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イランに戦争を仕掛けた米国とイスラエルについて(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
イランに戦争を仕掛けた米国とイスラエルについて
真田幸光(嘉悦大学学長)

米国のトランプ大統領は、早期終結を前提として、イラン攻撃をヘグセス国防長官に許可したとされています。

トランプ大統領には、
「最近のトランプ大統領支持率が30%台半ばに低下、その背景がインフレによる国民の不満ともなれば、イラン攻撃による世界的インフレの再燃は身がからの支持率を更に低下させるリスクが高いということ」
「インフレの低下により、政策金利を引き下げ、米国内で資金を循環させつつ、製造業を軸とした実体経済の再生を図ると言う産業政策の遂行をする上でも、イラン攻撃による世界的インフレの再燃リスクは避けたいということ」
「本年11月に予定されている中間選挙に勝つ上からも、何としても、国民の支持を得たいと考えており、戦闘に勝っても戦争に負けると言うベトナム戦争のような事態にはしたくないと考えていたこと」
と言った背景から、
「早期終戦」
を軍には条件付け、それをヘグセス国防長官が約したことから今回の戦闘は許可されたようであります。

然るに、イラン戦争は、国防総省の思惑通りには進まず、大方の見方のように、短期終結とはならなかったことから、トランプ大統領は今、自ら戦争を仕掛けたにも拘わらず、自ら休戦を申し入れざるを得なくなりました。

しかし、
「みっともない姿での休戦」
ともなれば、それこそ、トランプ大統領に対する支持、信認が低下することは間違いなく、そこで、トランプ大統領は米国が勝ったと言って早期に戦争を終結させたいと考え、つまりは、焦っているのは明らかです。

一方、イランは今、国際社会の声を背景に、行けるところまで、米国と休戦に向けた条件闘争をし、少しでも優位な立場に戻そうとしていますが、イラン優性と言っても国土の破壊が進み、武器弾薬も不足、そして死傷者が更に増えるのは避けたいと考え、何処かのタイミングで休戦をせざるを得ないとも思われます。

こうした中、トランプ大統領がどの程度攻撃をエスカレートさせるかははっきりしませんが、もし、米国がイランの発電所を攻撃すれば、イランはこれに対する必死の反撃をすることは必至であり、この際には、ヒズボラやイエメンの反政府組織・フーシ派なども呼応してくることが予想されます。

もし、そうなると大混乱、中東諸国全体でも電力が消失し飲料水の80%を依存する中東各国の淡水化プラントの操業停止等を起こす可能性が出てきて大変なことになります。
それを承知でトランプ大統領が強硬攻撃を再び軍に許可するかは分かりません。

こうした一方、
「もし、米国とイランが休戦を決定した」
としても、従来から、イランが核保有する前に抑えなくてはならず、場合によっては核攻撃も辞さない」
と明言してきたネタニヤフ首相率いるイスラエルが、
「一撃必殺」
を前提にイランに核攻撃を行うリスクも実はまだ少し残っていると見られています。

これに対して、イランの主力軍事組織である革命防衛隊は、こうした事態を既に想定して、
「モザイク状の防衛体制」
をとっており、イランが米国やイスラエルからのそうした攻撃に備えて、既に何十年もかけ統合防衛体制とともに分散型体制を確立し、中央司令部のトップが殺害されても、状況に柔軟に対応できるよう各地域にリーダーがおり、指令を出せるようになっている、またドローン製造工場やミサイル基地などが地下深く、それも各地に建造されており、それらを全て破壊するのは不可能との見方も出ており、イスラエルの一撃必殺は難しいとも見る声もあります。

また、イランは少なくともここまでは自国の石油を輸出し続けており、その9割を中国本土が輸入し、代金は中国本土の銀行を経由して、収益のほとんどは革命防衛隊の資金となっているとの見方もあり、中国本土の影も見え隠れします。

カーグ島への攻撃を予測し、ジャスク、ラバン、シリ島での生産・輸出量を増やすことでカーグ島での処理量の少なくとも25%はまかなえるとの報道も出ており、イランや中国本土にはこうした点で余裕がありそうです。
 
はてさて、トランプ大統領閣下のご決断は?
 
私は間もなくの一旦の休戦を見込んではいますが、注視、フォローする必要があることは言うまでもありません。

 

真田幸光————————————————————
1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。84年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、1998年から愛知淑徳大学学部にて教鞭を執った。2024年10月より嘉悦大学副学長、2026年4月より現職。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メンバー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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