オウム真理教秘話(中)

平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ]

オウム真理教秘話(中) [ 第5回 ]

 地下鉄サリン事件の衝撃はすさまじかった。平成7年(1995年)3月20日朝、都心の地下鉄に猛毒サリンが撒かれ、13人が死亡し、負傷者は6,300人にのぼった。警視庁はXデーを22日に定め、オウム真理教の一斉捜索に向けて水面下で準備していた。だが、教団に先手を打たれた。延期やむなしの声が上がったものの、警視総監の井上幸彦は首を縦に振らなかった。脅しに屈したことになる、と。トップの決断は揺るがず、警視庁は22日朝、「カナリア先頭」の号令とともに、山梨県上九一色村の教団施設に突入した。

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児童虐待

平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ]

児童虐待 [ 第3回 ]

 事件記者時代、警察担当のサツ回りの頃、殺しが起きれば、流しか敷カンのどちらか、だった。敷カンは面識犯。被疑者と被害者の関係が濃密な濃カンならスピード解決だが、希薄な薄カンや流しなら難航する。濃カンの動機は恨みか、金銭トラブル、痴情のもつれとシンプルだった。

 

 しかし、時代とともに、様々な要因が絡み合うようになった。年間約1,000件の殺しの9割は敷カン。その6割は家族犯罪だ。今や殺人の半数以上は家庭の中で起きている。DV、親や子殺し、介護殺人……。児童虐待死は毎年50件前後。先の国会で、体罰を禁止する改正児童虐待防止法が成立したが、悲劇の連鎖を断ち切ることは容易ではない。

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ひきこもり

平成事件簿 三沢 明彦 [ 特集カテゴリー ]

ひきこもり [ 第2回 ]

 既視感があった。惨劇を目の当たりにし、私たちは忌まわしい記憶を封印し、目を背け続けてきたのではないか。そして今、20年近い歳月を経て、暴風が吹き荒れた時代の悪夢がよみがえったのである。

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