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「米韓関係について」(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
「米韓関係について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

米中覇権争いの中で、情報覇権争いが一つの軸となり、その中で更に、米中半導体戦争が起こっていると見られています。
そして、これに、日本や台湾と同様、韓国が巻き込まれていると韓国国内では認識されています。
以下は、そうした中での韓国の見方であります。
参考まで、ご報告申し上げます。

米国政府高官は、三星電子とSKハイニックスが中国本土の工場で一定の技術水準以上の半導体を製造できないよう、限度を設定するだろうと伝えてきた。
中国本土が先端半導体技術を獲得できないように、米国の同盟国の中国本土向け投資を阻むという見地によるものと韓国は受け止めている。
これが現実のものとなれば、中国本土での製造の比重が大きい韓国の半導体業界が打撃を受けるのは避けられない。
 即ち、米国政府・商務省のエステベス次官(産業安全保障担当)が、韓国国際交流財団(KF)と米国戦略国際問題研究所(CSIS)がワシントンD.C.で開催した米韓経済安保フォーラムで、
「米国政府が三星電子とSKハイニックスに対して付与した中国本土向け半導体輸出規制の1年猶予が終わった後、韓国企業が製造出来る半導体の水準に限度(cap on the levels)を設ける可能性がある。
今、各企業が特定の層(layer)のNAND型フラッシュメモリを製造しているならば、その範囲の一定水準(range)で停止させるだろう。
どの水準から製造を規制するかは、中国本土が今後、どのように行動するかに掛かっている。
米国政府は韓国企業と深い対話を続けていく。」

と語ったことに対する韓国側の反応であります。
米国は昨年10月に発表した中国本土向け半導体輸出規制措置で、128層以上のNAND型フラッシュメモリ、18ナノメートル以下のDRAM、16ナノメートル以下のロジックチップを製造出来る装置と技術を中国本土に販売する場合、米国・商務省の許可を別途に取るよう定めています。

米国・日本・台湾・韓国による米国主導の半導体同盟「チップ4」の最初の本会議を開催されています。
チップ4は中国本土包囲網とも見られ、米国が韓国・日本・台湾に提案した半導体同盟であり、
「韓国のチップ4参加も本格化するのではないか」
との見方も浮上してきました。
 
今後の韓国の動向をフォローしていきたいと思います。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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