消費増税のインパクトは、駆け込み買いの反動減のほかに、実質負担増の効果もある。税率が2%上がって購買力が低下する効果である。例えば、月収が30万円あっても、物価が2%上がれば、購買力は5,882円下がる(=((1÷1.02)-1)×30万円)。値段が上がった分、今まで購入していたものを、5,882円分どこかで節約する圧力が生じるということだ。2014年のときは、特に衣料品にこの節約圧力が働いた。実質負担増の効果は、実質消費減をもたらし、経済成長率を低下させる。
経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ] 経済動向最前線
消費増税のインパクトは、駆け込み買いの反動減のほかに、実質負担増の効果もある。税率が2%上がって購買力が低下する効果である。例えば、月収が30万円あっても、物価が2%上がれば、購買力は5,882円下がる(=((1÷1.02)-1)×30万円)。値段が上がった分、今まで購入していたものを、5,882円分どこかで節約する圧力が生じるということだ。2014年のときは、特に衣料品にこの節約圧力が働いた。実質負担増の効果は、実質消費減をもたらし、経済成長率を低下させる。
平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ] 平成事件簿
事件記者時代、警察担当のサツ回りの頃、殺しが起きれば、流しか敷カンのどちらか、だった。敷カンは面識犯。被疑者と被害者の関係が濃密な濃カンならスピード解決だが、希薄な薄カンや流しなら難航する。濃カンの動機は恨みか、金銭トラブル、痴情のもつれとシンプルだった。
しかし、時代とともに、様々な要因が絡み合うようになった。年間約1,000件の殺しの9割は敷カン。その6割は家族犯罪だ。今や殺人の半数以上は家庭の中で起きている。DV、親や子殺し、介護殺人……。児童虐待死は毎年50件前後。先の国会で、体罰を禁止する改正児童虐待防止法が成立したが、悲劇の連鎖を断ち切ることは容易ではない。
伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo 若柳 尚雄里 [ 特集カテゴリー ] 伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo
「恋も誠も世の在る時 人の心は飛鳥川 変はるは勤めのならいぢゃもの 逢はずといっそ去んで呉れう イヤイヤイヤ 逢はずに去んでは此胸が 済まぬ心の中にも暫し 澄むはゆかりの月の影」
元は近松門左衛門の人形浄瑠璃『夕霧阿波鳴門(ゆうぎりあわのなると)』という作品から、文化五年(一八〇八年)に歌舞伎にて書き替えられ、『廓文章』(通称・吉田屋)が初演され、冒頭の歌詞は、日本舞踊での舞台の際の『清元 夕霧』の文句です。
先月号にて大阪新町の廓の成り立ちを少しご紹介しましたが、この舞台は正に大阪新町の吉田屋の格子先へ、年の瀬につい先頃まで、毎夜の様に豪遊していた藤屋伊左衛門が紙衣を着、変わり果てた姿で訪ねて来る場面から始まります。伊左衛門は新町きっての太夫夕霧と恋仲で、放蕩が過ぎ、家から勘当されこの有様。数日振りに夕霧に会ってもすねて見せ、夕霧は思い病にでもなったかと心配していたと話します。そこへ大店(おおだな)の藤屋より勘当が許され、夕霧を身請けする許しの知らせが有り、それと共に千両箱が運び込まれるというファンタジックで、バブリーなあらすじの上方の代表的な作品です。
第一〇回 尚雄里と日本舞踊~全国の遊郭と遊女の祖先~をテーマにご案内致します。
平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ] 平成事件簿
既視感があった。惨劇を目の当たりにし、私たちは忌まわしい記憶を封印し、目を背け続けてきたのではないか。そして今、20年近い歳月を経て、暴風が吹き荒れた時代の悪夢がよみがえったのである。
地方創生にかかわる 中小企業の役割 野田 万起子 [ 特集カテゴリー ] 地方創生にかかわる中小企業の役割
政府の統計データや様々なビックデータを元に、よく全国都道府県の○○ランキングを見かけます。都道府県ごとの特徴や県民性等が伺え、企業のマーケティングにも役立てられています。それが全国市町村になると、更に多くの特徴がクローズアップされ、市町村でも「日本一」、更に日本にしかないものであれば「世界一」を標榜することができるでしょう。
自治体の取り組みを見ていくと、そのような「尖った特徴」をコンテンツとして上手に情報発信をしているものも多いのですが、地方創生に結び付けていくのには更なるアイデアの創造が必要になってくると感じています。
経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ] 経済動向最前線
いよいよ心配していたことが起きそうだ。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)が、近々、政策金利を引き下げてくる構えに入ったからだ。米国経済は、失業率が3.6%と完全雇用にあるが、雇用の増加ペースは5月は前月比+7.5万人と、その前月(4月+22.4万人)に比べて落ちた。金融市場では、これが米国経済がその成長ペースをスローダウンさせるシグナルとみている。
コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~ 中平 次郎 [ 特集カテゴリー ] コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~
ドラッカーのマネジメントの中で言われている、理想とするリーダー像になろうと思ったら、リーダーが目指すものがないといけない。それがドラッカー5つの質問で言われている使命、ミッションであり、リーダー自身が、自分の信じる使命を持たないといけない。それを持っていない人は、真のリーダーになれないし、リーダーとは言えない。そういうお話をさせていただきました。
私たちはリーダーとして、日々ベストを尽くして仕事をしていても、仕事にはどうしても波があったりします。うまくいっている時は、私たちは元気よく働きます。でも、やっても、やっても、うまくいかないといった時、下降線をたどっている時というのは、なかなか力が出てきません。
100年、200年企業を実現するための 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ 大井 大輔 [ 特集カテゴリー ] 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ
先月はファミリービジネスにおいて、スリーサークルモデルの経営分野における「後継者による経営推進ができる体制の整備」として、チーム型経営について説明しました。今月は、所有分野(オーナーシップ)において検討すべき事項について説明します。
平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ] 平成事件簿
「令和」の新時代が幕を開けた。
30年前の1989年1月7日の朝は皇居で目覚めた。昭和天皇の闘病は111日に及び、時代の終焉が迫っていた。宮内庁2階の記者クラブに泊まり込み、簡易チェアでウトウトした頃、卓上電話が鳴った。壁の時計を見上げると、午前5時を回っていた。
「侍医長が家を飛び出しました」
昼夜張りついていた記者からの一報だ。昭和最後の長い1日が始まった。
藤森昭一宮内庁長官が「午前6時33分、崩御あらせられた」と発表し、官邸では小渕恵三官房長官が新元号を「平成」と読み上げた。半旗の向こうに、青空が広がっていた。
昭和天皇の開腹手術を機に宮内庁担当となった新参記者にとって、皇室は威厳に満ち、神秘に包まれていた。まず驚いたのは、宮中言葉がごく普通に使われていたことだ。
地方創生にかかわる 中小企業の役割 野田 万起子 [ 特集カテゴリー ] 地方創生にかかわる中小企業の役割
平成の大合併一覧によると、平成11年は3,232あった市町村が、平成の終わりには政府統計ポータルサイトを閲覧すると、市町村計1,724となっています。平成の大合併で、実に1,500以上の市町村が統合または廃止となり、これだけのまちが日本から消滅した事実でもあります。多くのまちが、合併した理由は何でしょうか。本号では、地方創生が必要不可欠となった、地方衰退の原因を検証してみたいと思います。
地方衰退と地方創生
地方衰退とは、地域の勢いや活力が衰え弱まることです。その衰退は、地域から人が減り、地方経済が弱小し、仕事が減り、雇用が減り、まちが衰退するという、地域経済の悪循環が続くことで起きます。「地方衰退は自業自得、その責任は100%地方にある」とも言われ、まちの住民が真剣に取り組まなければ地域を活性化することは難しい面もあります。それ故、全国一律で同じ施策に取り組むのではなく、地域に合った活性化施策が求められていました。
コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~ 中平 次郎 [ 特集カテゴリー ] コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~
前号で、リーダーシップの目的というのは、人間のエネルギーとビジョンを創造することである、社員を見てあるいは部下を見て、部下のエネルギーとビジョンが創造されているか、自分とともに仕事をすることによって、そういった変化が起こっているか。それが、自分がリーダーシップを発揮したかとの判断基準となる。そういうお話をさせていただきました。
伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo 若柳 尚雄里 [ 特集カテゴリー ] 伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo
「秋の夜長に牡丹花の燈籠踊に 一節に残る暑さを凌がんと 大門口の黄昏や いざ鈴虫を思ひ出す つらい勤めのその中に 可愛男を待ち兼ねて 暮松虫を思ひ出す」
これは、日本舞踊の古典演目の一つ、長唄【高尾さんげ】の一節で、
「秋の夜に燈籠に彩られた吉原で、牡丹の花の燈籠踊の一節にあれはどんな唄だったと思い返す。残暑に追われ、日暮れ時に大門口まで涼みに出て、自分の事を鈴虫に例える。つらい勤めをしながら、逢いたい人を待ち兼ねて日暮れを待つ私は、まるで松虫だと思う」
高尾太夫は、江戸吉原を代表する名妓であり、吉原京町三浦屋抱えの太夫で、万治(一六五八年~六〇年)から寛保(一七四一年~四三年)頃まで約八十五年もの間、七代に渡り名前が引き継がれておりました。
100年、200年企業を実現するための 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ 大井 大輔 [ 特集カテゴリー ] 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ
先月はファミリービジネスにおいて、スリーサークルモデル、つまり、経営、所有、家族の観点から考える重要性について説明しました。今月は、経営分野において、最も重要な検討事項「後継者による経営推進ができる体制の整備」として、チーム型経営について説明します。
経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ] 経済動向最前線
預金金利がほとんどゼロ%である。この状態はいつまで続くのであろうか。
多くの人は、日本銀行が物価上昇率2%の達成ができない限り、このゼロ%がずっと続くと思っている。筆者のようなエコノミストは、物価上昇2%はずっと達成不可能なので、そのルールを止めない限りは預金金利ゼロのままだろうとより悲観的である。
経済動向最前線 熊野 英生 [ 特集カテゴリー ] 経済動向最前線
5月1日から始まる新元号が「令和」に決まった。どんな時代になるのだろうか。この令和時代もやはり30年間くらいは続くとみて不自然さはないと思う。西暦で言えば、今から30年後の2049年までの未来である。
私たちは、和暦で令和を使うと何か雅(みやび)なイメージがあるが、西暦で考えると途端に厳しい現実に引き戻される。筆者自身の話に引き戻すと、令和元年から30年までは年齢が51歳から81歳となる計算だ。男性の平均寿命を使えると、自分の老後の大部分は令和時代の後半となる。
伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo 若柳 尚雄里 [ 特集カテゴリー ] 伝統を伝え、育て、革新する伝・Tokyo
【鐘は上野か浅草か その約束を待つ宵の 風も浮気な仲の町 過ごして植ゑし初桜 つい移り気な色も香も 留めて素足の八文字】
これは長唄【傾城】の初頭の文句です。桜も終わり、新緑に移り変わろうとしております。江戸の旦那衆は、季節が変わる毎につい移り気に、新しくフレッシュな太夫や新造に目移りされていたのでしょうか……。
この度も、尚雄里の日本舞踊は、まだまだ奥の深い吉原仲之町と、また全国にあった吉原についてご紹介したいと思います。
先号は花魁のファッションについてでしたが、花魁の支度でホテルニューオータニ日本庭園にて久しぶりに出演したイベントでは、約30キロに及ぶ支度で御座いました。江戸時代の吉原での花魁は同じ重さか、または更に重量のあるものだと憶測されます。この度も若衆の肩を借り、高さが五寸から六寸(15センチから18センチ)の三枚歯で、黒塗りの畳付きという高下駄を履き、道中をさせて戴きましたが、これは寛政期(1789年~1801年頃)の江戸後期に完成されたもので、現在受け継がれている花魁道中の形は江戸後期のものというのが解り、この最終的に残ったものが一番華やかで豪華であり、人目を惹くものだと言えるでしょう。
100年、200年企業を実現するための 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ 大井 大輔 [ 特集カテゴリー ] 欧米流ファミリービジネスマネジメントのススメ
先月はファミリービジネスにおいて、重要なことは、いかにして「経営承継」を実現するのかについて説明しました。また、スリーサークルモデル1についても紹介しました。今月は、スリーサークルモデルについてもう少し詳しく説明したいと思います。
スリーサークルモデルで
利害関係者の利害を調整する
当初、スリーサークルモデルは、ファミリービジネスに関わる関係者がサークル上のどこに位置付けられるのかを整理し、それぞれの関係者が持つ潜在的な課題として、人間関係における対立、役割上の課題や優先順位などを明確にするためものでした。
地方創生にかかわる 中小企業の役割 野田 万起子 [ 特集カテゴリー ] 地方創生にかかわる中小企業の役割
平成31年4月1日、新元号「令和」と発表されました。いよいよ、30年の平成の歴史を閉じ、令和元年のスタートとなります。地方創生元年は平成27年、考えますと新しい時代に向けた準備期間であったように思います。本年1月号に地方創生の行方について触れましたが、これまでに地方創生大臣は石破氏から4人目に代わり方針が薄れてきてしまったように感じます。国策如何に関わらず、地域経済に多大な貢献をし、地方創生を担っている企業は沢山あります。今号は、その一つの企業にスポットを当てたいと思います。
低年齢化する「自己肯定感が低い」子ども達
私が主催する話し方教室には、幼児~小学生を対象にした子どものスクールがあります。スピーチやディベート、コミュニケーションを教える教室に通う生徒のお悩みで最も多いのが、「自信なさそうに小さな声で発言してしまう」というものです。
近年、日本の中高生の「自己肯定感の低さ」が話題になる事があります。日本の子ども達は、学力調査では世界トップクラスなのに、なぜか自分に自信が無いというのです。具体的に言えば、「自分は役に立つ」「自分が好き」と言う質問に、YESと答える子どもが他国に比べて少ないのが現状です。スクールを運営していて、この傾向は年々低年齢化し、4歳や5歳でも自己肯定感が低いと思われる子どもが増えています。
自分の価値が分からなければ、もちろん相手を認めたり、ポジティブな関わりを求める事も少なくなってしまいます。また、自己肯定感とは人格を形成する過程で、他人と関わり評価を得る事で、高めていくものでもあります。要するに、自己肯定感とは、コミュニケーションと切っても切り離せない関係にあるのです。日本の子ども達の自己肯定感が低い現実は、携帯電話のメール機能やソーシャルメディアの発達により、今後もっと深刻化していくのではないかと思っています。
コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~ [ 特集カテゴリー ] コーヒーブレイク ~幸せな人と組織を創る経営者コラム~
前号で組織というのは、リーダー次第で大きく変わっていくこと。そして、「今、自分はどういうリーダーなのか?」それから、「どういうリーダーであるべきなのか?」ということを考えていく必要があるとお話をさせていただきました。
ドラッカーのマネジメントでは、リーダーシップは学びとることができると言われています。生まれつきリーダー的な素質を持った人はいるかもしれません。でもそれはほんの少しの人であって、「立派なリーダー、一流のリーダーになった人たちは、自らをそういったリーダーになろうと思って取り組んだ人たちだ。よって、リーダーシップは学びとることができる」。ピーター.F.ドラッカーは、そのように述べています。
学び取るためには、何を学ぶべきかを我々が知ることで、その力をつけていくことができるのではないかと思います。