『先見経済』2026年7月号が発刊されました。
今号は「食の都・庄内」を牽引する奥田シェフの熱い想いを巻頭に、製造業のリアルな需給分析(伊藤敏憲氏)や、組織論・DXの本質に切り込む(呉縞慶一氏)を中心に構成されています。
1. 「食の都・庄内」にかける想い
(アル・ケッチァーノ オーナーシェフ・奥田政行氏) 奥田氏は2歳で1億3000万円の借金を背負い、鶴岡へ逃れた過去を明かし、街への恩返しとして20年かけて鶴岡市をユネスコ「食文化創造都市」へ導いた軌跡を語ります。料理の本質を独自の「熱媒体の理論」として体系化し、だだちゃ豆の畑を高級観光地化する驚きの生産地ツアーなどを次々と実践。また、資金わずか100万円の「お化け屋敷物件」からスタートし、ウェルカムプレートや額縁の「見せ方」で価値を転換し、ディカウント酒店を活用してワインの在庫リスクをゼロにするなど、驚くべき逆転の経営知恵を披露します。「勝手に庄内百景」刊行に寄せ、灰色の地方都市に固有の物語の色を取り戻すという情熱が溢れる必読の起業・地域再生ストーリーです。
2. ナフサ供給危機は去ったのか
(株式会社伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー 代表取締役兼アナリスト・伊藤敏憲氏) 第3次石油危機の勃発に伴いメディアを騒がせた「ナフサショック」の真実を、客観的データから冷徹に検証します。伊藤氏は、イラン空爆や最高指導者ハメネイ師殺害による中東インフラの壊滅的破壊により構造的な供給危機は長期化するものの、5月以降の政府・民間備蓄の緊急放出により国内の製油所稼働率はV字回復しているファクトを提示。シンガポール市場のスプレッド下落が示す通り、スポット需給は逼迫していません。現場の不足感の正体は、過激な報道に怯えたサプライチェーン各層による多重発注や思惑買いが招いた「仮需の狂乱」であり、1973年のトイレットペーパー騒動と同じ構図であると看破します。
3. AI・DXの「綺麗事」を脱ぎ捨てる
(Modelist 代表取締役社長・呉縞慶一氏) セールスフォースで世界1位のナレッジシェア実績を持つ呉縞氏が、組織の生産性を10倍、20倍へと爆発させる真のDXインフラを提言します。イノベーションを阻む組織の「5つの壁」を破壊するのは、部署や役職の境界を越えて人と情報を繋ぐ「バウンダリースパナー(越境人材)」の存在です。情報の共有を阻むマイクロソフト的な「クローズド型」から、全社検索で知見に届くSlackやNotionなどの「パーティション型」への転換が不可欠だと主張。AI時代に最も重要な「コンテキスト(文脈)の質」を高めるため、日々の商談や会議ログをリレーショナルデータベースで一元管理し、自社内に「デジタル経営者・営業人格」を量産する最先端のハイブリッド組織運営術を明かします。
【その他の記事紹介】
組織運営から見た成長企業の課題(小池浩二氏:連載)
年商30〜50億、社員200名規模を目指す過程で起こる「膨張」の危険を解説。売上急伸の裏で、教育や標準化、ルールが追いつかず仕組みが空洞化する企業の病気(バラバラ病、ほったらかし病など)を暴きます。社長依存から脱却し、PDCAを回すための「経営の技術」と組織運営へのギアチェンジを指南します。
共創が生み出した新しい価値:三大学合同プロジェクト(菊原政信氏:連載)
産学連携の連載第13回。青山学院大、杉野服飾大、神奈川大の3ゼミが合同でアパレルメーカーと連携し、「未来の自分へ贈るドレス」を制作した前例のない実践型プロジェクトをレポート。異なる専門性を備えた学生の感性が、企業だけでは届かない若者層への「ストーリー共感型」プロモーションを実現した共創の本質を伝えます。
これから始まる物価の高騰(高島康司氏:連載)
世界を深く読む視点の第41回。継続するホルムズ海峡危機と、今年から来年にかけて発生するエルニーニョ現象が重なる複合ショックをシミュレーション。ガソリン価格や電気・ガス料金の急騰シナリオを予測し、中東原油や海外飼料への輸入依存度が高い日本経済に、燃料高・物流高・食品高の波が一気に押し寄せる近未来へ警鐘を鳴らします。
隣の芝生をみるな(橋本英明氏:連載)
医学博士が綴る「佳き人生のススメ」第30回。幸福度の保持(ウェルビーイング)の秘訣を、白居易や孔子の「知足安分」、ベンサムの「最大多数の最大幸福」などの思想から紐解きます。他人の様子をSNSで比較しがちな現代において、自分・自社軸を持つ大切さを国連の幸福度調査を交えて温かく伝えます。

