「実践型3ヶ月経営改善計画書のポイント」
なぜ、全社員参画・公開型作成方法が基本なのか?
中小企業の運営方法は「兼任主義」。
その代表格がプレイングマネージャーによるマネージメント体制。これを経営計画書の分野で考えると、「作成はするが、運用する部署がない」のが実態。
「実践型3ヶ月経営改善計画書のポイント」
なぜ、全社員参画・公開型作成方法が基本なのか?
中小企業の運営方法は「兼任主義」。
その代表格がプレイングマネージャーによるマネージメント体制。これを経営計画書の分野で考えると、「作成はするが、運用する部署がない」のが実態。
「社長であるあなたがいなくても、会社が運営される状態をつくる」
余命3ヶ月の社長の願い
元気な創業社長が突然、余命3ヶ月を宣告された。創業10年強、機械設計・派遣業で業績を伸ばしたK社長に訪れた運命である。
K社長はこれからの事業展開として第一線をリタイアした技術職の方々の持つ技術を多くの会社に再活用できるようにシステムを考え、事業展開を図ろうとしていた。シニア分野事業のモデルとして多くの新聞、TVに取り上げられ、これからという矢先の出来事であった。
なぜ成長している企業のマネージメントはうまくいかないのか
今回のポイント
成長している企業のマネージメントがうまくいかない理由について説明したい。
会社の成長に伴い業務が増加する一方で、人数の増加は必ずしも会社の成長を意味しない。新入社員の教育に時間がかかるため、生産性が低下し無駄が生まれやすくなる。マネージャーは部下の管理に追われ、現場業務に没頭しがちで疲弊してしまう。成長企業ではこの現象が顕著に現れ、企業は成長しているように見えるものの、現場は混乱状態に陥っている。
会社の生存分岐点
「Man strategy :人戦略」
生存分岐点のキーファクターとなるW・M・Pバランス。会社は人員が増えるから成長するのではなく、「仕事」が増えるから成長していくことが基本原則。しかし、増加した仕事を捌くためには、仕事ができる人の増加が求められるが、すぐには対応できないから様々な問題が発生する。
技術力による隠れたチャンピオン企業
既存衰退病
既存の商品を既存の方法で、既存のマーケットに提供するだけでは、売上高は確実に減少し、粗利益率は下がり、利益が出なくなる。
●トヨタから車がなくなったらどうなるのか?
●日本製鉄から鉄がなくなったらどうなるのか?
年間12ヶ月の月別戦い方に戦略を持て
1年は12ヶ月である。営業利益ベースで何勝何敗の戦いをしているかである。勿論12勝0敗が良い。しかしこのケースは少ない。
10勝なら2敗、9勝なら3敗する。この2敗、3敗のうち1勝でもできると年間利益を大きく好転させる。
全社員を迷わせない道標
会社は人間動物園であり、潰れるようにできている。
本来、「価値観が似ている人」が集うのが組織である。政治・宗教・芸能の世界、どれをみてもそうである。だから、まとまりやすい。しかし、会社組織はその特徴から外れていることが多いので、運営しにくい点がある。
基本価値
商品にはサービス価値の基盤となる基本的品質があり、これが商品の基本価値といわれる。例えば時計ならば正確に時を刻むこと。飲食料ならば安全であること。商品には、この基本価値がキチンと備わっていることが、顧客に認識される事の第一歩。
しかし、この基本価値だけで終わるとコモディティ化になる。コモディティとは、基本的な機能が備わっていればメーカーを限定せずに購入することで塩、砂糖、茶碗、皿、鍋などの食器、ティッシュペーパーなどがその代表例。
働く仕事から誇りがなくなると銭ゲバになる
プロとはそのことで自分の生計を立てる人であり、アマチュアとは自分の趣味・興味の世界で満足する人。プロはその仕事に対して誇りを持っている。働く仕事から誇りがなくなると銭ゲバに陥りやすい。
誇りとは、自分が自分であることを保つために必要なもの。自分を保つためには、揺るがない軸が必要。
前号からの続きとなります。この3態づくりの基本は形態、生態、動態の順であるが、会社によって、その構築法、進め方は違う。
成長を予測して、先に手を打つ
P社は創業10年で経営形態づくりにチャレンジされた。3年かけて様々な経営運営の仕組みをつくり、途中厳しい時期もあったが、現在は経常利益率15%を出しており、次のステップである経営生態づくりに挑んでいる。
B社はセキュリティ関係の技術力の高い仕事をしている。国が推奨している経営革新支援法、創造法をダブルで取得するぐらいの高い技術を持っている。この技術を活かした事業展開をすれば、これから成長していくだろう。
しかし、O社長は考えた。成長するには、創業時から頑張ってきた社員が成長しないと社員の総入れ替えになる。そこで経営動態づくりはでき始めているので、その本格展開の前に、経営形態づくりを3年かけてチャレンジされた。つまり、会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に早いのである。
O社長はこれを客観的に分析させ、それならば会社成長スピードに対応できる社員を先につくり、会社を成長させようと考えた。そして3年が過ぎ、売上高20億、社員50名の会社づくりを本格スタートすると宣言された。
モノづくりに技術があるように経営にも技術がある。外部環境の影響をもろに受ける中小企業は経営の技術を構築しなければ「社長のやる気=頑張リズムだけ」では続かない。つまり、思い付きの経営から脱皮し、利益を叩き出していくためのルールと基準、そしてシステムをつくることが経営の技術である。
小企業は当たり前のことができない
中小企業は当たり前のことができない。息を吸ったら吐くように、自然にすることができない。だから、戦う前から負け戦になる。しかし、
できていないから、むしろ「伸びしろ」があるのだ。
この伸びしろがある“ワンパク坊主〟の「躾づくり」をないがしろにするから、成長しにくい。元気もある。勢いもある。しかし、基本ができていないから虚弱体質になるのだ。
■目の前の経営の舵取りに追われ万が一への準備に手が回らない
もし中小企業の社長が突然倒れたら、その会社はたちまち難しい局面に立たされるだろう、と誰もが考える。それほど中小企業の社長は会社にとって〝圧倒的な存在〟である。
これを、人・モノ・金の側面で考えてみよう。「人」の部分においては、中小企業の社長はまさにエースの人財である。本当の意味での「大黒柱」といえる。「金」の面では資金調達などで、まだまだ社長の個人保証に頼るところが大きい。「モノ」に関しても、商品開発や販路開拓など、社長の手腕や情熱が会社を牽引していることが多い。社長の存在と力に社員も役員も依存する、「社長絶対依存型経営」で動いている中小企業が多いのである。
■中小企業は「ないない尽くし」の組織
組織とは、同じ考え方を持つ者が目標の共有化を図り、その実践に向けて方策を考え、ルールと基準に基づいて、個々の役割に応じて動く集団である。そして個々の人間性を認め合い、成果をともに喜び合う関係である。
人が2人以上集まれば、組織となる。政治・宗教・スポーツの世界など、あらゆる世界に組織がある。ほとんどの組織は、価値観が似ている人が集まり、構成されているからまとまりやすい。まとまりやすいから、冒頭の条件を容易にクリアすることができる。
しかし、中小企業は例外である。中小企業は、いわば「人間動物園」だ。たまたま同じ職場で働いているが、価値観が違いすぎたり、目標がバラバラだったり、行くべき方向性がわからず迷っていたりする。
しかし、中小企業は人なし、物なし、金なし、管理なしという「ないない尽くし」の環境に置かれている。さらに、一人2~3役の兼任主義で運営されているがゆえに、組織が持つ機能の深い掘り下げができず、日々、悪戦苦闘している。
組織としての骨格バランスが崩れているため、当たり前のことが当たり前のようにできない。頑張ってはいるが、頑張り方が違うために成果が思うように上がらない状態になっている。
中小企業の基盤はこのように脆弱である。基盤が弱いために慢性的に何かしらの病気を抱えたまま会社運営をしているのが中小企業なのである。それでは、その中小企業を運営している経営者について説明していきたい。
シリーズ「なぜ、会社がうまく回らないのか?」 [ 特集カテゴリー ] 【集中連載】なぜ会社がうまくまわらないのか, ◆先見経済◆
■我が社・我がこと意識を持たせる
大企業に比べて社員個人の能力が劣る中小企業では、社長と社員の心を合わせ、一体感をつくらねば戦えない。ないない尽くしの経営環境で渦巻く、不満・悩み。迷いを払拭し、経営への参画意識を高め、「我が社」意識を高めないと、現場力は高まらない。
■社員の迷いを払拭させる道標づくり
本来、組織とは「価値観が似ている人」が集うものである。政治・宗教・趣味の世界、どれを見てもそうである。だから、自ずとまとまりやすい。しかし、会社組織はその原則から外れているので、運営しにくい。なかでも中小企業は、その傾向が顕著である。