社会問題最前線 [ 特集カテゴリー ]

原発避難者の責任? [ 第86回(最終回) ]

 他人の苦労は、聞いてみなければわからない。それも自分の生活に引きつけてみなければわからない。想像する力が欠けていて、不用意な自分の言葉が相手に精神的な打撃を与えたくない、と考える。

 

 原発被害を受けた福島から、全国へ散った「避難者」たちが、いまなお苦しんでいるのは、故郷へ帰りたい。しかし、帰りたくない、というアンビバレントな心である。

 

それをはばんでいるのが、放射能である。この悩みに気づくことなく、その痛みを感じない、ごく普通の、それも大多数のひとびとは、効果案が得ている。

 

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原発避難者の切り捨て [ 第85回 ]

 3月いっぱいで、福島県浪江、飯館、楢葉、川俣の4地域の住民3万2,000人にだされていた、「避難指示」が解除される。しかし、これで原発の被害は心配ない、もう大丈夫、という政府の「収束宣言」かといえば、そうではない。

 

 避難指示解除といっても、根拠は放射線量が年間20mSvを下まわった、ということだけだ。それで本当に安心なのか。その保証がないまま、一斉解除まであと一か月たらず、元住民の不安は強まっている。

 

 住民の帰還にむけて、国と県が除染作業を続けてきた。除染作業をめぐっては、作業に賄賂が流れたりとか、「除染」らしくない汚染事件も発生したりしているが、広大な山野の放射能を除去するなど、未曾有の大工事である。

 

 しかし、その膨大な費用を要する大事業がどれだけの効果があるのか、健康に本当に影響しないのか、その土地にもとの住民が帰って来られるのか、帰って来ても、果たしてもとの生活ができるのか。解決困難な難題が山積している。

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