[ 特集カテゴリー ] ,

「不動産外資の日本買いについて」(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
「不動産外資の日本買いについて」

真田幸光(愛知淑徳大学教授)
 
私は、人々が生きていく為に必要なものを扱う、
「実体経済」
が極めて重要であると考えており、特にウクライナ紛争以降は、この実体経済が金融経済と対等に重要であると言うことが再認識されていると考えています。
 
そして、その世界の実体経済の動向を示すものが、
「貿易」
ではないかと考えており、その発展、拡大の為には、
「相互信頼に基づく世界の構築」
が不可欠であるとも考えています。
 
さて、こうした中、比較的、科学的で客観的で中立的な国際組織であるとされる世界貿易機関(WTO)は、2023年の世界の財貿易(モノの貿易)量について、前年対比0.8%増に留まるとの見通しを示しています。

本年4月時点の予想である1.7%増から下方修正しましたが、
「根強いインフレ、世界的な金利上昇、中国本土不動産市場の緊張、ウクライナ戦争の継続が貿易の先行き見通しに影を落としている。」
とWTOは指摘しています。

但し、2024年には3.3%増に回復するとし、4月予想の3.2%増とほぼ同程度の伸びを見込んではいます。
また、貿易の鈍化はより多くの国と品目に及んでいるとしており、特に鉄鋼、事務・通信機器、繊維、衣料品が顕著であるとも指摘しています。

一方、自動車は例外で今年の販売台数は増加していると報告されており、自動車業界が世界の実体経済を牽引していると言えましょう。
WTOは、予測に対するリスクは均衡していると述べてもいます。

予想よりも大幅な中国本土の景気減速や、インフレ再燃、金利上昇の長期化といったリスクがマイナス要因になり得る一方、インフレが急速に低下すれば、予測の上方修正につながる可能性もあると付言しています。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
——————————–