[ 特集カテゴリー ] ,

がん治療とお金の話② 鈴木健人(2022.6月)

がん治療とお金の話②

 

前回はがん治療における健康保険と自由診療の違いについてご紹介しました。

今回はがん保険です。がん保険については色々な考え方があります。がん保険に入る・入らない、もし入るとしたらどんな保険がいいのか? 参考にしていただければ幸いです。

 

がん保険は必要か不要か

「がん保険は入ったほうがいいの?」「がん保険は入らなくていいという話も聞くよ」と様々な疑問や意見があります。しかしこれは「必要・不要」というわかりやすい二元論ではなく、ご自身の置かれている状況、がんに対する考え方、がん保険の内容等で変わってくるので簡単に答えの出るものではありません。

例えば何百万、何千万円も治療に使える預金がある方はがん保険の必要性は下がります。また「絶対に自分はがんにならない」と信じている人もがん保険は必要ないでしょう(笑)。

逆に「がんになるかもしれない」「うちはがん家系だから心配」「いまがんになったら経済的に厳しい」という方はがん保険を検討してもいいでしょう。

 

高額療養費制度があるから大丈夫?

がん保険が必要ないという主張をされる方は、「高額療養費制度があるからそんなに医療費はかからないよ」と仰られます。確かに所得によって支払い上限があるのでありがたいです。しかし、それでも毎月数万円~10万円の医療費に加え、体調不良による収入の減少というダブルパンチもあり得ます。約6割の方が「がんになると収入が減った」というデータもあります。現実は、高額療養費制度があったとしても、経済的に厳しくなる人も多いのです。

さらに自由診療を選択すると金銭的負担は跳ね上がります。

 

 

がん保険は頻繁に内容が変わる

がん保険を選ぶとして、どんな会社のどんな保険がいいのでしょうか? 各保険会社も「他社より自社商品のほうが良い!」とアピールしたいわけですから、様々な特徴のがん保険を発売してきます。競争も激しいです。1-2年でがん保険の内容がガラッと変わる会社もあります。急に素晴らしい内容のがん保険を発売する会社もあれば、保険の改定をしてイマイチになってしまう会社もあります。

今はA社のがん保険が優れているとしても、3年後にはB社のほうが良い場合もあるのです。その時その時で保障が厚くて掛け金が安い会社、保険というのは変わります。知名度のある会社の保険が素晴らしいかというと、そんなことはありません。

 

がん保険選び5つのポイント

細かいことを抜きにして「だいたいこの辺を押さえておけば大丈夫」というポイントがありますのでそれをご紹介します。

・がんと診断されたら一時金が給付される。診断された時点で給付される一時金は多ければ多いほど助かります。繰り返し給付されるものを選びましょう。

・がんと診断されたら保険料の支払いが免除される。がんに罹患すると何かとお金がかかってくるので、その後の保険料を免除してくれる保険はありがたいですね。

・治療が継続・再発でも給付される。闘病が長引けば経済的にも苦しくなるので、長期間カバーしてくれる保険のほうが良いと思います。

・保障と保険料のバランスが良い。いくらがんは怖いといっても、がん保険にお金をつぎ込み過ぎて家計が苦しくなるのは疑問です。必要な保障をカバーしつつ、なるべく保険料の安い保険にしたいものです。

・保険の担当者ががんに詳しい。実はがん治療や「がん」そのものに詳しい保険屋さんはほとんどいません。温熱療法協会では、いざという時に頼りになる「がん」と「お金」の専門家「がんファイナンスアドバイザー」さんと提携していますので、「周りにがんに詳しい保険屋さんいないな」という場合はご紹介もできます。

これらが全てではありませんが、がん保険選択の参考にしてください。

 

 

保険金が支払われない?

「長年かけていたがん保険が支払われなかった」「保険金がおりると思っていたらダメだった」という声もききます。これは保険会社や営業マンが悪いというよりは、細かい支払い条件に合っていなかった、というパターンが非常に多いのです。

例えば以下のようなものがあります。

・一時金は、2年目以降は入院していないと支払われない、

・一時金は、2年目以降はホルモン剤治療では支払われない、

・上皮内がんでは支給されない、

・治療方法の発展により、契約時の治療方法が適用されない、

など保険会社によって支払い条件が異なりますので、きちんとチェックしておきましょう。

 

がん保険は、闘病する上で非常に助かるものです。「お金があればもっと治療を受けることができたのに…」と後悔しないためにも検討する価値はあると思います。

しかし、2人に1人ががんと診断される時代ではありますが、逆に言えば2人に1人はがんと診断されないということです。毎月のがん保険料を他のことに使用した方が良いという考えももちろんあります。がんのこと、ご自身の環境、価値観を総合的に判断してがん保険を検討すると良いでしょう。