講演録「トップリーダーの健康術」 東京 2022年 7月25日(月)
いつまでも脳と体の若さを保つには…和田秀樹
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。浴風会病院精神科医師、東京大学付属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、国際
医療福祉大学心理学科教授。専門は老年精神医学、精神分析学、集団精神療法学。
ベストセラー著書多数。
体にいいと言われることが本当にいいとは限らない
今日は健康のお話なので、まず健康に良くないマスクをはずしてお話しさせていただきます。
2022年7月末現在、コロナの感染者数は1日20万人、重症者数250人、死者数50人くらいです。
一方、例年、ワンシーズンに風邪をひく人やインフルエンザになる人は、おおよそ1000万人、1日10万人、死者数が1万人ぐらいです。
風邪は今回のコロナのオミクロン株と同様、上気道炎しか起こしません。風邪の症状は一般的に、咳、痰、全身痛などですが、風邪で免疫力が落ちるとちょっとしたバイ菌で肺炎になって亡くなる方が年に1~2万人はいます。つまり、風邪の方がコロナより、たくさん人が亡くなっているのです。実はマスクの弊害が意外と大きいのではないかと思います。マスクをして今日のような暑さの中で歩いていたら熱中症のリスクが高まります。マスクをしていると自分の吐いた息を吸い込みますし、決して健康に良いとは言えません。
人間のメンタルヘルスに一番良いのは人の笑顔を見ることです。みんながマスクをして笑顔を見ない暮らしが続いています。小さい子どもにとって、お母さんの笑顔を見られないことによるメンタルヘルスの弊害は計り知れません。
私が今日、皆さんに一番お伝えしたいのは、このマスクのように、体に良かれと思ってしていることが実際は必ずしもそうではないことが多々あるということです。