりであり、例外的にリーマンショックやコロナの第一波のときに少し下がっているだけです。
このようにグローバル的に大きな影響があるような現象が起こったときは短期的なデフレが起こりますが基本的に物価は上昇し続けるものです。2010年と2020年の世界のCPI を比べた時、約10年間で物価が約1・4倍上昇していることが確認できます。それぐらいが世界の標準的なインフレということになります。さらに最近のインフレ率を見てみると約5・1%となっていて、ますますインフレが加速してくことがうかがえます。その場合およそ10年で1・6倍ほどの伸び率になってくると予想されます。